で!
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★ ノージからご挨拶! ★
こんにちは、ノージユーコです。
“ノージのSmall Town Talk”に登録してくださってありがとうございます。
これからポチポチとメールを送りますので、どうぞよろしく。
ちなみに“Small Town Talk”というのは、ウッドストックの街を歌ったロッ
ク・クラシックのタイトルを拝借。ご近所のウワサ……てな感じかな。Hobo
King Sessionで井上トミーもカバーしてる。今回のツアー・パンフでノージが
書いている「ウッドストック日記」にも、これに関係したネタがちょっと出て
くるのでよかったら見てくださいね。
さっき、千葉・市川でのコンサートから戻ってきました。東京や千葉のあた
り、今日の午後はものすごい大雪で大変でした。駅から会場までの道のり、凍
え死ぬかと思いましたわぁ。でも、そのぶんコンサートはむちゃくちゃホット
でした!! あなたのおウチのあたりはどうでした? ということで、今回は初
日の横須賀、相模大野、市川の様子をまとめて報告します。
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■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■ 横須賀から、いよいよツアー・スタート!(1月7日〜12日)
■ The Barnツアーを10倍楽しむための豆知識(1) ステージ・セット編
■ 楽屋よもやま話
■ 新規開店! 楽屋ロック喫茶“HOBO KING”最新プレイリスト
■ メールください
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■ 横須賀から、いよいよツアー・スタート!(1月7日〜12日)--------------
1月7日、神奈川・よこすか芸術劇場からいよいよ“The Barnツアー”がスタ
ート。
メンバー、スタッフは最終リハーサルのために前日の6日から会場入り。リ
ハーサルは去年の12月28日までだったから、全員「あけおめっ!」のあいさつ
と共に顔あわせ。佐野さんもHKBも、ほんとにうれしそーな笑顔です。去年から
ずーっと「早くツアー始まらないかなぁ」って、みんな『The Barn』の曲をラ
イブで演奏することを楽しみにしていたんだから。さっそくリハーサルでも、
新ワザを盛り込んでじゃんじゃんアレンジを変えていたし……。
でも、このアルバムの曲はそうやって磨いていくことでどんどん光っていく
ものばかりだと思う。これからライブを見る人は、じっくりとアルバムを聞き
込んでいったほうがいいですよ。なぜなら、そうすることで今回のライブ・
バージョンがオリジナル・バージョンをぐっと立体的にしたものだということ
がわかるから。
さて、その初日のステージ。
オープニング、最初の音が奏でられたとたんにゾクゾクゾクゾクーッとトリ
ハダが立った。
このバンド、やっぱりものすごい!!
ノージ、すでにナミダ目。や、こんなことをわたしが書いても「何を今さら」
って信じてもらえないかもしれない。“アルマジロ日和”も、今回のツアー・
リハーサルもずっと彼らと一緒にいて、なおかつ前日のゲネプロ(すべて本番
と同じようにやる通しゲイコみたいなもの)まで見てるんですからね。
でも、違うの。実際にお客さんを前にしてステージに立つと、佐野さんとバ
ンドは信じられないようなエネルギーを出し始める。実は前日、機材チェック
などに時間がかかってバンドとしてのリハーサル時間が予定よりも大幅に少な
くなっていて。それで、みんな冗談半分に「お楽しみは本番にとっておくかぁ」
なんて言っていたのだが。ホントにそんな感じになってしまった。
去年10月にはクラブ・サーキット“アルマジロ日和”もあったけれど、あの
時とも違う。「アルマジロ〜」はニュー・アルバムを生の演奏で宣伝するとい
う最大の“使命”があったわけだけど。“The Barn”ツアーでのHKBは、もっ
ともっと自由でのびのびしているように見える。ウッドストックのスタジオも
似合うけど、やっぱり彼らはこうしてオーディエンスとグッド・バイブレーシ
ョンをやりとりしながらめいっぱい“真剣勝負”している時の姿がいちばん似
合うなぁと。あらためて思いました。
横須賀といえば、HKBにとって忘れられない思い出の場所。一昨年の“フルー
ツ・ツアー”、この会場でのステージが終わった時に「このバンドは、これか
らもずっと続いていくかもしれない」という最初の予感があったというのだか
ら。だからこそ、ここが今回のツアー・スタート地点として選ばれたんじゃな
いかな。
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その3日後、1月10日は相模大野グリーン・ホールでのライブ。超満員の客
席、小さな子供を連れた人たちが多いのが印象的だった。きっとわたしと同世
代くらいの、10代の頃に佐野さんの音楽と出会って「つまらない大人にはなり
たくない」と歌っていたオールド・ファンなんだろうな。わたしたちが10代の
頃は、40代を過ぎたロックンローラーなんて信じられないと思っていた。スト
ーンズが40代で現役で“長老”なんて言われていたわけだしね。でも、今なお
佐野元春は“つまらない大人”じゃないし。どんなに年をとっても、“つまら
ない大人”にならない方法もある。ずっと佐野さんの音楽を聞き続けてきてよ
かった、こうしてものすごく大事なことを気づかせてくれるんだから。
ちっちゃい子の声で「センパーイ!!」っていう声援が聞こえてきた時はうれ
しかったなぁ。かわいかった!! メンバーも、去年までは内輪だけの呼び名だ
った“センパイ〜”という声援が聞こえてくると何だか楽しくなっちゃうそう
ですよ。
それにしても、この日もすごかったよ。お客さんの歓声のパワフルさ、そし
て「Drive」のちょいと複雑なハンドクラッピングにもすかさず反応するリズ
ム感のよさにも感動したし。2日めにして、すでにさらなる前進をしているス
テージ上にもびっくり。あたしにナイショで、どっかでこっそり練習でもして
るんじゃないかっつーくらい。でも、そんなはずないのよね。
ライブが終わった後に「次は明後日かぁ、楽しみだなぁ」なんて話しながら
会場を後にする、彼らはそういうバンドなんです。
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で、1月12日はツアー3本めのステージとなる千葉・市川市文化会館。
東京や近郊では、4日前に続いて今冬2度めの大雪。お客さんが無事に会場
にやってこれるだろうか……と心配されていたけれど、夕方にはやや小降りに。
10分遅れで無事開演。
「今日のお客さんは、きっと気合いが違うよ。だって、ここに辿りつくまで
にテンションあがりまくってるはずだもん」 と、開演前の楽屋でのコロちゃ
ん。それを聞いた佐野さんも「よし、こっちも気合い入れてかからないとな」。
その言葉どおり。かーなーり、熱かった!! お客さんも最初からハジけまく
っているし、ステージ上でも互いにワザを仕掛けあったり……という“HKB名
物”の名場面がバシバシ出まくり。
どんなアーティストのコンサート・ツアーも、初日から最終日に向けて何ら
かの意味で“ホップ・ステップ・ジャンプ”的な進化を遂げていく部分がある
ものだと思うれど。初日・2日め・3日め……という最初の3つで、すでに
“ホップ・ステップ・ジャンプ”を見せられてしまった気がする。
いいぞいいぞー!! 佐野元春&The Hobo King Band、すでに自分たちで積み
上げたものをちょっとずつ崩し始めてます。
初日のステージを終えたあと、佐野さんが「きっと、ここからまた少しずつ
少しずつストーリーができあがっていくと思うよ」と言った。最初はお行儀よ
く構成されているように見える曲たちが、少しずつ互いに結びつきあっていく
ことによって“物語”が生まれてくる。この夜のステージでは、ちょっとだけ
新しい演出が加えられた。ほんとに、ちょっとした変化。でも、それだけでも
彼らがジワジワとスピードをあげはじめていることをハッキリと確認できた。
リハーサルが終わっても、本番直前まで「あの曲の間奏、こういうふうに変え
られる?」「OK、やってみるよ」なんて立ち話で“打ち合わせ”をしている。
この、彼らがスピードをあげていく瞬間の感じ。前の“フルーツ・ツアー”
でも体験したから、なんとなくわかる。でも、それを前よりもちゃんとしっか
りと伝えられればいいな……と、以前よりもマジメに考えております。佐野さ
んも、この“Small Town Talk”について「気楽にやれよ」と言った2分後に
「それにしても責任重大だぞ」とプレッシャーをかけるのです(;_;)。
とりあえず、彼らにおいてけぼりにされないように必死でついていきますの
で。この後、18日の府中&20日の大宮と東京近郊シリーズは続きます。その報
告は、また次回に!!
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■ The Barnツアーを10倍楽しむための豆知識(1)ステージ・セット編 --------
『The Barn』の超カントリーテイストな世界から、今回のステージセットを
想像していた人はいないことでしょう。わたしもびっくりしました。最初に横
須賀でステージを見た時は、「ここで森高千里が歌っていても不思議ではない!!」
と思ってしまいましたよ。佐野さんも、「なんか、ファッション・ショーでモ
デルさんが歩いてきそうなセットだろ」と笑っておっしゃってました。
しかし。
このセットなのに、音楽はいなたい(笑)。
ここがポイント。ビューテフルなセットの前には、やたらマニアな楽器が
“楽器屋状態”(by 舞台監督)でぎっしり並んでて。そのくせ音楽ときたら
“アメリカ田舎系”の香り。このミスマッチが、なんだかものすごくカッコい
いのです。
さらに。ライブが始まると、シンプルなセットが照明によっていろいろ表情
を変える。海の底とか、ハイテクな街とか、サイケなお祭りとか、燃える山
(←ちょっと危険)とか……。照明チーフの酒井さんも燃えています。客席真
ん中のPA/照明卓で、ノリノリでオペレーションしている酒井さんを見かけた
ら「ナイス照明!!」と激励の声をかけたげてください。きっと、鼻たーかだか
でVサインしてくれますから。
買い物バカのノージとしては、照明でセットが金色に輝くと、ニューヨーク
で佐野さんがスーツを作られたことで有名なダナ・キャランのお店の壁面を思
い出して、さらには先日大掃除でうっかり捨ててしまったダナキャのセーター
のことを思い出して、せつなさに身もだえてしまいます。ばかですね。みなさ
んも、このセットがもっとも印象的に見えた瞬間があれば教えてください。
実は、このステージ・セットが完成するまでは壮大な紆余曲折があったので
す。最初、スタッフからはウッドストックの“The Barn”スタジオをそのまま
再現したようなセットのプランが出たそうです。後で、その完成予想図を見せ
てもらったのですが、まさにThe Barnそのもの。隣接するメンバー宿泊アパー
トまで再現されているという凝りよう。それに対して、佐野さんは「うれしい
けど、ちょっとやりすぎかな」。その後もウッドストックの雰囲気を生かした
ウッディな数案が検討され、佐野さんも迷ったそうなのですが。最終的に、あ
えて『The Barn』のイメージから離したものを……ということで、このセット
に決定。
確かに、HKBの出す音だけでウッドストックの匂いは存分に伝わるわけです
から。彼らの立つ場所はうんとシンプルな、真っ白なキャンバスのような場所
であったほうがカッコいいもんね。
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■ 楽屋よもやま話 -----------------------------------------------------
横須賀での初日、佐野さんがメンバーよりちょっと遅れて到着。なぜなら、
ツアーの無事を祈って清正公にお参りしてきたからです。これはツアー初日の
恒例行事だそうで、佐野さんは貰ったお札をみんなに見せると「よしっ」とズ
ボンの後ポケットにしまいこみました。
それから、これも横須賀でのこと。佐野さんは、ローディーに「今日はなつ
かしのストラトを持ってきたんだ!!」と伝えました。佐野元春のシンボルでも
あった“長年の相棒”、赤いストラトキャスター。ここ最近、このギターを弾
くことはめったになかったのですが。“ある曲”を歌う時に、久々にこのギタ
ーを抱えたいムードにかられたのだとか。さて、その曲は何でしょう? 正解
はいずれ、ね。
マネージャーの渡辺さん(以後、なべマネと略す)が、できたてホヤホヤの
ツアー・パンフレットを持ってきました。さっそく1ページ目を開いたとたん、
トミーが「わ、懐かしいーッ!!」と言ってゲラゲラ笑いだしました。思わず、
他の5人もいっせいに大爆笑。
「こんな景色なのに、どうしてわかるんだろうね」
「わぁ、だんだん思い出してきた……」
「でも、これ見てウケるの、オレたちだけだよね」
「ファンの人にはわかんないだろうなぁ」
なべマネは“???”。そりゃそーです。それは、青い空と森しか映ってな
い写真なんですから。しかし、HKBにとっては忘れられない風景。実はこれ、
彼らが暮らしていたアパートの前なのです。しかも。いつもみんながくつろぎ
タイムを過ごしていた、部屋を出たところに置いてあったデッキチェア(ウッ
ドストックのフィルムで、佐野さんがインタビューに答えているのもココ)に
座った時に見える風景そのままのアングル!! パンフを手に入れたら、彼らが
この景色を眺めていた気分を想像してみてくださいね。
HKBの楽屋は、時にはステージ上に負けないくらい楽しい娯楽ルームと化し
たりするわけですが。ツアー序盤、さすがに緊張感もただよい静かなムードに
包まれています。でも、それでもやっぱりセンパイは楽屋のスーパー・アイド
ルです。このツアーではセンパイをスターにするべく、楽屋には太りすぎ注意
の体重計が用意されています。実は、持参したのはノージです。HKB体重折れ
線グラフ、インターネットにて連載の準備ちゅう!!
レコード会社の人が、これまた出来たての『The Barn』のアナログ盤を持っ
てきてくれました。みんな大喜び。プレゼントをもらった子供状態でいっせい
に中身を出してみたりしてます。
「やっぱ、アナログ盤が似合うアルバムだなぁ」
「家かえって、すぐかけよう」
「オレ、針かえてからかける」
中古屋で買ったアナログは、すぐに楽屋のおもちゃプレーヤーでかけるくせ
に。「誰か、かけてみれば?」と言いながらも、ここでは誰もかけようとしま
せんよ。ケチです。
そのアナログ盤を使っての、ライブ中のちょっとした楽しい演出(発案者・
KYONさん)が実現したのが千葉・市川市文化会館。大雪のなかやってきたお客
さんに、あったかいプレゼント……という感じになりましたよ。
でも、雪で大変だったのはHKBも同じこと。車で来た人も電車で来た人も、
楽屋に着くなりドッと疲れてしまいました。カッコいいけど最も大雪に向いて
ないアメ車に乗ってる小田原さんは、途中で家まで戻って電車で再出発したそ
ーですよ。でも、みなさん無事に揃ってよかった。あ、センパイは久々の大遅
刻でしたけどね……。
センパイの到着を待つ間、コロちゃんがもってきたはっぴいえんどのCDを
BGMに、佐野さんが少年時代に渋谷ジアンジアンではっぴいえんどのライブを
見たという話を聞いていました。
「はっぴいえんどのライブってさ、レコードとアレンジが全然違うんだよ。だ
から、イントロを聞いただけじゃ何の曲か全然わかんなかったりするんだよ」
と佐野さんが言うと、すかさずコロちゃんが
「どっかのバンドとおんなじだー(笑)」。
そういえば、この市川市文化会館というのは『フルーツ・ダイアリー』の名
物コーナー“楽屋拝見”発祥の地なのですよ。そんな話をしながら、楽屋であ
らためて『フルーツ〜』を見ていたのですが。最初は、なんか遠くからコワゴ
ワ隠し撮りしてるような写真ばっかで初々しいなぁ。今では、勝手に接写です
からね。ちなみにセンパイを接写すると「拙者を接写?」ですかね。
で、本を見ていたコロちゃんが「みんな、全然顔が違うよ!」。どれどれ…
…と確かめてみると、ホントに違う。太ったやせたという輪郭の変化もありま
すけど、表情も変化してます。あまり変らないかなと思っていた佐野さんも、
やっぱりどこか違ってる。わずか1年半くらいで、こんなに変わっちゃうなん
て……。
「育ち盛りなんだよ(笑)」
と、KYONさん。この1年あまりの期間に、ブリブリと前進を続けてきたHKB。
その証拠が、ちゃんと顔に刻まれているのかもしれないですね。ちなみに、前
回の市川で佐野さんと一緒に撮ったノージの写真を見てみると……。やっぱし
変ってます。太ってるし、緊張感がなくなっている。いやん(泣)。
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■ 新規開店! 楽屋ロック喫茶“HOBO KING”最新プレイリスト ------------
☆ベスト・オブ・エミット・ローズ/エミット・ローズ
☆ファイアークラッカー/リサ・ローブ
☆オムニバス/Have a Nice Dayシリーズ(Rhino)
☆オムニバス/Listen To The Musicシリーズ(Rhino)
☆Deuces Wild/B.B.キング
☆SHIPBUILDING/Tasmin Archer
☆HAPPY END/はっぴいえんど
☆全曲集/中村晃子
もうすぐ京都・磔磔でのHobo King Sessionがあるので、それぞれのレパー
トリーを選曲しようという目的もあって持ち寄ったCDが多いですね。Tasmin
Archerは黒人女性シンガーで、エルビス・コステロの曲ばかりをカバーした
アルバムです。コステロは本当にいい曲ばかり書くよなぁと、佐野さんを中心
にしばしコステロ談義となりました。なんでここに中村晃子があるのかは、今
のところヒ・ミ・ツ。“HKBマニア兼歌謡曲マニア”の人がいたら、推測して
みてください。
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■ メールください -----------------------------------------------------
わたしも気軽に楽しく書いていきたいなぁと思ってますから、みなさんも気
軽にメールくださいね。ご意見・ご感想、新企画のアイディア、せっかくです
からメンバーへの質問などもあればぜひぜひお寄せください。
盛り上がってきたら、読者コーナーなんかも作りたいな。
ツアー・ファイナルの3月まで、みんなで一緒に楽しく盛り上がっていきま
しょう!!
メールのあて先は、 nohji@DaDooRonRon.com まで。
登録や、このメーリング・システムに関するお問い合わせは
stt-info@moto.co.jp まで。
なんせ機械のむつかしいことはわからないので、MIPSアニキに聞いてくださ
い。
それじゃ、また近いうちにメール送りますねッ!!
By ノージユーコ from Nohji's Rock'n Roll Shop
★ 次号をお楽しみに!
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ MIPS PRESENTS ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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◆◆◆◆ ノージのSmall Town Talk ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 佐野元春 and The Hobo King Band ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜 ◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Vol.2 <1998.1.22>
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★ Information from MIPS ★
○ 「THE BARN」のプロデューサー、ジョン・サイモン氏から元春ファンにメッ
セージが届いた!RealVideoで掲載中。 チェック!
http://www.moto.co.jp/TheBARN/hello.html
○ ついに始まった「THE BARN TOUR '98」、皆さんからのライブレポート待って
います!
http://www.moto.co.jp/Live/Live/TheBARN.html
※ その他詳しくは Moto's Web Server で!
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★ ノージからのごあいさつ ★
こんにちは、お元気ですか?
大宮でのことでした。KYONさん&佐野さんが、散髪してスッキリ頭になって
登場。
KYONさんは、肩ギリギリの長さにバッサリ。誰かに似てるなぁと思ったら、
ちょっと前のセンパイの髪型でした。本人いわく「やや意識してみました(笑)」
とのこと。“The Prestons”ファンとしては、やっぱりセンパイも同じ長さに
切ってもらいたいっす。
とゆーわけで、“SMALL TOWN TALK”第2号をお届けします。前号もまぁま
ぁ好評とのこと、ホッとしました。みなさんが楽しんでくれたなら、ノージも
楽しいっす。
ここんとこ、東京近郊は暖冬なのに雪降りまくり。エルニーニョの影響らし
いですね。
“The Barn”ツアー、横須賀から20日の大宮までの“東京近郊シリーズ”も
無事に終了しましたが。雪が続いていたので、スタッフもメンバーも天気予報
に耳を傾けてはハラハラの毎日でした。そういえば。大雪が降っていた相模大
野公演の日、HKBのみなさんはなかなか会場に到着しないセンパイを待ちなが
ら歌を歌っておりましたよ。
♪雪は降る〜アキラはこない〜
ちょっと面白い? でも、スタッフは「全然おもしろくないっ(怒)」って。
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■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■東京近郊シリーズ最終戦、府中&大宮!!
