30年の期待と裏切り
noah1曲目の「complication・・・」のイントロが始まる。30年前も同じように期待しながらこの最初の音を待っていた。横浜の小さな部屋で(下宿で)。21歳の耳には理解できないくらいのスピード。佐野元春はいったいどこへ行ってしまったんだ?
21歳の何も解らない学生はただ「New Age」まで聞くともう一度聞いた。何度も聞いた。その日一日聞いた。そしたらまるで漢方薬のようにじわーっと体に効いてきた。裏切られたんじゃない。これは自分の聞き方がまちがっていたんだ。このアルバムは身体で聞くもんなのだ。
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30年経過して51歳の自分はまるで21歳の自分と再会したかのように「休みがとれるほど穏やかな世界じゃない」と心で叫んでいた。この30年どうだった? 案外いかしていたんじゃないか?
だって今も「Visitors」を身体で聞いているもの。聞けているもの。そして、これからの30年に期待している。佐野元春にも自分にも・・・
フィルムのラストで「Young Bloods」の人波の中にあの時の自分をみつけた。たしかにあの時あの場所で、「Visitors」を感じていた自分が。