ハートランドからの手紙#192
掲載時:2006年7月
掲載場所:野性時代 vol.32
掲載タイトル:小川洋子氏の著作に寄せて

佐野元春と10の短編「アンジェリーナ」

 我々の手の届かないどこか時空の彼方に隠された美しい奇蹟を見逃すまいと、彼女は必死に目を凝らしているかのようだ。しかしその瞳は感情センチメントというあてもない霧が、肉体の草木を湿らせるまでは決して閉じられることはない。冷徹な合理の衣を纏ってこそ、あの一行に命が宿るのだろう。

佐野元春


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