■楽屋よもやま話・メンバー紹介のヒミツの巻
■楽屋よもやま話・佐野元春、踊るの巻
■新規開店! 楽屋ロック喫茶“HOBO KING”最新プレイリスト
■今週のセンパイ
■メールくださーい
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■東京近郊シリーズ最終戦、府中&大宮!!--------------
1月18日・府中の森芸術劇場/1月20日・大宮ソニックシティ
コンサートが終わった後、佐野とThe Hobo King Bandはその夜に起こった
“ドラマ”について、いつまでも楽しそうに話している。彼らのステージは、
毎日違ったプログラムが組まれている“映画館”なのかもしれない。シリアス
な大河ドラマの夜もあれば、ユーモラスな短編オムニバス的な趣の夜もある。
横須賀から始まって、大宮まで続いた5本の“東京近郊シリーズ”。このな
かで、わたしは自分なりに“The Barn”の楽しみかたを掴んだ! 掴んだ……
つもり。
96年の「フルーツ・ツアー」は、旅の中でグングンと成長を遂げていく過程
を見るのが楽しみだった。だって、こないだまでハイハイしていた赤ちゃんが、
次に会った時には歩いてて、その次にはもうしゃべってたりするような……そ
れくらい急速に変貌を見せていたんだから。でも“The Barn”ツアーの場合は、
ああいう“過程”の面白さとは違うところに目を向けていたい。何度見ても
「今回はこーゆー感じ」という先入観を、なるべく忘れて。毎回、タイトルも
ストーリーも知らない新しい映画を楽しみにするような気分で出かけていくの
がいい。こちらの“期待”なんて、彼らにとっては窮屈な狭いオリの中のよう
なものかもしれないから。
****************************
「今日は、なんだか不思議な展開のライブだったよね」とHKBが語っていた
のは、府中でのライブの後だった。
「そこにいてくれてありがとう」で、全員が♪ラララ〜と歌い始めているの
に、トミーだけがずーっと♪さよならこんにちは〜のパートを歌い続けていた
という話でみんな大笑いしている。
「なんか気持ちよくて、ワケわかんなくなっちゃってさぁ(笑)」と、トミー。
「わかる、わかる。それ、すっごくわかるわー」と、コロちゃん。
小さなエピソードが、あちこちで同時多発している。府中では、そんな短編
オムニバス映画のようなライブを見ることができた。こういう時、ライブが終
わった後の楽屋はとてもにぎやかだ。演奏中の“名勝負”や“危機一髪シーン”
について、話が尽きることはない。
府中でのライブ、わたしがいちばんお気に入りの“エピソード”といえば…。
「ドクター」でのこと。もっとも婦女子の嬌声が炸裂する、佐野のキメ台詞
“オレは君のドクター”というフレーズ。それを、佐野はいつもよりグッと低
い渋い声で、しかもリーディング調でバシッとキメた。
これは文句なし、バツグンにクールであった。
もぉ、場内の女子が全員卒倒するかっつーくらいにセクシーであった。
実は、その前の曲のエンディングで、彼はちょっとだけ“失敗”してしまっ
たのだが……。もしかしたら、この“低音攻撃”は、さっきの“失敗”をチャ
ラにするための“ヒミツ兵器”だったのでは!? も、もしかしてコレもひとつ
の“オトコの武器”ってヤツでしょうか……。うふふ。なんて妄想して盛り上
がっていたのは、わたしだけ???
****************************
で、府中がエピソード満載の“短編オムニバス”だとしたら。2日後におこ
なわれた大宮でのライブは、長編ストーリー。しかも、連続ドラマを1本の長
編にまとめた“総集編”のような印象だった。ツアー序盤、東京近郊シリーズ
の最後ということで佐野やHKBも“ひとくぎり”つけたい気持ちがあったのか
もしれない。
府中での、次々と思いがけない場面に出くわす凸凹感も好きだし。大宮での、
オープニングからアンコールの最後までが鮮やかな起承転結によってつながっ
ていく滑らかな感じも好きだ。どっちも、The Hobo King Bandらしいなと思っ
てしまう。
でも、今のところ“The Barn”ツアーの全貌はまだわからない。久しぶりに
集まって、旅を始めたばかり。今の彼らは、会わない間にそれぞれがためこん
でいた“この場所でやりたいこと”を順番にぶちまけているところなのだろう。
彼らにとって、今がツアー中でいちばん新鮮かつスリリングな季節なのかも
しれない。お互いをわかりあっているようで、探り合っている。前のツアーの
ことを思い出しながら、新しいことを考えている。わたしには、そんなふうに
見える。
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■楽屋よもやま話・メンバー紹介のヒミツの巻-----------------------------
府中でのこと。
リハーサル前の時間、楽屋には前回市川ライブで録画された資料用のビデオ
が流れていた。佐野さんは、時おりメモをとりながら演奏や曲順や照明など全
体的な流れをチェックしている様子。
他のメンバーも、時おり「ここ、4人で前に出ようか」などと相談しつつビ
デオ鑑賞。
「ドライブ」のイントロでは「あまりにカッコいい〜」「このバンド、誰!?」
と騒ぎながら盛りあがっちゃったりして。
The Hobo King Bandにとって“最大のファン”とは、彼ら自身なのかもね。
で。曲の合間でのメンバー紹介コーナーを見ているとき、わたしはフッと思
い出したのです。
すでにライブを見た読者の方からのメールで「メンバー紹介の時、佐野さん
の名前も誰かに呼んでほしい」というリクエストを何通かもらっていたことを。
そのことを伝えたところ、KYONとコロちゃんが同時に叫びました。
「そう!! それはオレも思っていた!!」
コロ「そーそー、そーなんだよ」
KYON「佐野さんだけ紹介されないのは、なんかヘンだもんね」
佐野「そっか、じゃ、やってみる?」
KYON「では、その役目はわたくしが……」
コロ「そーゆー役、KYONさんはいつもやってますからね(笑)」
ということで、その夜から佐野さんもメンバーのひとりとして紹介されるこ
とになったのでした。メンバー紹介する佐野さんは見慣れているけれど、紹介
されてる佐野さんを見るのは初めて。なんか、すごく新鮮。
本当に、本当に些細なことなんだけどね。
このメンバー紹介で、わたしはすごくシアワセな気持ちになったのだった。
この6人は、佐野さんを含めて“ひとつのバンド”なんだよね。やっぱしね。
そうやってどんどん“バンド”になっていくことを、今もなお佐野さんやメン
バーは楽しんでいるんだなぁ……と、しみじみ思っちゃったりして。
このメンバー紹介コーナー、HKBにとって“遊べる”ポイントになりつつあ
るみたい。
そのうちにさらに新ネタやワザが投入されて、エスカレートしていきそうな
予感。楽しみです。
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■楽屋よもやま話・佐野元春、踊るの巻-----------------------------------
みなさんおなじみ、佐野元春クラシックスの名曲「ガラスのジェネレーショ
ン」。
実はKYONさんも昔、ひそかにカヴァーしたことがあるんだそーですよ。大宮
の楽屋でそんな話をしていたら……。
なんと、なんと、なんと! 佐野さんが、この曲にまつわるすごい秘話を教
えてくれました。
「あの曲を、スクールメイツをバックにして歌う! というのが、当時の最
終的な目標としてあったんだよ」
えええー!?
HKB、そこで全員ずっこけました。
「オレも若かったしさぁ〜」と、佐野さんはニコニコしながら説明してくれ
ました。
ビデオ・クリップを作ろうということになって、佐野さんはなぜか“SKDの
踊り子のおねえさんたちが登場するシーン!”というのが思い浮かんだそうな
のです。
SKDというのは、昭和の浅草文化を象徴する“松竹歌劇団”のこと。いわば
“東京の下町の宝塚”みたいな存在っていうのかな。なんたって、佐野さんは
下町っ子ですからね。
まず、楽屋で踊り子さんたちが着替えをしているシーンから始まって、その
片隅で佐野さんがニヒルに歌っているという構図とか。いろいろ考えていたそ
うです。
で、みんなでワイワイ相談しているうちに「やっぱり、スクールメイツだ!!」
ということになったそうです。
歌番組のバックでポンポンとかバトン持って踊っている、あのチアガールみ
たいな女の子たちのダンスを入れて。そして横で佐野さんがピアノを弾いて歌
っていて。
という、当時のアイディアを説明してくれた佐野さんですが。
さらに、おもむろに立ち上がると……
「♪ガラスのジェーネレーションッ」
(↑ポンポンを持って激しく踊るチアガール)
「♪さよならレーボリューション」
(↑ピアノを弾き語りする佐野元春)
びえー(泣)。いやーん(泣)。実演してくれましたー(号泣)。
目の前でホンモノの佐野元春が「ガラスのジェネレーション」を歌ってくれ
ているのですよ。ああ! 17歳の頃のワタシを連れてきて、この光景を見せて
あげたい! きっと17歳のノージは、号泣して気絶するでしょう(←今とあん
まり変わらないかも)。
しかし。
「チアガール踊りをする佐野元春」を見せてあげたいかどうかについてはノ
ー・コメントだ……。17歳のあたしには、刺激が強すぎると思います。
そういえば、去年暮れのリハーサルではThe Prestons用のアフロかつらをか
ぶって――
「んー、この髪型、デビュー当時をほーふつとさせる」
といいながら「ガラスのジェネレーション」を歌う佐野さんも見ました(泣)。
で、ビデオの話でした。
なんと、SKDに電話をして出演交渉までしたそうなのですが。無名のロック・
ミュージシャンのビデオなんて……と、ケンもホロロに断られてしまったのだ
そう。当時、まだまだ日本ではプロモーション・ビデオという概念も定着して
いなかったし。あまりにも突飛なアイディアだったんでしょうね。
ずっと後になって、チアガールをフィーチャーしたニルヴァーナのビデオ・
クリップを初めて見た時、佐野さんは「あの時にやっておけば」と、少し悔し
かったそうです。
「そういう埋もれたアイディアは、山ほどあるんだ」と佐野さん。
そのなかには、The Hobo King Bandとならば復活させられるアイディアもい
っぱいあるかもしれません。
なんたって、この「ガラスのジェネレーション」の話を聞いたとたんに「ラ
イブのアンコールの時、佐野さんにナイショでスクールメイツ100人を登場さ
せよう」案が出たくらいですから。
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■ 新規開店! 楽屋ロック喫茶“HOBO KING”最新プレイリスト ------------
☆『100 YEAR THING』クリス・スティルス
☆『アプローズ』Various[バート・バカラックのカヴァー集](キング)
☆『Southern Delight/Barefoot Jerry』ベアフット・ジェリー(See for
miles)
☆『カッコイイ10人−東京ジャズ喫茶めぐり−』[62年の和製ポップス・オム
ニバス](Pヴァイン/ポリドール)
☆『Because』斉藤和義(ファンハウス)
☆『プロ−ファイル〜11プロデューサーズVol.1』佐橋佳幸ほか(milia/スイ
ートスプエスト)
****************************
[本日のスペシャル“クリス・スティルス”]
府中にて。楽屋に入るなりKYONさんが「聞いた? 聞いた? これは今年の
マストだよ!」と、カバンから出してきたのがクリス・スティルス。
HKB内では共通のアイドルであるスティーヴン・スティルスの息子です。お
父さんゆずりのウルテク・ギターと美声、そして現代っコらしいオルタナ気質
が絶妙にまじりあった素晴らしいデビュー・アルバム。
なんていうか、“しっかりしたGラヴ”みたいな感じ?
『The Barn』ファンには、迷わずおすすめしちゃいます。
「やっぱり、ロックンロール遺伝子ってあるんだな」と、佐野さん。
ウォールフラワーズといい、ベックといい、最近のアメリカは2世ミュージ
シャンが面白いねという話になりました。親の七光りじゃなくて、親譲りの個
性を自分流に消化しているのがすごいんだよね。
「彼らの場合、デビューに至るまでの“準備期間”が長いわけでしょ。ふつ
うの人と違って、生まれた時から準備期間が始まるわけだから。その差がデカ
いんじゃない?」というのがKYONさんの説です。
曲が変わるごとに「やばっ、やばっ」などと叫びながら、HKBは久々に“白
熱のロック喫茶”状態へと突入してしまいました。
コロちゃんが、曲を聞きながら「あれ?」と首をかしげて指おり数えていま
す。
「あれ? あれ? うーん、やっぱりそうだよ。2本足りないよ」
何のことかと思えば……ギターの弦のことでした。
さすがコロちゃん巨匠。曲を聞きながら、ギターの弦を数える男。
ちなみに、それはCDジャケットにも写っている“テナー・ギター”という
ギターです。
ジム・ケルトナーを始めとするベテラン・ミュージシャンをバックに、若さ
に似合わぬ超テク・ギターをバリバリ弾きまくるクリスくん。コロちゃんはウ
ンウン唸り、トミーはニンマリ、小田原アニキは口あんぐり。
コロ「おお、オープン・チューニング! お父さんに習ったのかなぁ」
佐野「きっと、小さい頃に家にあったギターが全部オープンチューニングだ
ったんだよ(笑)」
コロ「ありうる(笑)」
佐野「で、もうちょっと大きくなってから、友達の家でギター見て“あれ、
みんな違うの?”ってショックを受けた……とかね(笑)」
コロ「これがホントの“みんな違うの?”かぁ」
ちなみに“みんな違うの?”というのは、The Prestonsのレパートリーの中
にあるコロちゃんのセリフを引用したものです。オリジナル・バージョンでは
「おもちにバターのせて食う」という佐橋家の珍しい伝統について、コロちゃ
んが「え、みんな違うの?」と疑問を投げかけるわけですが。
オープン・チューニングと、おもちにバター。
独自な方向性という意味では、似てるかもしれません。なんとなく。
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■今週のセンパイ-------------------------------------------------------
バカラックの名曲「ディス・ガイ」を聞きながら、みんなが「これ、センパ
イに歌ってほしい」とリクエスト。センパイはトランペットが吹けるので、ハ
ーブ・アルパートばりの「ディス・ガイ」を聞かせてくれるのでは?
佐野さんも、「アキラ、頼むから歌って。低い声でさぁ、チェット・ベイカ
ーばりに……」
そこで、アキラさんの新しい呼び名決定。
チェット・ベイカーならぬ……
「チェット・ベーカリー」(命名・もちろんKYON)
片手に菓子パン、片手にトランペット。食べてる合間と吹いてる合間に歌う、
伝説のヴォーカリストっつーことで。だめ?
そして、終演後。
小田原さんがファンの人にもらったジミヘンのポスト・カードを見ていまし
た。そしたらなんと、ワイルド・モードに入っている時のセンパイがちょびっ
とジミヘンに似ていることが発覚!
そこで、さらに新しい呼び名決定。
「ジブン・ヘンドリックス」(命名・もちろん小田原)
「そうやって、どんどん勝手に名前を増やさないでくださいよぉぉ(泣)」
とセンパイ。
ちなみに、センパイは「じぶーん」「きさーん」を連発するのが口ぐせなの
でございます。
[参考]最近のセンパイの呼び名一覧
・ユウサク(由来は“松田”)
・ヨシオ(由来は“原田”)
・タカシ(由来は“反町”)
・トシユキ(由来は“細川”)
・チェット・ベーカリー
・ジブン・ヘンドリックス
※気に入った名前があったら、キミもコンサートで叫んでみよう!
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■メールくださーい-----------------------------------------------------
たくさんのメールありがとうございます。うれしいです。メールでレポート
を送り、メールで感想をいただく。なんか、ホントにメール文通しているみた
いな気分になりますね。なかなかお返事できないかもしれないけど、このSTT
が“お返事”だと思ってやってください。これからも、ご意見ご感想やリクエ
スト、質問などなど……なんでもください。
今回ちょっとうれしかったのは、このSTTあてにいただいたメールの話をき
っかけにステージでの“メンバー紹介”ニュー・バージョンが生まれたこと。
そーゆーのって、楽しいよね。楽屋には佐野さんもノート・パソコンを持ち込
み、ツアーが始まったら他のメンバーも加わって“インターネット・カフェ
HKB”状態になるのかな。そしたら、メンバーのみなさんにも参加してもらい
ましょうねっ!
ところで。
単行本『フルーツ・ダイアリー@web』の最後にあるSpecial Thanksのクレジ
ット。そのなかに“IHKBPC”という謎の文字があるのを発見した人いる? こ
れはね、ここで初めて説明するんですけどね、“インターナショナル・ホーボ
ー・キング・バンド・ペンパル・クラブ”の略なのです。
「名前は長いほうがおもろい」と、命名したのはKYONさん。
佐野さんやメンバー、ツアー・スタッフの“インターネッター”で結成しま
した。で、お互いにメールを出す時には「IHKBPC会員番号○番●●です」と書
くことにしていたのでした。ちなみに、佐野さんが名誉会長で会員番号1。そ
のあとは10番、100番、1000番、10000番……とゼロがいっこずつ増えていくの
です。
そのペンパル仲間・照明チーフの酒井さんが、STTの第1号の“酒井さん、
燃えております”と書いたのを見てメールをくれましたよ。
「ちょっと誉めすぎでんがなぁ〜。しかし、たしかに燃えておりますです
(笑)。毎回、鼻た〜かだかにVサインしたい所なんですが……。照明オペレ
ートの場所はホールによって客席の中だったり調光室(客席後方や向かって左
か右の客からは見えない所)だったりするのですよぉ〜。と言うことで、Vサ
イン出来ない事もありますのでその旨伝えておいて下さいませ。(笑)」
とのこと。無断転載すまんっす。
客席の中で仕事をしている時の、ノリノリな酒井さんを見つけたら手を振ろ
う!
初めてのニュースレター体験。なかなか試行錯誤ちゅうの毎日ですが、励ま
しのメールをいただいてノージも燃えております。23日からは浜松〜京都〜福
岡と、最初の長旅が始まります。STTも、いよいよ旅先からのメールとなりま
す。どんなことになるのかなぁ。楽しみに待っててくださいね。ではまた!
メールのあて先は、 nohji@DaDooRonRon.com まで。
登録や、このメーリング・システムに関するお問い合わせは
stt-info@moto.co.jp まで。
なんせ機械のむつかしいことはわからないので、MIPSアニキに聞いてくださ
い。
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★ 次号をお楽しみに!
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ MIPS PRESENTS ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ノージのSmall Town Talk ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 佐野元春 and The Hobo King Band ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜 ◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Vol.3 <1998.1.29>
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★ Information from MIPS ★
○ 「THE BARN TOUR '98」で活躍する楽器に焦点を当てた企画「Instruments
Tour」。バンドのこだわりを感じるページをのぞいてみよう!
http://www.moto.co.jp/TheBARN/live4.html
○ インターネット上に展開された、佐野元春の音楽を応援する有志たちの「佐
野元春Webサイト」を一挙紹介。
http://www.moto.co.jp/OnTheNet/MotoSites.html
※ その他詳しくは Moto's Web Server で!
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★ ノージからのごあいさつ ★
いやぁ〜、メール遅くなってすみませんです。
ライブとかグルメとか忙しくて、あと本業の原稿の〆切もいっぱい抱えたまま
旅立ってしまったもので……。モバイル・ライフはどこにいても仕事ができる
点は便利だけど、どこにいても原稿の催促がせまってくるところが不便ですにゃ
あ(泣)。
佐野元春&The Hobo King Bandの“旅”が、いよいよ浜松公演からスタートし
ました。すでに東京近郊5公演を終えているものの、やはり団体行動の醍醐味は
全国ツアー!? 早くも“オトナの修学旅行”って感じです。エッチな意味ぢゃあ
ないよっ。
というわけで、このSTTもいよいよモバイル発信ですよ。インターネット馬券師
・KYONさんも、ホテルにチェックインしたとたん電脳投票の準備にとりかかって
いる模様。
本日は、浜松&京都公演の模様などをお届けしましょう。
■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■本日はギター祭り!! (1月23日・浜松アクトシティ)
■これが佐野元春 and The Hobo King Bandだ'98!!(1月25日・京都会館)
■“楽屋ロック喫茶・Hobo King”最新プレイリスト(解説つき)
■今週のセンパイ
■メールください!
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■本日はギター祭り!! (1月23日・浜松アクトシティ)-------------------
「これだけ楽器のない楽屋も珍しい」
といわれるHKBですが、それは佐野さんも言っているように“お楽しみは本番に
とっておく”という精神のあらわれ。
しかし、この日はたまたまコロちゃんがガットギターをつま弾いていた。京都
・磔磔でのセッションで演る曲を選んだりしつつ、スパニッシュ奏法で弾きなが
ら「スペインからやってきました、ホセでーす」とか言ったりして遊んでいたの
だった。
とはいえ。“遊ぶ”といっても、最高のライブは“うまく楽しく遊べた時”に
実現したりするバンドなわけだから。今になって思えば、この楽屋でのつま弾き
が、その後におこなわれたライブの“前兆”だった……?
とにかく、わたしが思うに、浜松は“ギターDay”だった。
初日からここまで毎回ライブを見てきて、いつも違う風景が見える。演奏され
る曲はほとんど同じなのに、いつもまったく別の場所に連れていかれるような気
分になる。で、その日によって、バンドの先頭を走るひとが変わっていくように
見える。
とりわけベースがバリバリに響いてくる日もあれば、キーボード同士のかけあ
いがコンサートの流れの主流を作っていると感じる日もあるし、炸裂するドラム
スのビートがバンド全体のグルーヴを支配していることを体感する日もある。実
際はそれぞれ全員が、それぞれの瞬間に先頭を走ったり追い抜かれたり……と絶
えずデッドヒートを繰り返しているのだけれども。
それでも、コンサートが終わった後に「今日のMVP」的な存在がぐーんと強烈な
印象を残すことがある。
無敵の強さを誇るチームプレイを見せつつ、そのなかでは個性的な選手たちが
互いに本気で競いあっている。今のHKBは、そんなふうに見える。つまり、ひとつ
のバンドの中に団体競技と個人競技が同居しているような……。
“フルーツ・ツアー”の時は、観るたびにバンド全体が“最強チーム”をめざ
してぐんぐんパワーアップしていく様子が楽しみだった。
けれど今回は、“最強チーム”としてスタートした彼らが試合ごとに見せてく
れる鮮やかなフォーメーション・プレイにハラハラしたりドキドキしたりニマニ
マしたり……てな感じで、わたしは心の中で勝手に実況中継をしながらゲームの
行方を楽しんでいる。で、こそ“STT”こそが“心の実況中継”の再録だったりす
るわけですよ。
今日のMVPは、誰がなんと言おうと佐橋佳幸だった。
彼のプレイが多くの場面で“発火ポイント”になっていたこと、本人もステー
ジ上で実感していたみたいだ。
切り込み隊長のコロちゃんが張り切れば、“ギター・チーム”全体がグングン
と加速していく。佐橋のフレーズに、絶妙のタイミングかつ正反対の“口調”で
応えるKYONのギター。荒々しかったり繊細だったりと、表情豊かなリズムを刻む
佐野のギター。
井上・小田原コンビが強靱なビートをうねらせようとも、西本・KYONコンビが
重厚な連弾プレイで攻めようとも、この浜松でのステージの“舵”をとって
いたのは佐橋・KYON・佐野のギター・チームだった(ひとり、2チームに参加し
ているヒトがいるけどね)。
The Hobo King Bandの“ギター・バンド”としての強さ、あらためて思い知ら
されちゃったなー。
とりわけアコースティック・ギター3本が熾烈にからみあう「マナサス」のス
リルといったら!! 観るたびにどんどんストーリーがふくらんでいく不思議な曲
だ。演奏する側にとっても「演るたびにどんどんスゴくなっていく不思議な曲」
だそう。
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■これが佐野元春 and The Hobo King Bandだ'98!!(1月25日・京都会館) --
彼らがステージに登場した瞬間から、ただならぬテンションの高さが伝わって
きた。
なんて書くと、いかにも紋切り型の表現に見えてイヤなんですけど。
オープニングの瞬間から、「わ、きたきたきたーっ!!」と思った。前々日の浜
松公演でコロちゃんが自分のギター・プレイに関して、「やろうと思ったことが
ことごとくうまくハマッた」と語っていたけれど。この日はたぶん、メンバー全
員が同じようなことを感じていたんじゃないだろうか。
とりあえず、今の段階でもっとも完璧に佐野元春&The Hobo King Bandらしい
“カタチ”を描いたライブだったなと思う。
疾走感も、不揃いな凸凹感も、観客を楽しませる精神も、自分たちがめいっぱ
い楽しんでしまう余裕も……すべてひっくるめて、Very Hobo King。そして、Very
佐野元春。
これだけサウンド・スタイルが変化し、このバンドとしての真新しいアイデン
ティティをひっさげてのツアー。10数年間にわたってザ・ハートランドとのライ
ブ・パフォーマンスを見慣れてきたファン(←もちろん、わたしも含めてね)に
とっては違和感あってしかるべきなステージのはずなのに。
実のところ、わたしがずーっと待ち続けてきたのは“今、ここにいる佐野元春”
なんだという気がしてならない。
コンサート終盤、「アンジェリーナ」で会場のテンションが沸点に達する。
この場面は、今の佐野元春を語るうえでとても象徴的なものに思える。The
Hobo King Bandが誇らしげに奏でるイントロダクション。それは、まぎれもなく
前半で演奏された新作『The Barn』のグルーヴの延長線上に存在している。そし
てなおかつ、この曲に佐野が生命を吹き込んだ瞬間のみずみずしい躍動までもが
1998年的なスピード感で体現されている。
懐かしい“元春クラシックス”を聞くたびに、それらの曲を書いた頃の佐野元
春の姿を想像してしまう。それは目の前で歌っている佐野から伝わる情熱のせい
でもあり、その情熱をまっすぐに受け止めて完璧な形で表現することのできるHKB
のワザとパワーのせいでもある。
「本当にカッコいいよね、今の「アンジェリーナ」。なんか、曲自体が“ルー
ツ返り”しているような……そんな感じもするよね」
この曲を数え切れないほど演奏してきたセンパイさえも、そんなふうに言う。
わたしだって、数えきれないほど「アンジェリーナ」を聞いてきたけれど。な
んか、この曲を書き終えた瞬間の佐野元春のあふれる思いがストレートに伝わっ
てくるような……そういう気持ちになったのは初めてのことだ。やっぱり、音楽
って不思議だね。ライブだけではなく、楽曲さえも“生き物”なんだなぁと思う。
とにかく、京都でのライブは圧倒されっぱなし。
テンションあがりっぱなしのHKBが、後半にはついに糸の切れたタコになってし
まった。
うむ、これでこそ佐野元春&The Hobo King Band。
会場のウッディな雰囲気も、今の彼らにぴったりとはまったのかな。わたしは
といえばレポーターとしての役割を忘れて、けれど音楽ファンとしては最高の開
放感を堪能することができた次第。
で。正直なところ、ライブが終わった時点で燃え尽きてしまいました。で、何
も言えなくなってしまったのですよ。できれば、そのままベッドにもぐりこんで、
夢でもういっかい同じライブを観たい……と思ったくらい。そんなわけで、この
ライブに関してはうまく書けなくてごめんなさい。
でも、彼らがここで全力を出しきって燃え尽きたと思ったら大間違い。
いつも全力は出しきっているけれど、今の自分たちがどこまでスピードをあげ
られるか……彼ら自身がまだまだわかっていない。とりあえず、まだまだ燃え尽
きるわけにはいかないだろうってことは確か。
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■“楽屋ロック喫茶・Hobo King”最新プレイリスト(解説つき)------------
☆『SWEET SEASON』SOY(ポリドール)
☆『SWEET16』佐野元春(m's factory/Epicソニー)
☆『ONE MAN DOG』ジェイムズ・テイラー(ソニー)
☆『KING OF ROCK'N ROLL』ボ・ガンボス(Epicソニー)
☆『WINGS GREATEST HITS』ポール・マッカートニー&ザ・ウイングス(東芝EMI)
☆『POPTOPIA'70's』Various(Rhino)
☆『Sugartime』EP
☆『SAFE AT HOME』Gram Parsons' International Submarine Band(SUNDOWN)
☆『DIG MY MOOD』ニック・ロウ(Demon/Sound Circus)
−解説−
さあ、楽屋ロック喫茶もいよいよ本格的にネタが増えてまいりました。
メンバーが旅のお供に持ってきたCDとか、あとは26日の京都・磔磔でのHKB
セッションの選曲用として聞いているものが多いです。今回の場合は。
浜松の楽屋でトミーが、イアン・ゴムの「ホールド・オン」を歌いたいと言っ
たところ、その絶妙にして微妙な“はずし”のセンスが佐野さん含むメンバーに
大ウケ。浜松ではパブ・ロック話に花が咲き、どうせなら京都セッションは「パ
ブ・ロック・ナイト」にしようか……なんて話になったりして。
そしたらKYONさんが「じゃ、オレは「クルエル・トゥ・ビー・カインド」を歌
おう」と言いだし、それを聞いていた佐野さんまでもが「あ、オレ、コーラスや
りたいよー!!」と、選曲ミーティングに乱入……。
もりあがりましたー。もはや、ロック喫茶というよりも“うたごえ喫茶”みた
いになってしまいました。
で。そんな話をしているうちに、みなさん次々と“急に聞きたくなった曲”が
出てきてしまいました。
食べ物の話をしていて「あー、それ食べたくなっちゃった〜」と思う感覚と、
音楽の話をしていて「あー、それ聞きたくなっちゃった〜」と思う感覚って似て
ますね。
「じゃあ、買い出しに行ってきましょう」
と、コロちゃん。
浜松から京都へ移動する合間、大阪に1泊していたのですが。さっそくコロち
ゃんは、心斎橋タワーレコードへ。ノージもついていきました。
そしたらなんと!!
あろうことか、レジ横コーナーで“パブ・ロック”特集をやっているではあー
りませんか!! 「今どきパブ・ロックっつーのもねー」なんて笑っていたのに、
しかも「今どきイアン・ゴムとは!!」とゆってたらイアン・ゴムがダーッと並ん
でいるではありませんか。しかも、「クルエル〜」のセルフ・カヴァー入りイア
ン・ゴムの新作まであるではありませんかー。
これはもう、パブ・ロックに“呼ばれた”としか言いようがありませんな。
他にもカントリー・ロックの元祖、グラム・パーソンズがドーンと飾ってあっ
たり。なだか、「つまり、オレに買えってゆってるってことかぁ!?」みたいなも
のだらけ。
で、結局は「なんだか、楽屋の“備品”買い出しみたいになっちゃったねー」
とゆーラインナップをごっそり買いまくったのでした。
なので、翌日の京都会館の楽屋は充実してましたよ。CDが。
佐野さんも興味しんしんのニック・ロウの新作は、シブいなたかったです。そ
して、イアン・ゴムの「クルエル〜」は、“ゴムゥ〜って感じ(泣笑)”(by
HKB)でした。
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■今週のセンパイ-------------------------------------------------------
☆今週の金言
「ハーモニカホルダーにお弁当をつけたい」(at 浜松の楽屋)
ステージで、センパイのキーボード上にお弁当をセットしておいて本番中も
ずーっと食べてるセンパイ……というのはどうだろう? というHKBの提案に対
する、センパイの回答。
****************************
ツアー始まって以来、人気めきめき急上昇中の西本明センパイ。
しかし。どんなに人気が急上昇しても、いぜんとして遅刻王の座は誰にも譲り
ません。
ホテルのロビーで、集合時間を10分過ぎたのでセンパイの部屋に電話すると…
…、
「センパイ、何してるんすか!?」
「ん? 今からシャワー浴びよっかなーと」
なべマネやローディー正也によると、ハートランド時代から10年以上にわたっ
てずーっとそんな感じだそうです。
なぜって、それがセンパイだから。
生活習慣が変わらないということは几帳面といえますが……。ハートランド時
代、あまりに遅いセンパイを心配してホテルのマスターキーを使って部屋に突入
したところバスタブでグースカ寝ていた……という伝説もあります。朝ですよ、
朝。
でも、それがセンパイなのだとゆーことが、ノージもだんだんわかってきまし
た。センパイは、ひとつの宇宙なのです。だから、地球のルールとは無関係の慣
習で動いているのです。そんなわけで、つまり“ミッチー星のミッチー王子”み
たいなものではないだろうかということになり、センパイのいない時にスタッフ
やメンバーで彼の新しい呼称を考えてあげました。
殿下。
確かに、優雅で物事に動じないセンパイのふるまいにはノーブルでロイヤルな
雰囲気が漂っております。でも、センパイが本当にロイヤル・ファミリーだった
らテープカットとか大事な式典にも遅刻するんだろうなぁ。
ちなみに、センパイは“殿下”と呼ばれていることを知りません。
はたして、この新たな呼称は浸透するでしょうか!?
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■メールください!!-----------------------------------------------------
旅先で、メールもらうのってうれしいです。浜松公演の日に「ようこそ浜松へ!」
というメールが届いていたり、これから行く場所のグルメ情報などを教えてもら
ったりすると、このSTTが本当に“インターネット文通”状態になってるんだなぁ
と楽しくなっちゃいます。
しかし。いかんせん、返事を書く時間がないのだ。ごめんなさい。でも、もち
ろん全部ちゃんと読んで。感謝してます。
さて。わたくしは現在、福岡におります。HKBのみなさんよりひと足先にひとり
で九州上陸させていただきました。
「先にぬけがけラーメンだけはするなよ」と、なべマネからキツく言われており
ますが……行ってやるう。
つーわけで、次回は福岡公演の模様をお届けします。でも、もしかしたら、そ
の前に“号外”が届くかもしれません。
そうなのよ、アレの話を書かなくちゃ。アレの話を。
では、次号をお楽しみに!
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★★★★★★★★★★ MIPS PRESENTS ★★★★★★★★★★★
★★★★ ノージのSmall Town Talk スペシャル ★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
『速報! The Hobo King Session at 京都・磔磔』号
<1998.2.1>
★号外だよ!★
福岡公演を終えて、やっとこさ東京へと戻ってきたノージです。浜松〜大阪
〜京都〜福岡という、10日にわたる長旅。さすがに東京の空気が懐かしいどす
えですたい(←最近、行った場所のニセ方言を混ぜるのがマイ・ブームでHKB
さんにいやがられています)。
1月26日、京都のライブハウス“磔磔”でおこなわれたThe Hobo King Sess
ion“お正月スペシャル?”の模様をお伝えしたくての“号外!”。遊び疲れ
て、なかなかSTTにとりかかれずに遅くなってしまったのですが……。これは、
いわばHKBの“部活動”。The Barnツアーとは無関係とはゆえないセッション
ですからね、ぜひぜひご報告したくて。
だいたい、このセッションには関係ないはずの佐野さんでさえ燃えてたんで
すから。なんで燃えるかなー。出演しないのに……。
■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■HKB、選曲するの巻
■HKBの休日
■オクラホマの巨人、ひみつで来日!!
■The Hobo King Session at 磔磔
■おまけ〜演奏曲目リスト
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■HKB、選曲するの巻
佐野さんをのぞくThe Hobo King Bandの面々が全員集まってのセッション
“The Hobo King Session”も今回が3度め。
これは何かと、いちおう説明しておきます。
もともと、昨年3月にKYONとトミーがやった“ウメキョン・セッション”に
他のメンバーが日替わりでゲスト出演したことをきっかけに始まったのですが。
毎回、各自がお気に入りのカバー曲や自作曲を持ち寄って披露する“The Hobo
King Bandのお楽しみ会”みたいなものです。
でも、お楽しみ会といっても……この面々ですから、毎回ものすごいことに
なっちゃうんですけどね。
「選曲しなくちゃなぁー」などと話しながらも、なかなか忙しくてセッショ
ンの相談ができなかったHKBですが。いよいよ旅も始まった浜松公演、セッシ
ョンも3日後にせまっているとゆーことで責任者のKYONさんを中心に東京駅か
ら選曲ミーティングが始まりました。
東京駅で新幹線に乗り込んだとたん、HKBは佐野さんの「Sugatime」のシン
グルを見て盛り上がっておりました。なんでそんなもの見ていたかは、まだナ
イショ。ジャケット写真の佐野さんは、超若いうえにシティボーイな(←死語)
ファッション。で、わーわー盛りあがっているところに遅れてやってきた佐野
さん。「またそんな古いものを……(泣笑)」とずっこけ。
ちなみに「Sugartime」のシンセはセンパイが弾いているそうです。それを
聞いて、一同「センパイ、オトナだなぁ!!」と、感動。
甲斐バンドの「HERO」のレコーディングで弾いていたりと、最近センパイの
“オトナ”ぶりを証明する事実が次々と発覚。日本ロック界の生き証人っつー
か、そんなです。
で。浜松の楽屋には資料用CDがごっそり。
そして、みなさん覚えていらっしゃいますでしょうか、フルーツ・ツアーat
浜松アクトシティの“楽屋拝見”写真を。佐野元春画伯のマンガ展がおこなわ
れた、あのホワイトボードを。
今回も、ホワイトボードはちゃんと置かれていました。ただし、画伯のマン
ガはなし。なぜなら、これが選曲会議に使われたからです。KYONさんが全員の
名前を書いた表を作り、それぞれの歌いたい曲を書き込んでいきます。
なぜか、京都でのセッションに関係ないはずの佐野さんも「じゃあ、オレは
ねぇ……」とミーティングにわりこんできますよ。
楽屋ロック喫茶の延長のような感じですから、誰かが何か言うとシリトリの
ようにミュージシャンや曲名が並んでいきます。
トミーがイアン・ゴムといえば、コロちゃんが「じゃあ、オレはポール・キ
ャラック!」といい、佐野さんが「そーいえば、ロックパイルとかいいよねぇ
……」。
それで、今回はどっかに「パブ・ロック特集」をやろうということになりま
した。
あと、その後もずーっと盛り上がっているネタは「HKB ホールド・オン・コ
ンサート」。イアン・ゴムとかサム&デイヴとか、「ホールド・オン」という
曲はものすごく多い。なので、いろんな「ホールド・オン」だけを演るライブ
はどうだっ!?
「じゃ、次の曲は「ホールド・オン」です。(中略)どうもありがとう、そ
れでは次の曲は「ホールド・オン」です。(中略)それでは最後の曲になりま
した、「ホールド・オン」です。(中略)アンコールありがとう、では聞いて
ください、「ホールド・オン」。(中略)2度もアンコールがあるとは思わな
かったので、何をやろうかと迷ったんですけど……聞いてください、「ホール
ド・オン」です」
こーゆー音楽ネタでゲラゲラ笑っているのが、ものすごくHKBっぽい光景な
のですが。これが客観的にオモロイかどーかはナゾ。でも、きっとロック好き
な人たちなら、こういう他愛ない音楽バカ話をしているときのシアワセな気分
って……わかるよね?
資料用に集めたCDをかけては、みんなで歌ったりして……“ロック喫茶”
というよりは“うたごえ喫茶”みたいな状態になっております。楽しそうです。
テキパキとホワイトボード上の候補曲を整理して、ライブの構成を決めてい
くKYONさん。プロデューサーとかバンマスというよりも、軽音楽部の部長さん
って雰囲気です。
コンサートが終わった後も、すぐに楽屋で資料用のCDをカセット・コピー
する作業が始まりました。
そして、ホワイトボードには大きな文字で……
「明日、6時から口(くち)リハやります!!(at コロかKYONの部屋)」
という連絡事項が……。今回は、いつものようにリハーサルの合間にステー
ジで練習するヒマがなかったのです。だから、ホテルの部屋で自分のパートを
歌って“口リハ”するだけで本番にのぞむことになりました。
えー、ホントにそれだけの練習で大丈夫なんでしょうか……??
■HKBの休日
翌24日。浜松を出て、25日に公演のある京都へ向かうかと思いきや。HKBは
大阪へ。翌日、車で京都へと向かうそうです。なんでわざわざ大阪に行くのか、
ノージはよくわかりませんけどね。たぶん週末でホテルが混んでるとか、そー
ゆー理由なのかな。
とにかく、HKBは新幹線で大阪に到着。
こういう公演の合間日は“移動日”と呼ばれており、いわば休日のよーなも
のなのですが。HKBは休むわけにはいきません。なぜなら、26日に京都でおこ
なわれるシークレット・セッション(←別にヒミツじゃないけど、特に宣伝も
していないから知らない人も多いのです)の“口リハ”がおこなわれるからで
す。
リハーサルまでに、自分が演奏する曲の譜面を書いてくること。
という宿題があったので、前夜は飲みに行くこともなくホテルの部屋に戻っ
たメンバーも多数。
でも、なんか、これだけの一流ミュージシャンが揃ってるから当然かも知れ
ないけど……。メンバー全員が、CDを聞きながらサラサラッと簡単なコピー
譜面を書けちゃうってすごいなぁと思います。なぜなら、昨今のJ-POPシーン
は自分で譜面の書けないミュージシャンがびっくりするほど多いですからね
(泣)。
大阪に到着してすぐに、全員譜面書きのために部屋に。前日から「レコード
買いたくて気が狂いそうだ!!」と悶絶していたコロちゃんは早めにオシゴトを
終えて、ノージの案内にて心斎橋タワーレコードへ。
ここのタワーはホントに素晴らしいです。なんつーか、要するに超HKB好み
なディスプレイなのです。以前、カントリー・ロック特集をやった時にはKYON
さんのフェバリットであるベアフット・ジェリーがザ・バーズを押さえて売り
上げ1位を記録したっつーくらいですから。
今回も、コロちゃん来訪を予見していたかのような見事な品揃え。
わぉ〜ん。
と、まるで「Drive」の佐野さんのような歓喜の雄叫びをあげて混雑する店
内に消えてゆくコロちゃん……。
1時間後、再びその姿を発見した時には「やばいっすー」と、パンパンにふ
くらんだタワー袋(大)をひきずって歩いていらっしゃいましたよ。
ハッと気がつけば、5時45分!!
あわててタクシーでホテルへ戻ります。
やがて、小田原アニキをのぞく全員がコロちゃんの部屋に集合。アニキはパ
チンコを終えて、大遅刻して登場しました。
さっそく、コロちゃんが浜松から自ら運んできたガット・ギターをとりだし
てリハーサル開始。コロちゃんの伴奏で、それぞれのレパートリーの歌とか構
成とかアレンジを確認しながら全員でフンフンフン〜と歌ってます。
ホテルのふつうのシングル・ルームにHKB全員がひしめきあってる様子は、
かなりヘンです。ベッドの上とかテーブルの上とか、床の上とか……ぎゅうぎ
ゅう詰めで。だけど、すごく楽しそう。田町探索隊(トミー、コロ、KYON)に
よるコーラスの練習なんて、ライブで聞くよりずーっと素朴でフォーキーで新
鮮な感動が……。
ノージは思いました。この風景、どっかで見覚えが……と。そうだ!! 高校
時代とかに友達んちに行って勉強部屋でレコード聞いたりギター弾いて遊んで
いる時の感じにそっくり。あと、文化祭前日の感じとかね。
ポテトチップとかのお菓子をポリポリしながら練習しているところとか、
「ホテルのコピーはさんじゅうえんだけど、コンビニならじゅうえんだ!!」と
譜面コピーにわざわざコンビニまで走るところとか。なんか高校生みたいだな
ぁ。今年でよんじゅっさいの厄年コンビもいるオトナのバンドなのにね。
■オクラホマの巨人、ひみつで来日!!
さて、HKBがこうして着々とライブの準備をすすめていると……。
またもや、アイツがやってきた!!
BLIND BOY M!
通称BBM。知ってるひとは知っている。オクラホマが生んだ、伝説的ブルー
ス・ミュージシャン。動物とMr.Beanをこよなく愛する心優しきブルースマン。
昨年10月におこなわれた京都・磔磔でのThe Hobo King Sessionでは、たっ
た1曲のためにわざわざオクラホマから来日。日本では佐野元春の密かな愛唱
曲としても知られるスタンダード・ナンバー「コリーナ、コリーナ」を歌って
喝采を浴びたBBMだが。
なんと、今回もThe Hobo King Bandお楽しみ会のために極秘来日!!
極秘なんだけど、一部では勝手に“全国ツアー”ちゅうとのウワサもある。
で、本当はBBMは翌日東京で大切なお仕事ができてしまったので、ゲスト出演
はダメかも……と囁かれた。しかし、1月23日のこと。来日したとたん、なぜ
か浜松アクトシティの楽屋に姿をあらわしたBBMは……
「いや、大丈夫。行くよ。だって、オレも磔磔出たいもーん」
と、オクラホマのブルースマンらしからぬ口調できっぱり。
そして彼は、楽屋での選曲ミーティングにも積極的に参加。しかし、なぜか
佐野元春がサウンド・チェックのためにステージに向かった間は姿を消してい
たのだった……。それにしても、その時ステージのほうから佐野元春が10年以
上も人前で披露したことのない名曲「情けない週末」が聞こえてきたのは何だ
ったのだろうか?(←しらじらしい)
その後、再び楽屋に戻ってきたBBM。
バンドが磔磔セッション用に準備していた茶パツロン毛カツラをかぶり、楽
屋に流れていた元春ナンバー「Sugartime」に合わせて激しくヘッドバンキン
グしながらシャウトしてみせるなどエンターテイナーぶりを発揮。
「今回はヒミツ兵器のサングラスがある」
と、さらに取り出したのはト音記号を横にした形の不思議なメガネ。なんで
もアラン・ミクリがコレクション用に作った1点ものを譲ってもらったとかで、
非常に美しいアート作品なのだった。佐野元春も何年も前にフォト・セッショ
ンで使用したとか。
しかし、茶パツロン毛とサングラスをかけている姿は……あやしすぎる。
こんなの元春じゃなーい(泣)……って、もともと元春じゃないからいいん
だけど。
そんなBBMのサービス精神に感動したThe Hobo King Bandは、BBMへのお礼の
気持ちをこめたサプライズド・プレゼントを画策。磔磔でのセッションで、BBM
をステージに呼び出す“お囃子”(byHKB)音楽で彼をビックリさせようとい
うことになった。決まったのは、セッション前日。京都会館でのリハーサル中
のこと。
その「Sugartime」のカップリングに収録された、マージービートの小品
「Wonderland」。この曲を、BBMが席をはずしたすきにこっそりコピー。コロ
ちゃんがさささっと譜面を書き、KYONが曲頭のセリフをサンプリング。果たし
てBBMはどんな反応を示してくれるのか、そして果たして自らも歌ってくれる
のか。ワクワクニヤニヤしながら、こっそりと譜面コピーを配って小声で“口
リハ”したのだった。
それにしても、オクラホマのブルースマンがどーしてこんなに“佐野元春”
に詳しいのかはナゾ(←しらじらしい)。
■The Hobo King Session at 磔磔
そして迎えた1月26日。
当日はThe Hobo King Bandの親しい仲間である、ナゾの2人組キーボード&
ボーカル・ユニット=The Prestonsも出演。思えば、昨年10月に磔磔でおこな
われた1回めのThe Hobo King SessionはThe Prestonsのデビュー・ライブで
もあった。
そんなご縁もあって、熱心なThe Prestonsマニアである有志がアンオフィシ
ャル・ファン・サイト上で前回&今回のセッションの詳細なライブ・レポート
を掲載している。
当日、わたくしノージはThe Prestonsのマネージャーとしてゆっくりライブ
を眺めているヒマがなかったうえに、現在こうして原稿を書いているうちに旅
疲れでねむたくなってきちゃったの。そんなわけで、この日のセッションの模
様はThe Prestonsのオフィシャル・サイト内にあるリンク集「We Love
Prestons!」のページから竹村、qawauchi両氏が主宰するページのレポートを
ご覧ください(と、無断リンク。2人とも、ごめんね)。
昨日、HKBは福岡サンパレスの楽屋でHKBはおふたりのライブ・レポートを熟
読。「洋楽好きとしての“笑いのツボ”を心得たナイスなつっこみ」と好評を
得たっちゅーことで、これを勝手に“公式レポート”として紹介させていただ
く次第。
ちなみに、福岡サンパレスの楽屋にもなぜかまだBBMが居残っており一緒に
ライブ・レポートを熟読。その後で「ところでさ……オクラホマって、どの辺
にあるんだっけ?」と、ブルースマンらしいおおらかなボケをかましていたの
でありましたよ……とほほほ。
The Prestons オフィシャル・サイト「Meet The Prestons!」
■おまけ〜演奏曲目リスト
*曲目に続く( )内はオリジナル・アーティストです。
[第一部]
1.「Oye Como Va(僕のリズムを聞いとくれ)」(サンタナ)小田原
2.「丸木舟」KYON
3.「Dancing In The Moonlight」(キング・ハーヴェスト)佐橋
4.「Small Town Talk」(ボビー・チャールズ)トミー
5.「Ol' 55」(トム・ウェイツ)センパイ
6.「Don't You Care〜僕にはわからない」(佐橋佳幸)佐橋
7.「Wild Horses」(ローリング・ストーンズ/フライング・ブリトー・ブラザーズ)
KYON
8.「American Band」(グランド・ファンク)小田原
[第二部]
1.「Mercy Mercy Mercy」(キャノンボール・アダレイ/バッキンガムズ)
ラブ・シャンデリアス(コロ、トミー、ユタ)
2.「あまりにもヒェー」The Prestons
3.「節分の唄(元『プレストンズのメリー・クリスマス』)」The Prestons
4.「BBM 呼び込みのテーマ〜Wonderland(Walkmanのテーマ)」
5.「Corinna, Corinna」(ジョー・ターナー)Blind Boy M.
6.「情けない週末」(佐野元春)Blind Boy M.
7.「Cruel To Be Kind」(ニック・ロウ)KYON with Blind Boy M.
8.「Hold On」(イアン・ゴム)トミー
9.「2-4-6-8 Motorway」(トム・ロビンソン・バンド)センパイ
10.「Life In The Fast Lane」(イーグルス)佐橋
[アンコール]
1.「My Blue Heaven(私の青空)」(エノケン)KYON
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★そんなわけで、現在午前3時ころ。ノージは眠たいです。なぜなら、昨夜は
福岡最後の夜ということで……HKB“お約束”の深夜セッション&ラーメン祭
りがあったからです。オレなんか酔っぱらっちゃって、路上に死す状態だった
よ(反省)この件は、次回STT Vol.4にてお伝えします。
では、次号をお楽しみに。おやすみなさい……ぐぅぅ。
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ MIPS PRESENTS ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ノージのSmall Town Talk ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 佐野元春 and The Hobo King Band ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜 ◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Vol.4 <1998.2.6>
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★ Information from MIPS ★
○ 「THE BARN TOUR '98」で活躍する楽器に焦点を当てた企画「Instruments
Tour」。バンドのこだわりを感じるページをのぞいてみよう!
http://www.moto.co.jp/TheBARN/live4.html
○ インターネット上に展開された、佐野元春の音楽を応援する有志たちの「佐
野元春Webサイト」を一挙紹介。
http://www.moto.co.jp/OnTheNet/MotoSites.html
※ その他詳しくは Moto's Web Server で!
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★ ノージからのごあいさつ ★
今年のインフルエンザは、本当におそろしいんだな……と、あらためて実感
した次第です。だって、あれだけ厳しく自己管理をしてきた佐野さんでさえも
“倒されて”しまったんですから。
すでにMWSをはじめとする各媒体での発表でご存じかと思いますが、佐野さ
ん急病のために東京&神奈川での公演が延期となってしまいました。
デビュー以来、コンサートをキャンセルしたのは今回が初めてだそう。
この日を去年からずっと楽しみにしてきた人も多いでしょう。その残念な気
持ち、そして佐野さんの容態を心配する気持ちはヒシヒシと伝わってきます。
もちろん、あたしも同じ気分ですから。でも、病気っていうのはカラダが「休
め」と命令しているってことなんだと思います。オカンやカレシの命令にはそ
むいても、カラダの命令にそむくことはできません。
たっぷり休養をとり、病状も少しずつ快方に向かっているとの連絡が入って
います。ですから、佐野さんの1日も早い全快をお祈りすると共に、お休みし
たぶんのパワーをステージ上で“3倍返し”してくれる日を楽しみに待つこと
にしましょう。
HKBのメンバーも“3倍返し”の準備オッケー……みたいです(^_^)。
今日はライブが延期になったぶん時間に余裕ができました。なもんで、いつ
もより長めに書いちゃおっかなーと思っております。
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■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■境界線(1月30・31日・福岡サンパレス)
■病魔退散祈願スペシャル・佐野元春ダイナマイトMC集
■楽屋ロック喫茶Hobo King・最新プレイリスト
■好評企画・今週のセンパイ
■メールください
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■境界線(1月30・31日・福岡サンパレス)-------------------------------
まずは足場をがっちりと固めて、次に全体の輪郭をしっかりと組み上げて、
それから加速していって、築いたものを破壊して、また足場を固めていく……。
佐野は、そんなふうに動いていくつもりなのかもしれない。
1月25日、京都会館第1ホール。終演後、満足のあまり誰もが無口になって
しまった。“The Barn”の本質が少しずつ姿をあらわし始めたことを、初めて
ハッキリと自覚できたステージだった。
そして、翌26日におこわなれた京都・磔磔でおこわなれたHobo King
Session。遊び気分のセッションとはいえ、このイベントは“The Barn”ツアー
に重要な“栄養”を与えた。
飛び入り出演した佐野も含めて、6人全員が「自分たちのために」演奏して
いた。名前もキャリアもセールスも人気も、なーんにも関係ない場所でひたす
ら音楽を楽しむ空間。そういう場所に立つことによって、HKBがHKBであること
の“意味”をあらためて確認することができた。彼らも、同じ思いを抱いてい
るんじゃないかな……と思う。
****************************
1月30日、福岡サンパレス。会場に入って間もなく、楽屋でなごんでいたメ
ンバーに佐野が声をかけた。
「よし、そろそろ曲順を変えよう」
いよいよ準備完了の合図、とみた。
ツアー初日からずっと、ステージは同じ構成の曲順で進められてきた。今回
は曲順的にも、メニュー的にも現段階では理想といっていい最高の構成だと思
うし。同じ曲順でも、印象がそれぞれ違うのも面白かった。
でも、でも、でも。彼は、そろそろウズウズしてきたみたいだ。
最初に築いた構成が、揺るぎない理想形を描きはじめるまでじっと待って。
どんなに疾走しても乱暴な破壊を繰り返しても、ツアーの本質が損なわれるこ
とはない……という状態にまでグツグツ煮詰められるときを待って。
そして、いよいよThe Hobo King Bandの暴走が始まろうとしている?
リハーサル前。佐野は過去のツアーでの演奏曲リストをじっと眺めていた。
“フルーツ・ツアー”名物(?)だった、開演前のドンデン返しが始まるの
か?舞台監督は、ちょっと緊張した面もちで成り行きを見守っている。
「今日はこれまでと同じ曲順でいこう。明日は、少し変えよう」
****************************
そして。彼が翌日のライブのために選んだ新しい曲は、「君を探している」。
「久々のバーズものや!」
「わーい、また2人マッギンの出番だぁ〜」
KYONとコロちゃんは大喜び。ザ・バーズふうの斬新なフォークロック・アレ
ンジによる「君を探している」は、「フルーツ・ツアー」がスタートした頃か
ら音楽ファンをニマニマさせていたナンバーだ。大胆なアレンジだけど、この
バンドらしい味わいがあり、その楽曲が生まれた瞬間の勢いを少しも損なわな
いアレンジ……。
今になって思えば、これはThe Hobo King Bandが現在のような音楽スタイル
を確立するに至った“原点”ともいえる曲だったのかもしれない。
この曲が、ツアーの新しい段階を迎えるきっかけに選ばれた。なるほど。納
得。
「フルーツ・ツアー」の福岡公演で演奏された「君を探している」は、ツア
ー中でも屈指の名演バージョンだったと思う。個人的な意見ですけど。そんな
こともあって、この福岡で、新曲としてこの作品が選ばれたことが何だか妙に
うれしいワタシであった。
****************************
同じ会場での2デイズというのは、演奏者にとってエネルギーの分配具合が
難しい……と言われる。
“初日が助走で、2日めにジャンプ!”というふうにグラデーションを描い
ていくのが自然の摂理というものだが、プロフェショナルである以上そういう
ことは許されないわけだしね。
でも、今回の2デイズはふだんとは違うスペシャルな違いを感じた。
この不思議な2日間を体験できた人は、すごくラッキーだったと思う。
初日からの総決算となった30日。そして、久々の「君を探している」や「僕
は大人になった」などの新メニューが加わった31日。
連続する2日間の真ん中には、はっきりと太い境界線が横たわっていた。
境界線を隔てた右と左とでは、エネルギーのベクトルがまったく違う。国境
を越えた瞬間に、180度違った景色が見えたような……そんな感覚。
最初に思い描いた“The Barn”ツアーの青写真を、ここまで現実化すること
ができたのか! という驚き。それが、初日が終わった瞬間の感想。
前半では『The Barn』のウッディな温もりを伝えつつ、前のめりな勢いで進
化しつつあるThe Hobo King Bandの音楽スタイルを、ディテールまでしっかり
と伝える。
そして、後半の“元春クラシックス”が続くコーナーでは“懐かしい曲を懐
かしく聞かせない”ことによって、The Hobo King Bandの底力を思いきり見せ
つける。
演奏も音響も照明も、すべてがっちりと結びついた瞬間に生まれるパワー
の勝利。佐野とThe Hobo King Bandだけでなく、“The Barn”ツアーはクルー
を含めてチーム・メンバー全員のエネルギーによって動いていることを痛感さ
せられた。
この規模のツアーとしては、HKBチームのツアー・スタッフは驚くほどの少
人数だ。けれど、全員がそれぞれ一流の腕をもってキャリアを築いてきた面々。
ステージ上のミュージシャンたちがひとりで何人分もの音を奏でるのと同じく、
スタッフたちも何人分もの仕事をやってのけてしまう。だから、こんなに少数
精鋭でツアーを回ることができるわけだ。
それぞれが、常に自分の立場から強大なエネルギーを操っている。それだけ
に、新しいことを起こす時には全体の磁場が乱れたり歪んだりすることもある。
新しいことが始まろうとしていた2日めのステージ。ステージ上では新しい
楽曲が演奏され、照明や音響には新しいアイディアが加わった。
果たして前日とはまったく表情の違う、きわめてテンションの高いライブ・
パフォーマンスが展開された。のっけから息つくヒマのない高揚感にあおられ
っぱなしだったのは、ステージ上のテンションの高さゆえだったのか。それと
も、音響チームの手による目論見だったのか。前日の演奏が“穏やか”な印象
と感じられるほど、この夜の会場はヒリヒリとスリリングな空気に満たされて
いた。
****************************
新しい段階に突入する瞬間の、興奮と不安。それをめいっぱい感じることが
できて、うれしかった。けれど、そこにいくつかのトラブルが存在していたこ
とも事実だ。
「何度もピーピーいって、ごめんね」
と、ステージ上の佐野はたびかさなるハウリングについて何度も観客にあや
まった。そして自身も、何度もつらそうに顔をしかめながらモニターのほうを
見やっていた。
わたしはちょうどPA席の真後ろの席でステージを見ていた。
何度も険しい表情をよぎらせるステージ上の佐野と、目の前でせわしなく囁
きあうPAチームの背中。その両方がいちばんよく見える場所に、わたしは座っ
ていたことになる。
居心地の悪い席にハマッてしまって、ちょっとつらかった。
でも、そのつらさは、第2段階へと踏み出したThe Hobo King Bandの姿を
リアルタイムで体験している喜びに押し倒される形で消えた。
とりあえず、ライブをどれだけ深く楽しむことができるのか……それがわた
しの“仕事”というか“役得”というか。プロフェッショナル同士がぶつかり
あって試行錯誤を続けていることがわかっていても、そこに意見や評論の入り
こむ余地はない。
とにかくわたしはステージだけを見ていよう。
そこに見える風景がすべてだから。
なので、本当はあまり裏舞台のことは書きたくないなと思ってた。ツアー・
スタッフと一緒に行動していても、しょせんわたしはシロウトだから。でも、
今回はちょっとだけ書いてみたくなった。
「このチームって、やろうと思ったことは全部できちゃうところがカッコいい
よね」
HKBのメンバーのひとりが、そう誇らしげに言ったことがある。
力が足りなくてつながり合えないのではなく、お互いの力がどんなふうに結
びついていくのかを本気で探りあっているから火花が散る。わたしは、そんな
ふうに感じている。
誰もマネできないキャリアをシーンに刻もうとしている佐野とHKBがいて、そ
の実現に向けて、常に彼らと真剣に向かい合っているスタッフがいる。
佐野のライブに、CDプレーヤーでは体験できない何かが確実に存在してい
ると気づいている人は多いだろう。
それはたぶん、ツアー・プロジェクトに関わったすべての人たちの情熱が佐
野元春という存在を通してひとつに束ねられているからだと思う。
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■病魔退散祈願スペシャル!!
『佐野元春ダイナマイトMC in 福岡』-----------------------------------
なんたって元気な状態の佐野さんをも寝込ませる、わたくしのレポートです
から。
これが“お見舞い”になるとも思えませんが……。とりあえず「景気よくい
こう!」っつー気持ちをこめてお送りします。
『第一回・佐野元春ダイナマイトMCスペシャル in 福岡!』
みなさんも、一度や二度は経験があるでしょう。
その瞬間は“ウォーッ!!”と盛り上がっているからいいものの、家路につく
ころに「元春、いったい何を言いたかったんだろう?」と脳ミソがハテナマー
クでいっぱいになる謎のMC……。
長年ファンをやっているみなさんは共感してくださると思いますが、わたく
しも「いつもじゃイヤだけど、たまには出してほしい」と願う“ハテナMCマ
ニア”のひとりです。
このハテナMC、どういうタイミングで出るのかは長年の謎だったのですが。
今回、わたくしは遂に“ハテナMC”の法則を発見。いやぁ、これを掴むため
にノージは1年半以上もHKBにつきまとっていたのかもしれません。
で、その法則とは……
佐野さんが、ノリノリ絶好調の瞬間に出る。
というものです。かんたんでしょ。
「自分でも、わかってはいるんだけど。よくわかんなくなっちゃうんだ」
(by佐野さん)
で。ツアー中最高ラベルのダイナマイトMC連発だったのが、今回の福岡2
デイズ公演。
となれば。福岡ではいかに密度の濃いノリノリのライブが繰り広げられたか
が想像できるとゆーものです。
それではさっそく、ベスト5を発表しましょう!!
解説はノージユーコ、ゲストコメンテーターは佐野元春さんと仲間たちです。
****************************
[その1]オープニング曲が終わってからの、最初のあいさつ
The Hobo King Band!!(歓声:わーっっ)
東京から来ました。(歓声:わーっっ)
最近は景気が悪い。
だから景気のいいコンサートいこう!!(歓声:わーっっ)
[解説]
ノージ「いきなり“東京から来ました……”ってゆわれても(笑)」
佐野「でも、東京から来たのは間違いないだろっ」
ノージ「その後に、いきなり“景気が悪い”と続く文脈の意図は?」
佐野「うーん????」
****************************
[その2]自分の生まれた下町についての話で……(30日)
僕は東京で生まれて、東京で育った。(歓声:わーっっ)
東京といっても下町、ダウンタウン。(歓声:わーっっ)
僕みたいな人間がいっぱいいるっ!
(歓声:わーっっ……の他“えーっっ”“いやーん”など)
“いやーん”といわれても困るんだけれども。
[解説]
たぶん、お客さん全員の脳裏に「3千人くらい佐野元春が歩き回っている図」
が浮かんだことでしょう。すごすぎるー。夢に出てきそうだ。
****************************
[その3]自分の生まれた下町についての話で……(31日)
ところで博多って、下町はどこにあるの? (客席、ざわめく)
変な質問だけど。(客席、とまどう)
調べておくよ。 (歓声:わーっっ)
博多には上も下もないのかな。(客席、ハテナマークとびかう)
[解説]
ノージ「ここのくだりは、もう爆発的にスゴかったですね。全文ダイナマイト!」
佐野「よく覚えてない(困)」
KYON「“調べておくよ”でお客さんがウォーッ!! って沸いたのがすごい(笑)」
コロ「“調べておくよ”はHKB内の流行語になりそうですね」
****************************
[その4]アンコール、メンバー紹介で“そして最後に!!”とトミーを紹介し
た後で……。
The Hobo King Bandのなかで、もっとも重要な人物を紹介するのを忘れていた。
日曜日の公園に行ったことある? (客席、すでに爆笑モード)
きっと彼がいるはずだ。
パンをくわえてね。
エニキーボォォーズッ、西本明!! (歓声:うぉぉぉーっっ)
[解説]
ノージ「この逸話、だんだんスケールが大きくなっていきますね」
佐野「だって、パンの話は全国的に知られているエピソードだからね」
ノージ「ポイントは“パンをくわえてね”という倒置法による強調と、その後
で笑う余裕を与えず“エニキーボーズッ”とカッコよく紹介するというウルト
ラC攻撃でしょうか」
佐野「アキラ、ごめんね」
アキラ「いや、べつに」
****************************
[その5]♪シャララ〜のスキャットをコール&レスポンスでお客さんに歌わ
せているうちに、だんだん旋律が複雑になりすぎて……最後にはお客さんがギ
ブアップ。
「ごめんよ、むずかしすぎだよな」
[解説]
旋律が複雑になっていくのは、話がややこしくなっていくのと似ているのか
も。
戸惑うお客さんを見て「あ、そうとう難しいかも」と気づき、いきなり反省
モードにはいってしまった佐野さんがかわいかったです。
****************************
これを読んだ佐野さんにノージが怒られなかったらば、そのうち第2弾をお
届けしたいと思います。怒られないように祈っててくれ。あのね、メールレタ
ーだからヒミツもオッケーだと思ったら大間違いなのよ。The Hobo King Band
ペンパル・クラブのみなさんも、みーんな購読登録されてるのよ。だからね、
ちょっとドキドキ。
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■楽屋ロック喫茶Hobo King・最新プレイリスト----------------------------
☆『1(ファースト)&Lies and Alibis』(Capitol/Vivid)ガスリー・トー
マス
☆『Under The Covers』(Reprise)ドワイト・ヨーカム
☆『オン・ゼア・コーナー〜デルズ・ベスト』(Chess/ユニバーサル・ビクタ
ー)ザ・デルズ
☆『Misery Loves Company:More Of The Best 1975-1983』(Razor&Tie)マイ
ケル・スタンレー・バンド
☆『SAFE AT HOME』(SUNDOWN)Gram Parsons' International Submarine Band
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京都公演までは、京都・磔磔セッションでの選曲用CDが飛びかい“半分う
たごえ喫茶”だった楽屋ロック喫茶ですが。いよいよ福岡からは、ロック喫茶
マスター・コロちゃんが本領発揮!
大阪で買いこんだものの「忙しくて全然聞くヒマなかったですー(泣)」と
いう未開封CDを、いきなりラジカセ前にダーッと陳列! 上記の他にもアイ
ズレー・ブラザーズとかカントリー・ガゼットなどなど、定番からマニア系ま
で幅広い品揃えを主張。
すると、さっそくお客さんがやってきました。
「コロちゃん、これ開けていい?」
と、グラム・パーソンズのCDを手にとる佐野さん。
「これ、食べていい?」って言いながらお菓子の袋を開けているセンパイに、
ちょっと似てます。あと、デルズをかけたのも佐野さん。ドゥーワップ系では、
彼らの「ステイ・イン・マイ・コーナー」という曲がいちばん好きなのだそう
です。スローなドゥーワップは、気分がなごみますね。
あと、2日間のロンゲスト・プレイングCDはガスリー・トーマスでした。
これはもう、マスターの超オススメって感じでしょう。『シンガーソングライ
ターの世界』(ミュージックマガジン増刊・好評発売中)でも、シンガーソン
グライター・サウンドについて萩原健太さんと語りあげているコロちゃん。遂
にCD化再発されたガスリー・トーマスは、まさにタイムリーな1枚!! 時代
的にはぜんっぜんタイムリーぢゃないけどね(泣)。
佐野さんやセンパイやKYONあたりは、学生時代にガスリー・トーマスあたり
のシンガーソングライター系を聞いて育った世代ですからね。懐かしそうに
「そういえば、この頃に○○○ってシンガーソングライターもいたよね」なん
て話をしていました。
番外編として、福岡初日の開演直前に異常に盛り上がっていたのはジョン・
フォガティの97年ライブのカセット。さるルートより極秘で入手した、ゴキゲ
ンなブートレグでございます。みなさん、ジョンフォガのシャウトでごきげん
にテンションを上げた後ステージへと向かったのでした。
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■好評企画・今週のセンパイ---------------------------------------------
磔磔でのコスチュームとして、ディスカウント・ストアで980円にて購入し
たサングラスがいたくお気に入りのセンパイ。いちお、センパイから「フィン
ガー5みたいなサングラスがいい」というリクエストを受けてノージが買いに
行ったのですが。どう見てもオバサン・サングラスです。でも、センパイがコ
レを着けるとビックリするほどワイルド野郎に見えるから不思議。
リハーサル前。
今日もセンパイは、サングラスかけてごきげんです。
♪リンリンリリン、リリンリリンリン〜
歌いながら楽屋に入ってきたセンパイを、HKB全員が指さして同時に……
「あ、アキラだ〜!!」
そぉか。まさに、フィンガー5の“アキラ”っつーことですね。
センパイ、ますますイイ気分で♪リンリンリリン〜と踊っています。
みなさん忘れてしまっているかもしれませんが、センパイはひとたびHKBの
外に出れば「センセイ」と呼ばれる大巨匠なのですよ(泣)。センパイじゃな
くて、センセイ。
でも、そんな巨匠の“弁慶の泣きどころ”。
それは、トマト。
センパイは、死ぬほどトマトが嫌いです。大遅刻した時などは、その夜の食
事会でトマト・スライスのお皿を鼻先につきつけられて泣いています。
ウッドストックでは、KYONさんが愛情こめてアメリカン・トマトを秘伝のワ
ザにて調理。それで、いちどはトマトを克服したように見えたセンパイですが。
東京に戻ってきたら、やっぱりトマト嫌いに戻ってしまいました。
そこで。
福岡に入る前、京都の町をぷらぷら散策していたKYONさん。とある老舗の金
平糖屋さんの店先に貼ってある「限定・トマトの金平糖あります」の紙を発見!!
さっそく「アキラにおみやげじゃー!!」とコーフンしてひと包み買い求めま
した。
そして福岡。
「アキラ、京都のおみやげ買ってきたよ〜ん。金平糖だよ〜ん。おいしいよ
〜ん」
と、悪魔のネコナデ声でセンパイに金平糖を渡します。
「わーい、ありがとう」
と、何も知らずに喜ぶセンパイ……。
ポリポリ、ポリポリ、ポリポリ……。
センパイは食べてます。全然平気です。この金平糖は天然素材がウリで、か
なりホンキでトマトの味がするというのに。
KYON「アキラ、おいしい〜?」
センパイ「おいしい。ポリポリ……」
KYON「そりゃそーだ。アキラの大好物だもん。これ何の味かわかる?」
センパイ「んー、わかんない」
KYON「でも、好きやろ?」
センパイ「好き」
つーわけで。反則ワザながら、センパイは再びトマトを克服したのでした。
いきなり金平糖がトマト味だったら、何の味か気がつかないものですね。他
のメンバーにも試食してもらったものの、「野菜?」「果物?」「この味、知
ってるけど何だったっけー?」と悩んでおりましたよ。
遅れてやってきた佐野さんにも、さっそく「これ何の味?」クイズを出しま
した。
パクッとひと口つまんだ佐野さん、約2秒考えた後……
「んー、もみじッ!!」
と、元気よくキッパリ。
なぜ、もみじ?
赤いから?
その瞬間、「もーみーじーは食ったことないからわかんないなぁ〜」とHKB
が全員頭を抱えてひっくり返ったことは言うまでもありません。
センパイと佐野さんには、誰もかないません……。いろんな意味で。
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■メールください-------------------------------------------------------
いつもより長めにお送りしましたSTT、いかがでしたでしょうか? 長すぎ
た? でもね、書いてるうちにこうなっちゃったのよ。週末からは再び旅が始
まるし、ちゃんと定期発行できるかどうか心配。ま、ノリノリの時はノリノリ
で書く。くたびれた時はのんびり書く。そういうペースでやっていくので、よ
ろしくお願いします。
あと、お返事メールもありがとうございます。お返事にお返事がなかなか書
けないのです、ごめんなさい。いろんな意見や感想、感謝して読ませていただ
いております。
「もっともっと主観で、どんどん書いちゃえばいいのに!!」というメールを
何通かいただいたのは、目からウロコでした。メールという“距離感”だから
こそ、ウェブ上では書こうと思わなかったこともどんどん書いちゃえるのかな
と。
きちんとした統一感のない、バランスの悪いレポートになっちゃうかもしれ
ないけど。いろいろと試行錯誤しながら書いていきたいと思います。また感想、
聞かせてね。
そういえば、コンサート会場で販売中の『フルーツ・ダイアリー@web』が売
れております。ありがとー(泣)。ホントに驚異の大ヒットざんす!! 福岡な
んて、ついにソールド・アウトざんすよ!! あらまっちゃんでべそのちゅうが
えり、ざんす。
著者の地道な販促活動としては、当日の開演前に各会場用に「買って!! お
願い!!」のごあいさつを書いて貼らせてもらってます。見てねっ!!
では、次号もお楽しみに!!
By 能地祐子
from Nohji's Rock'n Roll Shop
(http://www.DaDooRonRon.com)
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Copyright(C) 1998 Moto & Associates. All Rights Reserved.
このメールの内容を許可なく他に転載することはできません。
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ MIPS PRESENTS ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ノージのSmall Town Talk ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 佐野元春 and The Hobo King Band ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜 ◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Vol.5 <1998.2.10>
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★ Information from MIPS ★
○ 「THE BARN TOUR '98」で活躍する楽器に焦点を当てた企画「Instruments
Tour」。バンドのこだわりを感じるページをのぞいてみよう!
http://www.moto.co.jp/TheBARN/live4.html
○ インターネット上に展開された、佐野元春の音楽を応援する有志たちの「佐
野元春Webサイト」を一挙紹介。
http://www.moto.co.jp/OnTheNet/MotoSites.html
※ その他詳しくは Moto's Web Server で!
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★ノージからのごあいさつ★
こんにちは。今、わたしは神戸文化大ホールの楽屋におります。昨日、金沢か
ら列車移動で神戸に到着しました。
さて。おととい8日の金沢市観光会館。
「復活しましたぁ!!」
と、ちっちゃいガッツポーズで楽屋入りした佐野さん。
横殴りの強風による吹雪という悪天候のなか、ツアー・チームより1日遅れで
金沢に到着。けれど、着いてすぐにコロKYONと“うどんツアー”に出かけるとい
う元気な様子にホッ。
笑顔の佐野さんを見た瞬間、なんだかとってもうれしかったです。
まさに“そこにいてくれてありがとう”な気持ちでした。
2本のツアー延期で、他のメンバーやスタッフは“思わぬ休日”となってし
まったわけですが。話を聞いてみると、その間バッタリと寝込んでしまった人も
多いみたい。でも、金沢では全員が元気をたっぷり取り戻して集合。
そして、その夜のライブのすごかったこと!!
終わった瞬間にノージもへたりこんでしまいましたがな。
「とろけるっすー」というコロちゃんの口ぐせを、この夜はノージもお借りし
まくりましたよ。
ここ神戸に着いてからも、メンバーのみなさんは金沢でのライブ・テープを聞
きながら「みんなすごすぎて、困っちゃうくらい……」と興奮しっぱなし。
というわけで、佐野さんの元気な様子もお伝えしたいし、ここにきてネクス
ト・ステップを踏み出しているThe Hobo King Bandの現状も一刻も早く教えてあ
げたいので、あわてて京都でのライブ・レポートを書いて送ることにしました。
なわけで、楽屋話などなどはまた次の機会に……ということで。
では、これからライブを見てきます。
佐野さんは、今日も元気です!
今、わたしの5メートルほど先で、HKBと一緒に楽しそうにウォーカーブラ
ザーズとかジュールス・シアーを聞いてニコニコ語りあいちゅうです。
(2月8日)
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■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■ “復活”以上の変貌(2月8日・金沢市観光会館)
■ 楽屋ロック喫茶HKB・最新プレイリスト
■ メールください
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■“復活”以上の変貌(2月8日・金沢市観光会館)-----------------------
リハーサル前の楽屋の片隅。今年のインフルエンザの猛威について、小田原と
佐野が話しこんでいる。
「ま、ゆったりやりましょう!」
まだ病み上がりの佐野を気づかうように、小田原は笑顔で言いながら立ち上
がった。
「OK。そうだな、ゆったりいこう」
そう答えて、佐野はサウンドチェックのためにステージへと向かう小田原の背
中を見送った。
ステージに立った瞬間、彼は小田原の言葉を再び思い出していたのだろうか?
1曲めから、佐野がいつもより慎重に自らのペースをはかっているのが伝わっ
てきた。
肉体が欲求しているペースよりも、少しだけ気持ちをスローダウンさせてい
る。
でも、それはパワーを出し惜しみしているということじゃない。
むしろ、いつもとはまったく種類の違った大きなパワーを感じた。
今日の佐野元春は、むちゃくちゃカッコいい!!
自分でもびっくりするくらい新鮮な気持ちで、素直にそう感じた。
なんだか、初めて佐野元春のステージを見た人みたような気持ちに近いかも。
「うん。お客さんには、今日の佐野くんはものすごくカッコよく見えていたと
思うな」と、センパイ。
いつもの彼だったら、のっけからぐいぐいと加速させていく。いつもより調子
が悪い日には、あえて乱暴にテンションを急上昇させていくようなこともあった
し……。
でも。この日の彼は、ほんの一瞬のあせりも見せなかった。
ゆっくりとゆっくりと。
じっくりとじっくりと。
テンションをあげるというよりも、心地よく巧みな低空飛行をジリジリと続け
ていくことによってグルーヴを練り上げていくことに気持ちを集中していたよう
に見える。
そして、バンドの面々は佐野の“今夜のやり方”をすぐに察した。
佐野がじっくりと丁寧に作りあげていくペースに、彼らもまた自らの肉体を合
わせていく。
その結果、The Hobo King Bandは今までに見せたことのないの新しいグルーヴ
を披露することになった。
前半では、おそろしく忍耐強い低空飛行がジリジリと続いた。それは、単に高
度を下げているというよりは……もっとアクロバティックな、地面すれすれの場
所を巧みな技術で飛び続けるようなスリリングな演奏だった。
そして中盤から、彼は少しずつ高度をあげていった。本編がクライマックスに
達するころには、エネルギー全開。そこには誰もが期待する、爆発ギリギリまで
テンションをあげていく佐野元春がいた。
けれども。いつもの夜とは違う。
どこかが違う。
そのテンションの高さは変わらないのに、彼らは明かにいつもとは違う場所へ
と到達していた。
ケガの功名?
転んでもタダでは起きない?
んー、なんて言ったらいいんだろう。
「逆境に強いのかな」と、終演後の佐野は満足そうな笑顔で答えた。
「よかったよね。今日は“オトナには、こういうこともできるんだぞ”ってラ
イブだったよね」
と、トミーは言う。ちょっと誇らしげに。
最初の曲から、佐野が新しい方向性で進めて行こうとしているのを全員が気づ
いていた。そして、そのペースに合わせていくことは彼ら自身にとっても心地よ
い経験だったという。
クールでタフな、オトナの情熱。
そんな感じだった。
そして、たぶん佐野の意図する新しいグルーヴを成功させた“本日のMVP”は
トミーだった。
彼と佐野とのやりとりが、このライヴの鍵を握る絶妙なペースを築いていた。
The Hobo King Bandが描く雄大の渦の中心点に、トミーがいる。彼の繰り出す
時間軸のなかで、他の5人がさまざまな場面を見せてくれたような感じ。
ゆったりとうねるように、けれど心地よく波に乗せたかと思うと突然ふり落と
すような急旋回をやらかす……。なんたって元ルースターズってくらいの井上富
雄だ。めちゃくちゃに飛ばしまくる痛快感も知っている。しかし、足元からじわ
じわとはいあがっていくようなクールな攻め型も知っている。そんな彼だからこ
そ、佐野が意図するスピード感を本能で掴むことができたのだろう。肉体より
も、ちょっとだけ気持ちをスローダウンさせる微妙な距離感が生むスリルをジリ
ジリとキープすることができたのだろう。
この日の佐野の目論見は、トミーという司令塔があってこそ初めて成立したの
だと思う。
佐野が何かを思いついたとき、無言のうちに適役である誰かが“司令塔”の役
を買ってでる。そんなことの繰り返しで、このバンドは本当の“バンド”になっ
てきた。つくづく、おそろしいほど素晴らしい顔ぶれが揃ったバンドだなぁと思
う。
佐野のライヴ・パフォーマーとしての評価を決定的なものにしたのは、押して
押して押しまくる情熱的なロックンロール・ナンバーの数々だった。常に肉体を
限界まで酷使して、燃え尽きるまでシャウトする。そのスタイルに影響を受けた
ミュージシャンは数知れず、佐野は日本のライブ・パフォーマンスにおけるもっ
とも重要な“基準”になっとさえいわれる。
けれど。この夜の佐野は“押し”ていくのではなく、むしろ“引き”の力を見
せつけた。
ステージと客席との“綱引き”みたいな激しいせめぎあいではなく、彼のほう
から挑むことなく観客を静かに、しかし確実に引き寄せてしまう強い力。
「メンバーがそれぞれ何をやっているのか。今日は、演りながらいっこいっこ
全部見えたからね。それがすごくよかったし、気持ちよかった」
と、センパイもうれしそうに言う。ステージ上はあまりにも多くのことが起こ
り続けているので、互いの演奏による“会話”を最初から最後までじっくりと楽
しむ余裕はないという。けれど今回は、自分以外の誰かと誰かが話している“会
話”にも耳を傾けることができた。それが、結果的によりガッチリと固い絆の生
まれるきっかけになったようだ。
これまで灰になるまで燃え尽きるようなライヴを繰り広げた後で、佐野が「今
日はすっかりお客さんにノセられちゃったね」と言うのを何度か聞いたことがあ
る。たしかに観客のほうがウワテで、佐野のテンションを引っ張りあげていくラ
イブもあるのだと思う。
でも、この夜のステージは完全に佐野のほうがウワテだった。観客よりも、
TheHobo King Bandよりも、佐野のほうがぐんとウワテだった。
「いいライブだったよねぇ」
その夜、いったい何人が同じことを言っただろう。メンバーもスタッフも含め
て、誰もが自分の役割を無事に終えたこと以上の充実を感じていた。ふだんは送
り手側としての仕事を果たすことで精一杯の彼らが、心のどこか片隅で“受け
手”である観客の感じた幸せな充実感を共有することができた。そんなライブ
だったのかもしれない。
「あー、見てぇよ〜。The Hobo King Bandのライブ!!」
という発言も、たびたび耳にしたのだが……。
こんなにもThe Hobo King Bandのライブを見たがっているThe Hobo King
Bandを見たのも、初めてだった…………。
「何がどうしちゃったんだろ、ひとりひとりがみんな違ってる。第2段階に
行っちゃったね…」と、あらためてライブの録音テープを聞いた後でセンパイが
言った。
「もしかして、我々はまたすごいところに来てしまいましたかね……」と、う
れしそうにコロちゃん。
さて。このあと、果たして何がどうなっていくのか!?
お楽しみが、また増えましたね。
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■ 楽屋ロック喫茶HKB・最新プレイリスト --------------------------------
☆佐々木功『G.I.ブルース』(コロムビア/Pヴァイン)
☆ジャクソン・ブラウン『The Best Of Jackson Browne』(Elektra)
☆トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ『Greatest Hits』(MCA)
☆ビリー・ジョー・シェーバー『Old Five Dimers Like Me』(Sony/KOCH)
☆スティーヴィー・ワンダー『Alfie』(モータウン)
☆ニール・ヤング『After The Gold Rush』(Reprise)
もしかしたら、楽屋ロック喫茶の選曲がその夜のライブに与える影響はけっこ
う大きいかもしれません。
「本日は、かなりよい選曲だったのでは?」
と、マスターのコロちゃんもご満悦。
センパイが学生時代に下村誠さんから教えてもらったというフェイヴァリッ
ト、知る人ぞ知るビリー・ジョー・シェーバーのCD再発盤も登場。いなたいカ
ントリー・ロック系シンガーソングライターでありつつ、メロディラインがほの
かにポップなのが、いかにもセンパイ好みって感じです。
そして、コロちゃんが自信まんまんで持ってきたのがジャクソン・ブラウンの
新曲つきベスト。ジャケットを見せられたとたん、センパイは「む、死ぬ〜
(泣)」と昇天。
しばし全員でとろけた後に、コロちゃんがさりげなくかけたのはニール・ヤン
グの『After The Gold Rush』。今月末のHobo King Sessionのために、この中か
らコロちゃんが1曲カヴァーしようかな……ということで持ってきたそうなんで
すが。
「え!? これ、CDになってるの初めて見た!! 見せて見せてー」
と飛んできたのが佐野さん。
ジャケットに手にとって「こんなにちいさくなっちゃってー(笑)」と、しば
し裏表をひっくり返してしげしげと眺めていました。
みんなが大好きなアルバムとゆーことで「オレがカバーするならコレ!」とか
「ねぇねぇ、これどうやって弾くの?」とか盛り上がり、しばしニール・ヤング
談義に。あげく、最後には田町探索隊による“うたごえ喫茶”まで始まってしま
いました。
ちなみに佐野さんが「これ聞いていい?」と、とっても聞きたがっていたのは
「Till The Morning Comes」と「When You Dance I Can Really Love」でした。
コロちゃんが何をカヴァーしたいと思ってるかはナイショ。当ててねっ。
そうそう。佐々木功っていうのはね、その中に入っている「どっかでリズムが
狂ってる」というものすごーい曲があって、それをセンパイのテーマソングにし
よう……と何度も何度も聞いては笑っていたのでした。
-----------------------------------------------------------------------
■メールください ------------------------------------------------------
というわけで、お送りしましたSTT Vol.5。いかがでしたか?
前号の“ダイナマイトMC集”はやっぱり大好評。
佐野さんも「もうろうとした頭で読んだら、面白かったよ」と言ってください
ましたが。「怒ってないよ」と言う目がちょびっと怒っているように見えたのは
気のせい?
ええ、きっと気のせいね。
また、機会を見て第2弾をやりましょう。お楽しみに。
では、次号をお楽しみに!!
By 能地祐子
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Vol.6 <1998.3.7>
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Tour」。バンドのこだわりを感じるページをのぞいてみよう!
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○ インターネット上に展開された、佐野元春の音楽を応援する有志たちの「佐
野元春Webサイト」を一挙紹介。
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★ノージからのごあいさつ★
げげっ、気がつけば1ケ月のご無沙汰でした。心配して「どーかしたんです
か!?」というメールをくださった方、そしてジッと黙ってノージ再始動の時を
待っていてくださった方、みなさん本当にごめんなさい。2月12日に前半戦が
終了した後、しばらくのツアーお休みを利用してSTTでやりたい企画モノはいろ
いろ思いついていたのですが。何せ、今年は“20日ぶんを10にちで稼ごう”キ
ャンペーンを張りつつツアー同行ちゅうのわたし。先に他の原稿を片づけてか
ら……と思っていたら、あっとゆーまに3月(泣)。
ま、そうしてレポートに手をつけられないものの、後半からのSTTをどんなふ
うに書いていこうかなってことでもちょっと悩んでおりました。なんつーかね
、仕事じゃなくて書く原稿とゆーものがいちばん難しいと思いました。ただの
ファンレターにしたくはないし、かといってどこまで“私信”でいいのかがわ
からないし。でね、わたしはどんなふうに何を書けばいいのかなぁ、なんてこ
とを思ってて。そしたら、昨日MIPSからのメールでSTT登録者が何と1000人を超
えた!! ということを知りました。んー、びっくり。だってさ、つまり1000人
がオレのメールを待っててくれているのですよ。わたし、1000人からメールも
らったことなんかないよ。となるとさ、やっぱし1000人に向けて手紙を書くっ
てことはすごいことじゃん。不特定多数に向けて雑誌を書くような気持ちでな
くて、もっともっとパーソナルにわたしが感じていることを書いていけばいい
んだよね。うん、わかった。と、自己完結した今日この頃。何をゆってるか、
わからなかったらすんません。HKBのニイさんたちとも「バンドだけじゃなくて
、このツアーに関わった人みんながカッコいいことやりたいよね」って話をし
ましたよ。だから、今後もSTTにご期待くださいよ!! でも、手紙だからなかな
か書けないこともあるかもしれない。そしたらごめんね。
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■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■ 北海道厚生年金会館(3月4日)
■ 2月までのあらすじ
■ 再開!! 今週のセンパイ
■ メールください
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■2月までのあらすじ --------------------------------------------------
というわけで、かなり時間が経過してしまいましたので。前半戦最後の2本、
神戸&広島公演での佐野元春&The Hobo King Bandの様子をザザザッとあらす
じのみご紹介いたしましょう。
この2公演は、HKBの歴史の中でもっとも重要なマイルストーンとなるかもし
れない。
「あそこから、変わったよね。今までと違うバンドになったみたいにね」
毎晩、ライブが終わった後はホテルの自室で遅くまで当日のライブ・テープ
を聞いている小田原が何度も言った。
その前での金沢公演でも予兆はあった。病み上がりの佐野がいつもと少しだ
け違うベクトルでテンションをあげていったことで生まれた、不思議なクール
さとスリルに満ちた新鮮なステージング。そして、小田原豊のひらめきにあふ
れたドラミング。
「ついに、このバンドのグルーヴを完全に掴んだと思った」
金沢公演が終わった直後、興奮した口調で小田原が言った。バンドが70年代
テイストに傾倒しすぎてしまうことに対して、いちばん危機感を抱いていたの
は小田原だった。コンテンポラリーな感覚と70年代アメリカン・サウンドの両
端を結ぶグルーヴを確実に掴むために、彼はバンドが結成されてからずっとず
っと試行錯誤を続けていた。他者から見れば、すでに彼はそれをやり遂げてい
るように見えていたけれど。
小田原自身は、ほんの0.00何ミリかの誤差も許さない、理想的な場所にある
“やりかた”を探し続けていた。
その彼が、時代やジャンルを超えた“カッコいい音”――このバンドにいち
ばん魅力的なグルーヴを、自分の肉体でしっかりと確認したと言う。
金沢に続く、神戸公演。そして、広島公演。ステージ上での小田原は実に幸
せそうな表情だった。ひとりのうれしいバイブレーションは、バンド全体に伝
染していく。
完璧な5つの車輪が揃い、偶然ではない確かなスピードで廻り始める。
「今日は小田原Dayだったね」
と、トミー。それぞれのステージで、必ず誰かが“大ブレイク”をする。ツ
アー前半、HKBはずっとそんなことを繰り返してきた。それまでも力を存分に発
揮してきたはずのミュージシャンたちが、自分でも想像できないような新しい
力を見せる。
12日の広島公演は、そんなツアー前半の総決算とでもいうべきステージだっ
た。アルバム『The Barn』の世界はより立体的な膨らみを見せ、バンドは“フ
ルーツ”の時ともウッドストック・レコーディングの時とも違った音を奏で始
めている。
完璧。
「今日はなんか、落ち着きながら興奮したって感じ」
終演後、そう言って佐野が笑った。そのヘンな表現に、周りのメンバーもつ
られて笑った。彼の言いたい感じは、なんとなくわかる。何の摩擦もなく、ひ
たすら滑らかに上っていくような心地よいグルーヴ。そのなかで、彼は安心と
興奮の両方を感じていたのかもしれない。
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■ 北海道厚生年金会館(3月4日)--------------------------------------
いよいよ後半戦の始まり。
開演前の楽屋では、KYONと佐橋が宿題をする子供のようにテーブルに向かい
合って譜面を書いたり音符を口ずさんでいる。
「ガラスのジェネレーション」
これまでHKBではいちども演奏されたことのない元春クラシックスのひとつ。
「ツアー中に、なんか新しい曲やりたいよね」と話していたことが、いよいよ
実現するらしい。新曲を演る時のHKBは、本当にうれしそう。
さて、久々のライブ。前回の広島で「落ち着きながら興奮した」という佐野
の言葉を、あらためて思い出した。
いつもより多くアンコールに応えてステージを降りた佐野は、「なんだか、
今日は調子がよかったみたいだ」と言った。
たとえば“フルーツ・ツアー”の頃には試行錯誤を繰り返しながらじわじわ
と昇りつめた高みへ、今の彼らは最初から何のためらいもなく滑らかに急上昇
していくことができる。
佐野元春のロックンロールというものを、正面からずばりと見せつけられて
いるような。最近、いつもそんな感じがしている。
“フルーツ・ツアー”は、ある意味で観客に対して不親切な部分の多いライ
ブが続いていたと思う。毎晩新しいものを作っては壊し、見つけてきては組み
立てていく……。
あまりにも濃密でスリリングで、それゆえツアー最終日までこのバンドが“
続いていく”のかどうか確信を持つことができなかった。それくらい、ある意
味では危うい旅だった。
あの頃の佐野元春は、その危うさと日々戦っていたのだ……と、今になって
思う。新しいバンド、長年の相棒だったザ・ハートランド以外の連中との新し
い旅。揺るぎない満足感を手にいれようと、佐野はガムシャラに突進していた。
あの危機感と、それを乗り越えるために佐野とバンドの間に生まれた揺るぎ
ない信頼感。たぶん、日本の音楽シーンでこんなドラマティックな経験をくぐ
り抜けてきたアーティストは少ないだろうと思う。
今の佐野が見せる満足げな表情。それは、彼が自らの手で勝ちとったものだ。
でも、ちょっとだけ思う。彼にとって、もう“危機感”は必要ないのだろう
か。
危機感と満足感の微妙なバランス。聞き手とは残酷なもので、そこにロック
ンロールを感じてしまう。
無敵モードで日ごとにテンションをあげていく佐野のポジティブなエネルギ
ーは文句なしに心地よい。たとえば「どこにでもいる娘」で佐野が聞かせるピ
アノの響き!! ステージ上、佐野をはさんで鍵盤を弾いているKYONと西本が、
しばしばハッとした顔をして佐野のほうを向いているのに気づいた人はいる?
名手であるKYONと西本が、この時の佐野のプレイはまさに“ひとつの宇宙”
だと言って言葉を失う。
こんなプレイに接すれば、誰もが満ち足りた思いに包まれてしまう。けれど
、しつこいようだけれど……聞き手とは残酷なもの。あの“危機感”と“満足
感”の自転車操業だったフルーツ・ツアーから生まれた奇跡を、もういちど見
たい。
ツアー後半戦の“Xデイ”。
それは、わたしが思うには“佐野元春デイ”になるだろう。
The Hobo King Bandの大黒柱として、メンバーたちの指標として、そして全
国のファンに変わらぬ興奮を届けて回るツアー・ミュージシャンとして、佐野
元春は最高のパフォーマンスを見せてくれている。これだけ“佐野元春歴”が
長くて、しかもここ1年半くらいずーっと行動を共にしているわたしが、毎晩
「ああ、あの時(←高校生の時)佐野さんの音楽に出会えてよかった。あの時
まちがえて××さんや○○さんのファンにならなかった自分は正しい!!」てな
ことをしみじみと思ってしまうほど。聞き手として、目の前にいる佐野元春を
誇りに思う。
とはいえ、“新しい佐野元春!!”を見せまくるような、今までの佐野元春を
ブチ壊すような場面にも出会ってみたいと思う。
『The Barn』アルバムは、このツアーによって完全なカタチになろうとして
いる。そして、いつも何かが連続している佐野のこと、この次にやることの“
予兆”がきっと今回のツアーには隠れているはずなのだ。彼自身が気づいてい
るか、どうかはわからないけれど……。
準備は整った。HKBの面々は、すでに用意ドン!の姿勢で待っている。佐野が
いかなる方向に走り出そうとも、ぴったりと彼に寄り添っていく自信を漂わせ
ている。
次なる“予兆”をハッキリと目撃すること。
それがツアー後半の、わたしの目的だ。
アンコールで演奏された「ガラスのジェネレーション」。
なんてステキな曲なんだろうと、今さらながらゾクゾクッとした。
永遠の名曲を、今の佐野元春のやりかたで聞かせる。それによって、98年の
佐野元春がいかにエネルギッシュに時代と向かいあっているかが発見できる!!
前に、このツアーで演奏される「アンジェリーナ」がいかに新鮮かというこ
とを書いた。最新アルバムの曲のテンションの高さで演奏されるデビュー曲が
、すべての佐野作品を至高の場所へと引っ張りあげていくのを感じることがで
きるから。
で、もしかしたら「ガラスのジェネレーション」にも同じようなことが言え
るかもしれないと思った。「アンジェリーナ」以上に、X-デイに向けての突破
口さえ開いてくれる曲になるかもしれない。そんな予感。
-----------------------------------------------------------------------
■ 再開!! 今週のセンパイ ---------------------------------------------
最近、ついに携帯電話も手に入れてゴキゲンなセンパイです。でもね、HKBの
メンバーからのイタズラ電話はオ・コ・ト・ワ・リだって。
さて、今わたしは仙台にいるのですが。ここ仙台は、ひとつの伝説発祥の地
なのです。
なんの伝説かっつーと。
センパイ、公園でパンを食う伝説。
です。
そう、あの“ある日曜の午後……”から始まる佐野さんのアキラ話。センパ
イは「もぉ、佐野くん、毎回どんどん話が大きくなっていくんだから〜」と泣
いていますが……。あれって、実は前のツアーでの仙台公演での話が元になっ
ているのですよ。だからね、仙台のどこかの公園を探してみると、ホントにホ
ントにセンパイがパンを食べているかもしれません。あ、正確にはパンじゃな
くてミスドなんですけどね。
ところで、先月末に東京でThe Hobo King Sessionがおこなわれて、我らが“
田町探索隊”がデビュー曲「田町で1H」を披露したのですが。その田町探索
隊を紹介する役割となったのが、もちろん残りの2人――センパイ&小田原コ
ンビでした。
この2人にも何か“バンド内ユニット”名をつけなければ……ということで
、ついた名前が“ザ・レイターズ”。その由来は、この2人が遅刻常習犯だか
らです。
つーわけで、今回も札幌行きの飛行機に見事乗り遅れたのはザ・レイターズ。
その夜、田町探索隊はジンギスカンをつつきながら「奴らにデビュー曲を作っ
てやろう」と勝手にミーティングを始めたのでした。
「レイターズ・失われたポーク」という曲に決まりました。勝手に。どーゆ
ー曲かは、またいずれ。ご期待ください。
-----------------------------------------------------------------------
■メールください ------------------------------------------------------
さあ、これから仙台2デイズです。後半戦は、ばしばしとメールする予定。
えと、最近になって登録してくれた人も多くて「バックナンバー希望」とい
う方が多いです。そろそろ、これまでのぶんをまとめてどこかに載せないとね
……と、MIPSさんと相談ちゅうです。しばしお待ちください。
みなさまからのご感想などをいただけると、うれしいです。面白かったよっ
というヒトコトでもいいから、おせーてください。
ではでは。次号をお楽しみに!!
By 能地祐子
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ MIPS PRESENTS ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ノージのSmall Town Talk ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 佐野元春 and The Hobo King Band ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜 ◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Vol.7 <1998.3.9>
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★ Information from MIPS ★
○ 「THE BARN TOUR '98」で活躍する楽器に焦点を当てた企画「Instruments
Tour」。バンドのこだわりを感じるページをのぞいてみよう!
http://www.moto.co.jp/TheBARN/live4.html
○ インターネット上に展開された、佐野元春の音楽を応援する有志たちの「佐
野元春Webサイト」を一挙紹介。
http://www.moto.co.jp/OnTheNet/MotoSites.html
※ その他詳しくは Moto's Web Server で!
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★ノージからのごあいさつ★
1週間の旅から戻ってきました。札幌でのオフ日には、メンバーにすすめら
れて小樽へひとり旅してみたり。読者の方に教えてもらった、世にもデンジャ
ラスなロック・バーへ田町探索隊と共に潜入したり(←この件は、いずれわた
くしのホームページにて)。仙台では、KYONさんのお友達の、酒屋さんにして
SPコレクターのササケンさんからチャーリー・パーカーのホンモノのSPを
聞かせてもらったり。公私ともに、本当に“旅”っつー感じでしたよ。満喫。
ということで、今回は仙台公演の模様をお届けします。
なんと言っても、仙台公演でのビッグ・ニュースはトミーの次男誕生!! で
しょう。思えば前半戦の終わり、広島あたりから「札幌公演の頃には産まれて
いるはずだよ」という話だったのですが。予想よりも遅れているらしく、トミ
ーはそわそわ。それで札幌から仙台へと移動する合間2日間にも帰京したので
すが、その間に奥さまは入院。そして仙台公演の当日、リハーサルの最中にバ
ックステージの廊下からパチパチパチと拍手が聞こえてきました。東京からの
電話で、“たった今、産まれました!!”とのこと。
佐野さんやHKBもニコニコで、トミーを質問ぜめ。
さらに、みんなで名前をいろいろ考えてあげようということになりました。
候補としては……
・井上仙台(←仙台公演の日に産まれたから)
・井上三七(←3月7日生まれだから)
・井上九州(←九州男児の息子だから)
・井上無制限(←パチンコ博徒の父親にちなんで)
・井上明(←西本明にちなんで、意味もなく。井上鑑にもかけてる?)
・井上せっしゃ(←西本明にちなんで、意味もなく)
など。みなさん、みなさん、こんなおめでたい日に何ということを……。
ちなみに以前は、女の子だったら「井上かな」(←もちろん、西本明にちな
んで)にしろ! とゆわれていました。
なーぜーにーセンパイにちなまなければいけないのだぁ!?
ステージ上でも、メンバー紹介では佐野さんがトミー次男誕生を報告。
「今夜のショウは、みなさんと彼のために!!」
と紹介されたトミーは、バッキンバキンと爆裂ソロ弾きまくり!! この日のト
ミー、むちゃくちゃカッコよかったです。きっと、この仙台公演のことはトミ
ーもお客さんもずっと忘れないことでしょう。
そして、その夜。トミーは田町探索隊の愉快な仲間たちとにぎやかな街へと
繰り出し、熱い祝杯をあげておおいに盛り上がったのでした……って、つまり、
いつもと同じ生活ですたい。でもね、翌日はみんなより一足早い新幹線で東京
へと戻っていったのでした。
というわけで、今回のSTTは“トミー、おめでとう!!”号とさせていただき
ます。内容はあんまり関係ないかもしれないですが、ま、縁起モノっつーこと
で。
(3月9日)
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■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■乱気流?(3月7、8日・宮城県民会館)
■告発!! これがHKBトバク部の実態だ!!
■緊急スペシャル!! 今週のモトハル
■メールください
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■乱気流?(3月7、8日・宮城県民会館)-------------------------------
前回も書いたことだけど、ツアー前半戦の最終日・広島と後半戦の初日・札
幌。この2本は、たぶんツアーが始まる前に佐野が思い描いていたThe Barn
Tourの理想的なカタチだったと思う。
そして、たぶん仙台公演の初日のステージも、前2公演の流れを継ぐムード
のコンサートだった。
後で聞いた話では、ステージ上はモニターの不調などパニックの連続だった
らしい。けれど客席側から観れば、彼らはアクシデントをもがっちりと完全に
カバーしていたように見えた。
意図的に派手なロック仕掛けにするというよりも、じっくりと音を聞かせる
ことでロック本来の高揚感を伝えるHKBの演奏。そして、ひとつひとつの言葉
をビシッと乗せていく佐野のボーカル。
燃え尽きることよりも、続いていくことの大切さを知ったオトナのロックン
ロール。彼らの魅力のひとつである、そんな側面を強く感じさせられたステー
ジだった。
そうそう、で、初日のハイライトとして記しておくべきは“トミーおめでと
う祭り!!”となった「僕は大人になった」だろう。
マンドリン・ソロでユーモラスなフレーズを弾きながら、いつもと違う不思
議なフォーメーションでステージを走り回るKYON。そのうち彼は、自分の反対
側に立つトミーのほうへとツー・ステップで近寄っていった。そしてトミーに
マンドリンを近づけると、なんだろ、まるで“オ・メ・デ・ト”と言ってるよ
うなフレーズを弾く。それに素早く応えるトミーのベース。ちょっとした会話
が続いた後、トミーのハジけるベース・ソロへと突入!!
佐野もハーモニカ・ソロの合間に「トミーおめでとう!!」と叫び、客席から
は大きな歓声があがった。
****************************
そして翌日、仙台公演2日め。
会場入りしたとたん、佐野は過去のライブ演奏曲目リストのファイルをテー
ブルの上に広げた。
「何か、新しいのやろうかなと思って」
誰にともなく言ったのに、楽屋にいたメンバーたちはゾロゾロと佐野の回り
に集まってきた。
「なんか今、突然「フリーダム」やりたい気分なんですけど。なんでかな」
佐橋が笑いながら言う。他のメンバーも、口々にいろんな曲名を告げる。佐
野も同じように「あれはどうかな?」とか「これは?」とか、手早くファイル
を繰りながら提案を続けている。
KYONが、IHKツアーからのレパートリーをすべて几帳面に書きこんだ自分の
譜面ノートを持ってくる。
「このバンド、もうこんなにレパートリーがあるのか!?」と、佐野。
「これ、フルーツ・ツアーの大阪で突然やることにした「経験の唄」ですよ」
佐橋が、その公演日の楽屋で書いた譜面を差し出す。
彼が書いた譜面のファイルには、今回のツアー・リハーサルで練習したけれ
ど未だ披露されていない未発表曲も記録されている。
これ、久々に見る光景だなぁ。
こんなふうに“作戦会議”をしている彼らを見ていたら、“フルーツ・ツア
ー”の記憶が甦った。何かを変えようとしている、別の出口を探している佐野
元春は、いつもこういう感じなのかもしれない。
今夜あたりが、新たな“節目”かな。そんな気がした。
しかし、やっぱり現実はドラマのようにスムーズではない。
その夜のステージ。
鋭く華やかな音触りが印象的なオープニング・ナンバーを聞きながら、今日
は前夜とは対照的なステージになるかもしれないと思っていた。
確かに、まったく違った感触の2日間にはなったと思う。けれど、この夜は
佐野の焦りが前面にハッキリと出てしまった……という点が何とも心残りだ。
原因は、とりわけ前半に度重なったPAのハウリング。
佐野の苛立ちが、客席からも“見えて”しまう。
「ごめんね、これはベストな演奏じゃない。ごめんね」
本編の終盤、佐野はそう言って自分のこめかみに向けて銃の引き金を引くジェ
スチャーをした。
「あんなにステージ上で謝ったのは初めてだよ」
終演後、佐野は苛立ちながらポツリと呟いた。
でもね。なんで、彼は謝ったのだろう……と思う。
確かに、前半での佐野が、苛立ちのため集中力を乱していたことは観客にも
伝わっていたに違いない。
そして、確かに、彼が理想とするカタチをしたライブ・ステージとしては、
ベストの演奏ではなかったかもしれない。
で、ステージから語りかける佐野の言葉はとても説得力があるから、“これ
はベストな演奏ではない”という印象を得てしまった観客もいるかもしれない。
けれど、この夜の観客は間違いなく彼らの“ベスト”を目の当たりにしてい
るはずなのだ。
猛吹雪の中を確かな足どりで進んでいくような、乱気流の中で必死に高度を
上げていくような佐野とThe Hobo King Band。少しだけ問題を抱えた環境にい
る時の彼らは、本当にものすごい力を発揮する。
それぞれの音をじっくりと受け止め、時には顔を見合わせ、誰かが欠落させ
そうな部分を別の誰かがすかさず埋めていく。
それはメンバーだけではない。ステージに関わったスタッフが、全員でじり
じりとベスト・ポジションをとり戻していく。
アンコールが終わって客席にマイクを向ける瞬間の幸せな連帯感。
そこにゆっくりと確実な速度で向かっていけない時もある。そんな日には、
少し焦りながら必死にもがきながら進んでいく。こういう時の佐野が見せる
“火事場のバカ力”。それは、ホントに“火事場のバカ力”か“ロックンロー
ル”という言葉でしか説明できない。
この光景を目の当たりにする時、彼がいつまでも“ロックンロール”である
ことの根拠を思い知らされる。
****************************
帰り道、KYONに「今日の演奏、すごくよかったですよね」と小声でたずねた。
この日ばかりは、わたしも正直言って自信なさげな口調だったかもしれない。
でも、KYONはうんうんとうなずいてから答えてくれた。
「よかったよ。途中で何度かくじけそうになったけどね。それをのぞいては、
すっごくよかったと思う」
何かが変わろうとした瞬間、乱気流にのみこまれた。
でも、最後には無事着陸。
そんな感じ。
でも。大切なのは、このバンドだからこそ無事に着陸できたってことだ。ま
ちがいなく。
次の公演に向けての“宿題”をたくさん残して終えた仙台公演。だから“わ
ーい、ばんざーい、楽しかったねー!!”とスキップしながら会場を後にするよ
うな、それほど陽気で開放的な気分にはなれなかったけれど。
なんだか、わたしはそうとう幸せな気持ちだった。
ちょっとだけ、新しい場面への予兆が見え始めていたし。
それに、何よりもThe Hobo King Bandの頼もしさをあらためて実感できたか
ら。
さっきのKYONの言葉を聞いて、心の中に「ロックンロール・ハート」のフレ
ーズが浮かんだ。
ミゾレが道をふさいでも、ずんずんと進んでいく。いつも陽気にね。
ロックンロールとは決してあきらめないこと。
この言葉を、こんなにもそのままカラダで表現しているバンドは珍しい。
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■告発!! これがHKBトバク部の実態だ!!------------------------------
HKBトバク部。
『フルーツ・ダイアリー』をご覧になった方なら知っているはず。バンド内に
存在するクラブ活動の中で、結局は全員が部員じゃねーかとゆー“グルメ部”
をのぞいてはもっとも活発なクラブでございます。
トバク部の中での2大勢力はKYONさん率いる“競馬班”と、小田原アニキ率
いる“パチンコ班”です。ちなみに競馬班には他に部員がいませんが、パチン
コ班にはアニキの他にトミー(正部員)がいます。佐野さんは、フルーツ・ツ
アーの時に体験入部したものの全然才能がないらしくて退部しました。
さて。公演前日に仙台到着したアニキは、さっそく出陣です。ま、前日の札
幌でも1日じゅうパチンコだったそうですし、全国都道府県でパチンコ屋が存
在する街では必ず出陣しています。本日は、ノージさんもトバク部初挑戦です。
アニキのツアー・トバク仲間、ローディーズ・トバク部の強豪であるアキヒ
コ(元・花嫁さん、佐野さんの楽器担当)とだぁー(KYON&アキラの楽器担当)
も一緒です。
「オレが宮城県の経済を変えてやる」(by だぁー)と、4人でゴォーゴォ
ーと荒い鼻息を吹きまくりながら繁華街へGo!
アニキも、前日に札幌で大負けした分を今日は取り戻す! とゆってます。
まず、ローディーズがアニキに「まず銀行へ寄りましょう」。
やっぱり軍資金をいっぱい持ってゆくのかしら……と思ってついていくと、
何やらアニキがローディーズに1万円札を渡しています。
おや?
ここでアニキへの重大な疑惑が発覚!!
どーも、アニキはローディー・トバク部にかなりの借金が……!?
めざすパチンコ屋の前まで来た時のことです。
アニキの携帯電話が鳴りました。
アニキはこれから斉藤和義くんのツアーに参加するのですが、そのマネージ
ャー氏からでした。どうやら彼は、和義ツアーにおける“トバク部”仲間らし
いです。わたしも知りあいなので、ついでに電話をかわってもらいました。
マネ「ノージさん!! 今、どこですかッ!?」
ノ「パチンコ屋の前ですッ」
マネ「悪いことはいいませんッ、引き返すなら今のうちですよ」
ノ「や、今日はがんばりまーす」
マネ「一緒に地獄まで墜ちてってもいいんですねッ!?」
マネ氏の説得も聞かず、さっそく店内へ。
アキヒコが「“新台”って書いてあるやつがいーですよ。あ、そこがあきま
した!!」と、“パチンコ・ローディー”になって台を選んでくれました。
そいでもって「ここを狙ってください。あ、そこで止めて」と徹底指導して
くれたおかげで、ノージさんは初心者にして大当たり2回!! わーいわーい。
大喜びしているところに、アニキがプータラリーとつまんなそうな顔をして
やってきました。
ノ「アニキ、どうすか!?」
ア「…………………………」
それっきり、アニキは行方不明になってしまいました。
さて、翌日。
楽屋に入ってきたアニキにみんなが「昨日、どうだったの!?」と尋ねます。
するとアニキは、深々と頭を下げて……。
「トバク部、退部させていただきます(涙)」
アニキ、また負けちゃったようです。
そこで、KYONがいきなり歌い出しました。
♪“勝ったか?”なんて聞かないで〜 せつな〜い、ただせつな〜い〜
それを聞いた佐野さんが「そうか、そーゆー歌だったのか」。
ちがいます、そーゆー歌ではありません。
とゆーわけで、The Barnツアーにおけるアニキの勝率やローディーズへの借
金状況などはSTTでも追ってお伝えしたいと思います(ホントか)。
余談ですが、もうひとりのパチンコ班であるトミー。現在は第2子誕生とい
う時期ゆえにトバクは控え気味……と見られますが。“負け分は、死んでも翌
日とり戻す”という根性型博徒。トミーがいちばん九州男児らしいのは、パチ
ンコをしている時らしいっす。 わたしはよく知らないのですが、ローディー
ズ・パチンコ部が「あれは“負けをとり戻す”ためにやる機種じゃない」と語
る“源さん”とゆー台で大勝ちしたそーです。広島で。
あ、そうそう。
ちなみに、仙台での公演2日めを終えるとアニキはソッコーで楽屋を出まし
た。新幹線の最終に乗って、ひとり帰京するためです。
お仕事のためと聞いておりますが、一部では“借金取りから逃れるために、
夜逃げ”という説も……(涙)。
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■緊急スペシャル!! 今週のモトハル
都合により、好評連載“今週のセンパイ”はお休みです。かわりに“今週の
モトハル”をお送りしたいと思います。唐突ですけども。
仙台公演1日めの夜。みんなで飲みに行ったお店には、ビックリハウスの教
訓カレンダーみたいな日めくりが貼ってありました。それをパラパラと見て、
みなさんおおいにウケていたのですが。
翌日、2日めの公演が終わったあとの楽屋。田町探索隊が昨日のカレンダー
のネタをいろいろ思い出して順番にゆっておりました。いわく「ここらでちょ
っと りっぷく」とか「食べた後すぐ牛と寝る」とか、あとは下ネタが多くて
割愛しますが、つまりそーゆーボキャブラ系のヤツです。と、それを横で聞い
ていた佐野さんの目がキラリッ☆と光りました。そして、次の瞬間にポツリと
ひとこと……。
「豚にしんじゅく。」
田町探索隊、狂喜乱舞ハラホロヒレハレ!!
「オッケーです!!」
「ごうかぁーぁぁぁくッ!!」
などなど絶賛。
佐野さん、ちょびっとうれしそうです。
思えば、あの「こたつつたこ」から1年半。久々のさりげなくも強烈なカッ
トインによる一発ギャグでございました。
このオモロサが、わたくしの拙い文章でどれくらい伝わるかわかりませんが。
佐野さんがいきなりカットインしてくるギャグはゴールデンです、いろんな
意味で。言った後で、みんながどんなに笑っていても、自分は必ず“置きモノ”
状態でジーッと固まってるリアクションも絶妙にイイ味です。
そして、衝撃は夜まで続きました。
その夜のお食事会でのこと。
「豚にしんじゅく」の余波にて、HKB内に久々の回文ブームが巻き起こったの
だそうです。
ちなみに、ここ半年の回文選手権ではKYONさんが圧倒的にひとり勝ち。“デ
フォルメ”という言葉を聞いて、とっさに“デフォルメきめる、オフで”とい
う高度なフレーズをかますなど、さすが京大で形状記憶ブラの研究(あ、ブラ
じゃなくて“合金”だそうです)をしていたインテリ!! と尊敬を集めており
ました。
が、この夜は“闇のチャンピオン”こと佐野さんも負けてませんでした。
みなさんが複雑な回文を考えてウンウンうなっているなか、佐野さんは……。
「耳たぶブタ耳。」
と、ひとこと。
一瞬の沈黙の後、富士山噴火のような凄まじい笑いが沸きあがったそーです。
“こたつつたこ伝説”を凌駕する、“回文でもないし逆さ言葉でもないし慣用
句でもない”という謎のフレーズ。
The Barnツアー中の大ブームとなることは間違いないでしょう。
翌日も、佐野さんは「耳たぶブタ耳。フッフッフッ、なんだろーねー」と笑
っておられました。どうやら、けっこう、自分でもお気に入りの模様……。わ
からんっ。んー、わからんっ。ミステリアスなロケンローラーです。
みんなも、ステージの元春に「耳たぶブタ耳ー!!」と声援を送ろう!!
------------------------------------------------------------------------------
■メールください--------------------------------------------------------------
時おり、「ノージさんは我々ファンの代表ですから頑張ってください」とい
う励ましのお便りをいただくのですが。気持ちはうれしいものの、ファンに1
番も2番も代表もないと思うし、ファンというにはノージはちょっと歪みすぎ
た性格だし。
「いや、そんなことないっすよ」と申しわけない気持ちになるのです。
でもね、でもね、ひとつだけみなさんに報告したいことが……。
こないだからライブで「ガラスのジェネレーション」が演奏されているでし
ょ。あの曲を最初に演った日のこと。わたしは“17歳の佐野元春ファン”の気
持ちに戻って、終演後に佐野さんの顔を見るなり言いました。
「お願いです、♪答えはいつもミステリー〜の“クエスチョン”をやってくだ
さいッ」
そう、若き日の佐野さんがライブでいつもやっていた“クエスチョン”のジェ
スチャー。やっぱしね、あれがないと。と、オールド・ファンのわたくしは強
く思ったわけです。
佐野さんは「ああ、あったねぇ。覚えている人、いるかなぁ」と笑って言い
つつ、次回はクエスチョンをやってくれました。その瞬間、お客さんがワァーッ
と喜んだのを見て、ノージはとってもとってもうれしくなりました。だって、
だって、絶対にあたしと同じふうに思っているひとがいるはずだと思ってたん
だもん。
この時ばかりは“ファンの代表”ではないけれど、“市民からの署名を、青
島都知事のところに持っていったひと”みたいな気持ちでしたよ。ちょっとだ
けね。うふふふ。
では、次号をお楽しみに!!
By 能地祐子
from Nohji's Rock'n Roll Shop
(http://www.DaDooRonRon.com)
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◆◆◆◆ 佐野元春 and The Hobo King Band ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜 ◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Vol.8 <1998.3.24>
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★ノージからのごあいさつ★
いよいよThe Barnツアーもラスト・スパート。今日から東京・渋谷公会堂2
デイズ、続いて大阪3デイズ。ということで、今回は佐野さんのバースデイ・
ライブから始まった名古屋3デイズの模様をお伝えします。
STTも、いよいよ8号め。このぶんだと、ファイナルまで10号はいけそう(^.^)。
ノージはノージなりに、浮いたり沈んだり。そして、もちろんツアー全体も
浮いたり沈んだりを繰り返しつつ前に進んできました。
名古屋公演の後、佐野さんが言いました。
「本当は、どこでも最高のステージを演れればいいんだけど。確かに、浮き沈
みはある。ただ、このバンドは沈んでいる瞬間とのつきあい方もすごくうまい
んだ」
そう、そこがすごいの。こんなことを書くとガッカリしちゃう人もいるかも
しれないけど。終演後に佐野さんが楽屋でガックリと落ち込んでいる時でも、
観客としてのわたしは「今日はなんだか得しちゃったなぁ」とウキウキしてし
まう日があったりする。思いがけないドラマを目撃できたりするからねっ。
ものすごいバンドです、The Hobo King Band。
何を今さらと思うかもしれないけど、しみじみ思います。
この6人でしかできない旅を、彼らは続けています。
(3月23日)
=======================================================================
■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■ Happy Birthday,MOTO!!(3月13日・名古屋市民会館)
■ SOMEDAY……(3月14日・名古屋市民会館)
■ HEAT UP(3月15日・名古屋市民会館)
■ 楽屋中継・名場面フラーッシュ!!
■ メールください
-----------------------------------------------------------------------
■ Happy Birthday,MOTO!!(3月13日・名古屋市民会館)-------------------
[お断り:実はこれ、書いているうちに初日のレポートというよりも名古屋3
デイズで感じた勝手な感想文になってしまいました。ま、興奮した友達からの
メールだと思って読んだってください]
トミーの渋いベース・ソロから始まる「ドクター」。
この曲を聞きながら、ふと、これは現在の佐野だからこそここまでカッコい
い曲に仕上がったのだろうなと確信した。
彼が今日、42歳の誕生日を迎えたことが記憶のどこかにひっかかっていたせ
いかもしれないけれど……。
彼が『The Barn』プロジェクトでやろうとしていることは、その年齢の肉体
と精神で表現しうる可能性の追求……なのかも知れない。と思った。
80年代はじめ、つまり『サムデイ』の頃の佐野のライブ映像を久々に見た。
そう、あの頃の佐野元春はこんな風だった……と思い出した。
ちょうど最近の彼がステージで着ているようなシャイニーなスーツ姿で、20
代の佐野はステージを走り回っていた。声は今よりもちょっと甲高く、どんな
瞬間にも攻撃的な目をしている。あの時代、こんなにも完璧にクールなロック
ンロール・スターはいなかった。
その後、数えきれないほどの佐野元春フォロワーが生まれたけれど。誰ひと
り、彼を超えることはできなかった。そしてもちろん、今の佐野元春だって80
年代の佐野元春みたいには歌えないはずだ。
でも、あの頃の佐野元春が“The Barnツアー”を見たら……。きっと、羨望
で身震いするに違いない。今なお攻撃的であることを忘れずに、けれど同時に、
すべての痛みを包み込む優しさに満ちていて。安息に辿りついてはいないけれ
ど、ガムシャラに焦りすぎることもない。
10代の頃に20代の佐野元春に出会って、それからずっと長いこと彼の聞き手
であり続けてきた。それはわたしの誇りでもあるけれど、この日、その事実よ
りも大切なことを発見した。
それは、わたしはただ“あの頃”の延長線上で佐野を見ているわけではない
ということ。たぶん、どこか……おそらくザ・ハートランドが解散した瞬間ま
で、わたしは『バック・トゥ・ザ・ストリート』の延長線上で佐野元春をとら
えていたと思う。だって、ハートランドの解散ライブの時に、わたしの青春は
終わったわとさめざめ泣きましたから。
でも、今のわたしが興味を抱いているのは『フルーツ』からの佐野元春。
あの時はこうだったとか、そんなことを考えているヒマもなくて。リアルタ
イムで、その瞬間その瞬間の佐野に魅かれているような気がしている。
20代の佐野に、こんなにシビれる「ドクター」は歌えないだろうと思う。
でも、それだけじゃない。当時の楽曲だった「ガラスのジェネレーション」
さえも、彼は歌うことができる。「僕は大人になった」は、演奏するたびにど
んどん“大人度”を増していく。佐野がずっと歌い続けてくれてよかった、そ
して彼と一緒に時代をくぐり抜けてくることができてよかった。ものすごく素
直な気持ちで、そう思える。
会場に向かう車の中で、The Hobo King Bandのメンバーがコソコソと相談を
している。「ガラスのジェネレーション」のアレンジについて。イントロをニ
ック・ロウの「クルエル・トゥ・ビー・カインド」ふうにしてみよう、間奏で
はアコースティック・ギター2本をうんと歪ませたサウンドを作ってみよう…
…アイディアが次々と生まれる。
あの頃とは違う、今の佐野元春にしかできない輝きをもって聞こえてくる「
ガラスのジェネレーション」。なんだか、新しい曲を聞く時のような興奮に包
まれてしまう。The Hobo King Bandの連中は、かつての佐野の音楽についてめ
ちゃくちゃ詳しいというわけではない。けれど、いつでも誰よりも佐野を“わ
かっている”ように見える。それはたぶん、今の佐野元春に似合う音を知って
いるからだと思う。
バンドの面々は、時には佐野のスタイリストになって、彼にいちばん似合う
服をあれこれ着せてみる。そして、時には佐野がメンバーのためのスタイリス
トになる。そんなやりとりの中で、それぞれが自分では気づかなかった新しい
スタイルを発見したり……。相手がいちばん欲しているツボを見つけてギュッ
と押すマッサージ師、とたとえることもできるだろう。
ツアーが始まる前、佐野は1曲でも多くの新曲を作りたいと言っていた。け
れど、必ずしも新しい曲だけがバンドを前進させるわけではない。
「みんな、佐野さんの曲を演りたくて集まっているんだから」
と、佐橋は言った。
そう言えば。フルーツ・ツアーの時よりも、古い曲と新曲の境界線があいま
いになってきているような気がする。
『The Barn』は、これまでの作品の中でも異色作だと思っていたけれど。ソン
グライターとしての佐野元春を中心にして考えると、すべてをひとつの線とし
て結ぶ役割を果たしている作品なのかもしれない。本当に不思議なことだけど。
佐野とThe Hobo King Bandが、98年の佐野元春にぴったりのサイズに古い服
を仕立て直しているから?
新しいシャツもいいけれど、お気に入りの服は仕立て直してでも着て欲しい。
そういえば、行きの新幹線の中でなべマネが「久しぶりに『SOMEDAY』聞い
たら、どっか『The Barn』とすごく似ているんだよ」と言った。「どこが?」
と聞いたら「うーん、わからないけど。なんか、オレはそんな気がした」とし
か答えてくれなかったけど。
なんとなく、わかるような気がする。
時代との向かい合いかた、あるいは佐野の彼自身との向かい合いかた。どこ
となく、同じシルエットを映し出している。どことなく、同じ温度を感じさせ
る。
そして、アンコール。
客席には、有志“Sweet42 Project”(!!)によるHappy Birthdayのカード
が掲げられる。アンコールの拍手に混じって、ハッピー・バースデイの大合唱。
出てきた佐野は、本当にうれしそうだった。誕生日、何かが起こることは期待
していたと思うんだけどね。
アンコール曲は、「悲しきレディオ」メドレー。“スペシャル・ボーナス”
として演奏してきた「デトロイト・メドレー」のかわりに、彼は今回のツアー
では初めて演奏されるこの曲を選んだ。ハッピー・バースデイへのお礼の気持
ちだったのかもしれない。
フルーツ・ツアーでは、センパイの弾くイントロがザ・ハートランドの残像
を思い出させてくれた。けれど、わたしはもうハートランドの「レイディオ」
を忘れかけている。耳に馴染んだイントロも、ハートランドではなくThe Hobo
King Bandの西本明の奏でるメロディとして聞こえてくる。
そして中盤、メンバー紹介コーナー。
KYONがいつものように佐野を紹介した後、メンバーが「Happy Birthday」を
演奏。佐野がいない隙を見計らって、楽屋でこそこそ相談をしていた作戦は大
成功。そして、本番中に唯一仕事をしていないノージが、スタッフ代表の花束
嬢(“嬢”じゃねーよ)としてステージへ。佐野さん、いきなりのことに目が
点。失礼しました〜。
そして終演後。楽屋ではシャンペンとケーキで、お誕生日をお祝い……する
予定だったのだが。なんと、閉館ギリギリまでアンコールを演っちゃったもの
でタイム・アウト!! お祝いは明日あらためてゆっくりと……ということで、
あわてて会場を出たのだった。
なんか、今回はライブ・レポートになっていませんけど。
42歳の佐野元春がどんなにカッコいいかを書きたかった。
なので。これをもって、わたくしからのお誕生日お祝いとさせていただきま
す。
だめ?
-----------------------------------------------------------------------
■SOMEDAY……(3月14日・名古屋市民会館)------------------------------
3月14日。
会場に入ったとたん、佐野がテーブルの上に置かれたメモ用紙に勢いよく何
かを書き始めた。曲順のようだ。いつもは過去のライブの曲目リストのファイ
ルを眺めながら考えているのに、今日はすでに頭の中であれこれシミュレート
済みのようだ。書き終えると、それを持って自らスタッフ・ルームへと走って
行ってしまった。
そして5分後。
「はい、今日の曲順表」
戻ってくると、乱暴な字で書きなぐった手書きの曲順表(いつもはマネージ
ャーがワープロで打ち直したものを配るのに)のコピーを、メンバーひとりひ
とりに手渡す。
「わぁ」
みんな、驚く。驚くけど、うれしそう。
なぜって、このツアー始まって以来の大波乱の曲順大変更。
佐野元春。お誕生日を迎えて“ニュー元春”に変身か!?
ツアー後半戦が始まるにあたって、わたしが待ち望んでいた“X-day”。そ
れは思っていたよりも、ずっと早く訪れた。
何を思って、彼がこんなふうに構成をバラバラに崩したのかはわからない。
けれど、佐野の中で何かが終わって何かが始まった。あるいは、何か決意が生
まれた。
絶対そうに違いないと思った。
The Hobo King Bandの面々も、同じように感じていた。いつもより真摯な表
情で、いつもより緊張した面持ちで入念なリハーサルに臨む。そして、開演前
ギリギリまで佐野とのディスカッションを繰り返していた。
その変化をはっきりと確認したのは、本番のステージ上が始まってからだっ
た。
この日は、誰が何と言おうと“佐野元春Day”だった。
今までの秩序をブチ壊して、けれど“The Barn”ツアーの中で育まれてきた
グルーヴを存分に見せつけて、何をもって佐野元春が佐野元春であるのかをハ
ッキリと思い知らせてくれた。
いつものオープニングBGM「逃亡アルマジロのテーマ」もなし。
「こんばんは、名古屋」という佐野のひと声から始まったのは、「僕は大人に
なった」。いつもは終盤に、残った力を全部出しきるために使われる“余力一
掃ナンバー”。それを、佐野いわく「バンドもお客さんもウォーミング・アッ
プのためにね」と、オープニングに持ってきた。これが、まず功を奏した。
名古屋市民会館は、ちょっと不思議な構造になっている。天井が高いせいか
もしれないけれど、オープニングの歓声が湯気のようにモワーンとたちこめて
しまう。だんだんとオーバーヒート気味の歓声があがり始めると、シャキンと
するのだけれど。だから、ジワジワと盛り上がるよりは、いきなりピークに達
するような盛り上がりかたの方が合っているみたい。そんなわけで、「僕は大
人になった」から「君を探している」へと続く意表つきまくりの曲順がばっち
りキマった。
前半が『The Barn』コーナー、そして後半が元春クラシックスという構成に
慣れていたわたしとしては、この夜の新旧入り交じった曲順は“お部屋の模様
替え”のような気分。曲順が変わるだけで、実に新鮮な光景が見えてくる。
そして、新鮮なのは曲順の変化のせいだけではなかった。
とにかく、佐野が違う。なんか違う。どこか違う。
今日の佐野さん、どこかヘン……とさえ思うくらいの気迫。
しかもヤミクモにスピードを上げまくっているわけではなく、クールにグル
ーヴを維持しながら確実にテンションを上げ続けている。大人の穏やかさと、
向こう見ずな危険さが同居している。まさに、まさに、前日の項で書いた“42
歳の佐野元春”にしかできないカッコよさが炸裂。ドキドキ。
そう、この感じ!!
何かが違う、この微妙さが生み出す独特の空気。これまで佐野元春のライブ
を見て何度か体験した、特別な空気が流れ始めているのを感じた。
中盤では「サムデイ」が演奏された。
このツアーでは、神戸公演に続いて2度め。神戸ではファンと佐野との“約
束の歌”である「サムデイ」が演奏されることを、誰もが予想していたはずだ。
けれど、ここで再び演奏されるとは思ってもいなかった。それぞれの曲が新し
い力を発揮し始めた今回のツアー、以前のように「サムデイ」がとっておきの
切り札としてのパワーを見せることができるかどうか……。そんな心配もあっ
た、ちょっとだけ。
けれど、この日の「サムデイ」は凄かった。
今までライブで聞いた、どの「サムデイ」よりも強烈な印象を残した。ザ・
ハートランドの解散が発表された、佐野にとって最初の武道館公演。ライブ・
ビデオとしても残っている、わたしが記憶するもっとも印象的な名演。あの時
の「サムデイ」を聞いた時に感じたゾクゾクッという衝撃。なぜか、あの時の
感覚を思い出した。
説明のつかない、理由など考えたくもない無邪気な高揚感。
こんな佐野元春を待っていた。
“The Barn”プロジェクトにおける、新たなマイルストーンが刻まれた。
「佐野さん、壊れましたね…………?(←頭を指して)」
「ちょっとね、プツンとね(←頭をチョキンのポーズ)」
終演後、わたしと佐野さんとの間で交わされた会話。立派なジャーナリスト
だったら、もう少し気の効いた言葉をかけたのだろうが。いい。これでいい。
わたしの場合は、こんなレベルでしょ。
演奏の盛り上がりと観客の反応が、本当にピッタリと呼応しあっていた。そ
のコミュニケーションもまた、このライブを完璧へと近づけたのだと思う。
「こういう気持ち、お客さんにもちゃんと伝わってるんだな。そう感じたよ」
帰り際、彼は言った。いつもとはどこか違う観客の反応を、佐野は自らを映
す鏡のように受け止めていたのかもしれない。
-----------------------------------------------------------------------
■HEAT UP(3月15日・名古屋市民会館)----------------------------------
この日もまた、佐野は会場に着くなり鉛筆でタタタッと曲順を書き始めた。
「何だろう、何だろう、全曲ひっくり返しだったりして……」
楽屋の隅で、佐橋が不安におびえるポーズ。でも、顔はニンマリ笑っている。
昨日のライブを終えた今、このツアーはお待ちかねの“軌道修正不可能”への
道を進んでいくしかない状態へと突入。ツアー半ばで見せた、キッチリと完璧
に構築されたステージングは二度と見られないような気がしてきた。
となると。初日から今日まですべてのステージが再現不可能な貴重なドラマ
続きだったなぁ……なんてことを思ったり。最初の頃、毎日違ったプログラム
が流れる映画館のようなツアーだと書いたけれど。もはや“映画館”という器
さえも超越している。その日によって、映画館だったりオバケ屋敷だったり銭
湯だったり……。あー、そういうメチャクチャなのが好きだなぁ。わたしとし
ては。
「本日の曲順、このようになっております」
今日の佐野さん、バーテンさんになって曲順表をメンバーに渡すの巻。
コピーをもらったとたん、KYONが手を挙げて質問する。
KYON「あの、1曲めの「ズッキーニ」というのは“生ズッキーニ”ですか?」
佐野「はい、そうです」
KYON「ひえ〜」
佐野「久しぶりにアキラの“ズッキーニ!!”から始めようかと。テーマは“よ
みがえれ、アキラ!!”」
アキラ「まだ生きてますぅ(泣)」
昨年の“アルマジロ日和”では、センパイの“ズッキーニ!!”というシャウ
トと共に1曲めに演奏されていた「ズッキーニ」だが。このツアーでは、アン
コールが終わった後のBGMとして流されていた。それを、久々に生で演ると
いう。
ちなみに、最近ステージ上のセンパイはちょっと元気がない。プレイはばっ
ちりでも、メンバー全員があっけにとられるようなホームラン・プレイが少な
いのが淋しい。もしかして、「ズッキーニ」はセンパイのエンジンをかけ直し
作戦の一環……になるかも。
それにしても、なんという構成の変わりよう!! 前日ともまったく違う。決
まったレパートリーの構成を入れ替えていた“フルーツ・ツアー”よりも、思
いがけない曲が次々と言い渡される今回の構成のほうがスリリング。バンドに
とっては。ずいぶん長い間演っていない曲もあったりするし、もう2年もの間
3曲メドレーで演奏されていた“ダライラマ・コーナー”が突如「太陽だけが
〜」を抜かしたバージョンに変更されるというし!!
もう、ほとんど“抜き打ちテスト”の世界だ。
多少の難題は笑顔でスイスイとこなしてしまうHKBも、ちょっと真剣な顔で
ウーンと考えこんでいる。とはいえ、佐野から難題を出されるだけではなく、
バンドのほうからも新しいアレンジのアイディアが提案されたりして。佐野も、
“逆抜き打ちテスト”を突きつけられている模様。この雰囲気、前にも見たこ
とがある。彼らが一段高いハードルを前にした時の緊張感だ。
前の日に跳び越えたハードルの高さを守りつつ、さらなる高みに向かって試
行錯誤を始めた。そんな感じのライブだった。
佐野にとって、ツアーでの3デイズ・ライブは初めての経験だったそうだ。
2デイズ・ライブでもエネルギーの配分は難しいと、メンバーは言っていた。
それだけに、この3日間のエネルギーの配分は、佐野自身にとって新たな課題
だったようだ。
結局、“配分”というよりは、毎日すべての力を出し尽くしてしまったとい
う感じもする。
バースデイ・ライブの初日、そしてツアーの新局面を見せた2日め、その勢
いで加速していった3日め。
3日間を通して、ひとりのストーリーが見えた。
最終日は、飛ばしまくり。前日のライブと比べて、佐野は全然冷静じゃなか
った。フルーツ・ツアーのファイナル、長野での“ロックンロール・トライア
スロン”( (c)ノージ)を思い出させるよな体力勝負のロングラン。
佐野元春、確実に“ニュー元春”になりつつあります。
やっぱり42歳はオトナだなぁと思いきや、この日はやたら無邪気。ヤンチャ。
さすが「僕は今日24歳になった」と言い張る男だけのことはある……(泣)。
贅沢に曲を詰め込んだのはいいが、本編だけでもスゴい長時間の演奏になっ
てしまった。しかも、突然決めたプログラムゆえに“体力の限界”というもの
を計算に入れてなかったようだ。
本編の最後に演奏されたのは「水上バスに乗って」。
しかし、実は、実は、予定ではさらにもう1曲演奏されるはずだった。
ところが「水上バス」が終わったとたん、佐野はいきなりギターを置いて勢
いよくステージから走り去ってしまった。
あとから聞いたところによれば、体力の限界で「もぉ、ダメ」といったん引
っ込むことにしたのだそうだ。
それを見て、あわてて後に続くメンバー。
しかし、かわいそーだったのはトミー。
彼が次の曲に備えて、うつむいてチューニングをしている間にみんないなく
なってしまったのだった……。ローディーに耳うちされて、ハッと顔をあげた
トミー。オイテケボリにされたことに気づいて苦笑。
ちなみに本編最後に演奏されるはずだった「ダウンタウン・ボーイ」は、ち
ゃんとアンコールで演奏された。
糸が切れた凧のような……という表現があるけれど。飛ばしまくっている時
の佐野元春は、ホントに絵に描いたように“糸の切れた凧”になってしまう。
いきなり走り去って終わった本編に続いて、アンコールが終わった後はギタ
ーをしょったまま舞台袖に向かって疾走。ローディーがあわてて佐野の後を走
って追うという、テンヤワンヤの展開に。もう、終盤の佐野さんはMr.ビーン
よりも謎なアクションを連発。
わたしの頭の中には、ドリフの“逃げろ!!”のテーマが鳴り響いておりまし
たよ。
終演後。
佐野さん、楽屋の机に突っ伏したまま瀕死。
3日間パワー放出しっぱなしで、干物状態です。
「燃え尽きたー」
その言葉が、名古屋で聞いた最後の佐野発言でした。
なぜなら、わたしはコロちゃんをのぞくHKBのメンバーと共に新幹線の最
終で帰京したからです。燃え尽きて灰になった夜は、ぐっすり眠れる……と、
以前佐野さんは書いていましたが。その夜は、灰になったあげく岩のようにバ
ク睡したに違いありません。
-----------------------------------------------------------------------
■楽屋中継・名場面フラーッシュ!!---------------------------------------
夜も更けてまいりました(←執筆ちゅうの現時点においては)。
名古屋3日間に起こった、あんなことやこんなこと。どっから書いてよいも
のやらわかりませんし、すでに超長いメールになってしまったので、タタタッ
とフラッシュでお届けいたしましょう。“フルーツ・ツアー”の昔から、ライ
ブ・レポートはスッ飛ばして楽屋拝見を楽しみに待っていらっしゃる皆様が多
いことは存じております。
しかし、しかし。ライブ・レポートは、わたしのライフ・ワークなのです。
****************************
東京駅。名古屋に向かう新幹線に乗り込むと、なんとThe Hobo King Band一
行の後ろには“This!”でご一緒したフィッシュマンズご一行様が!! なんと
いう奇遇。やはり、これから名古屋でライブだそう。世間は狭い。奇遇です。
****************************
名古屋初日は佐野さんのお誕生日。何かイベントをやらなきゃ気がすまない
HKBですが、ツアーの合間ということで相談するヒマがありませんでした。
とりあえず、ライブの最中に“ハッピー・バースデイ”を演ろうという提案が。
しかし、佐野さんがいるので大声では相談できません。なべマネの書いたヒミ
ツの連絡用紙をコソコソ回したり。佐野さんがトイレに行ったスキにあーだこ
ーだと話したりして、誰かが「戻ってくる〜」と合図をするとピタッと話を止
めたりして。
HKB、女子校状態(笑)。
****************************
楽屋にて。
アルバムからのシングル・カットが決まった「ドクター」のサンプル・カセ
ットを、佐野さんがかけました。ちなみに、このシングルのボーナス・トラッ
クは3曲めの「ヤング・フォーエヴァー(アコースティック・バージョン)」。
佐野さんのギターが泣ける、HKBもお気に入りのセッションが遂に日の目を
見るのです。佐野さんのヴォーカルも、リラックスしていてすごくイイ感じ。
気持ちいい〜。
この曲を聞きながら、トミーが「わぁ、久々に思い出すなぁ。ウッドストッ
クの生活」と言いました。確かに、ものすごくウッドストック生活を思い出さ
せる音……。
トミー「森の景色見ながら、ボーッとしてた時の感じがフラッシュバックする
なぁ」
佐野「あのスタジオ、森、アパート、居間、キッチン、たき火……フフフフ」
トミー「うわぁーっ、すべてがよみがえるー!!」
興奮している2人。知らない人が見たら、とても謎な光景かもしれません。
でも、本当になんだかすごーくウッドストックの匂いがするんです。不思議な
くらい。
ちなみに、これを言うと佐野さんに叱られるかも知れませんが。
このバージョンの「ヤング・フォーエバー」で、ザ・プレストンズの名曲「
おもにころがっていた」が歌えます。偶然なんですぅー。パーカッショニスト
のバシーリさんが、何も知らずに叩いていたら似ちゃったんですぅ。
****************************
実は、なんと!! 佐野さんはジョン・サイモンさんから、彼の作品のために
英語の歌詞を依頼されていたのです。そして、佐野さんの詞にメロディをつけ
た譜面が届いたということで佐野さんが楽屋に持ってきました。
コロちゃんがギター、KYONはピアニカ、佐野さんは歌。
3人で、譜面を見ながら演奏してみています。なにしろ譜面1枚しかないの
で、どんなアレンジの曲にするつもりなのかがわからない。バラードふうに演
奏してみたり、ボサノバふうに演奏してみたり、ラスカルズふうに演奏してみ
たり……いろいろ試しています。でも、どんなふうに演奏してもすごく美しく
て素晴らしい曲だということがわかります。
どういう形で発表されるのか、楽しみですね。
****************************
みんなで干支の話をしていました。
で、わたしが「佐野さんはナニドシですか?」と訊ねたところ、佐野さんは
ちょうどお弁当をモグモグ食べているところだったのです。わたし、気づかな
かったのです。
しかし、くるっと振り向いた佐野さん。
無言で、サルのポーズ。
“シェー”に似た、いわゆる「お猿さんだよ〜」のカッコを想像してください。
「佐野さん、面白すぎますぅ」
と、HKB全員、ぶっ倒れました。
あー、みなさんにも見せてあげたい。わたしが「何のためにカメラ持っとる
んじゃ」とメンバーさんに叱られるのは、こーゆー時です。
****************************
仙台公演の最中に次男が誕生した井上トミー家ですが。
「名前はまだない」(byトミー)
ということで、現在名前を考えちゅう。
せっかくHKBがいろんな名前を考えてあげたのに(←前号参照)、そして
佐野さんがステージ上で「名前を募集ちゅう」と勝手にアナウンスしたっつー
のに、やっぱり自分で考えるって。あたりまえだよね。
カバンの中から「名前のつけかた辞典」を出してきて、眺めております。
「見た感じは“太郎!!”ってイメージだったんだけどねぇ、次男だしねぇ」
と、ぶつぶつ。やっぱり、画数とかも気にしちゃうし、いろいろと悩むそう
ですよ。
他のみなさんも、トミーの本を借りて「佳幸は、佳幸は〜?」とか「まさか
恭生っつーのは載ってないやろ」などと、別の意味で盛り上がっています。
****************************
名古屋初日。開演15分前。
ふつうは緊迫するでしょ。バンドによっては、スタッフ立ち入り禁止で瞑想
タイムに入るっつー話も聞きますよ。しかし、佐野元春&The Hobo King Band
の場合は……。
佐野さんが、センパイに向かって……
「アキラ〜、今日、オレのかわりに歌って〜(←だだっ子になっている)」
と、いきなり謎の発言。
「ななな、なぬ?」
その謎の行動が“ひとつの宇宙”とまで呼ばれるセンパイでさえ、あまりの
唐突なお願いに激しく動揺……。以下、会話の続きです。
佐「歌って〜歌って〜」
セ「だめ」
佐「オレ、一生懸命アキラやるからさ〜。歌って〜」
セ「そ、それは。佐野くん、自分で歌いなさい」
佐「だめか〜。オレ、アキラやりたいのになぁ」
センパイが宇宙なら、佐野さんも宇宙。もはや、これは宇宙大決戦です。
ああ、ひとつの宇宙を呑み込むアナザー宇宙。いっこのバンドに2つの宇宙。
なんとおそろしいバンドでしょう。
つーか、この2人、ホンットによくわかりません。頭、痛くなるっすー。
-----------------------------------------------------------------------
■メールください-------------------------------------------------------
これをMIPSさんが配信してくれる頃には、もうフツーの時間になっているで
しょうが。今ね、朝の6時30分なんですよ。もう、わし、ヘロヘロですねん。
今日は、これから渋公ライブです。なので、どーしてもそれまでに名古屋編を
書きあげねばっと思って……気がついたら。わぁっ、こんな時間ですたい。困
った。原稿の〆切も山ほど抱えておりますのに、やっぱりSTTは必死で書い
てしまうのねん。自己満足だけど。
というわけで、もう何を書いているのやらワケがわからなくなってきました
ので終わります。
ではでは、もうすぐ渋公でぇ〜(←東京なので江戸っ子ふうに)。
By 能地祐子
from Nohji's Rock'n Roll Shop
(http://www.DaDooRonRon.com)
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ MIPS PRESENTS ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ノージのSmall Town Talk ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 佐野元春 and The Hobo King Band ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜 ◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Vol.9 <1998.4.03>
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★ノージからのごあいさつ★
終わっちゃったよ〜。終わりましたよ。3月29日の大阪フェスティバル・ホ
ールにて、“The Barn”ツアーは無事ファイナルを迎えました。もちろん、こ
の後は佐野さんインフルエンザで順延になった東京・神奈川の2公演があるの
ですけれどもね。
大阪では“The Barn”プロジェクトのしめくくりということで、アメリカか
らジョン・サイモンさんとガース・ハドソンさんも来日。3日間の滞在でリハ
ーサルと本番を終えて、時差ボケのまま慌ただしく帰国したガースさんはちょ
っとお気の毒でしたが。ステージ上の彼らと、本当に素晴らしい夜をご一緒す
ることができてよかった!!
大阪レポートはまた次回にゆっくりお届けするとして。遅くなってしまった
東京・渋谷公会堂でのライブ・レポートをあわてて書いています。なんかね、
ツアーが終わるとね、ボーッとしちゃうのと仕事がたまっちゃうのでメールが
遅れがちになってしまいますわ。
(4月3日)
=======================================================================
■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■Back To Tokyo(3月23日・渋谷公会堂)
■2倍返し!?(3月24日・渋谷公会堂)
■楽屋拝見フラッシュ!!
■在庫一掃企画“みんなで歌おう”
■メールください
-----------------------------------------------------------------------
■Back To Tokyo(3月23日・渋谷公会堂)--------------------------------
メンバー楽屋では、The Hobo King Bandが本番前の準備を始めている。どこ
となく、ピリピリした雰囲気。メンバーが、なべマネに「開演は、何分?」と
訊ねる。いつもはテキパキ答えるなべマネが、困った顔でうつむく。
6時40分。予定開演時間を10分も過ぎている。ステージのほうからは、佐野
とPAチームがサウンド・チェックを続けている音がまだ聞こえている。
「“渋公〜ッ”って音だよね」
リハーサルを終えたメンバーたちが言う。
わたしも、渋公ライブの経験値は他地方の会場と比べて非常に高いのでわか
る。なんか、どこかモワ〜ンとした雰囲気がつきまとう。だけど、この会場は
収容客数のわりにすごく狭く感じられる、いわば“巨大なライブハウス”のよ
うな親しみを感じさせる。独特の音響も、渋公らしい密室感覚をかもしだして
好きだ。このホールが持つ、独特の魅力。とりわけ東京で育った人間にとって
は、武道館と同じくらいの重みを持つ“ロックの殿堂”という印象がある。
佐野が、ここ数年の東京公演で中野サンプラザや厚生年金会館ではなく渋谷
公会堂にこだわり続けるのも、たぶん“渋公”という場所が放つ独特の魅力に
よるものだと……推測しているのだが、どうなんだろ。
とはいえ。この場所でのベストな音響に対する答えは、なかなか見つからな
い。佐野の理想とする音と、PAチームの思惑。いつも、どこか歯車ひとつが
食い違っている。
リハーサルのステージに立ったとたん、佐野はいつもより緊迫した表情にな
った。
ホームグラウンドである東京で、ひとつケリをつけたい。
そんな彼の思いが伝わってくる。
「佐野さんがステージ上であんなにイライラしている顔見たら、どんなに頑張
っても演奏だってテンションさがっていくよ。当然だけど」
以前、トラブル多発で佐野がキレまくったライブが終わった後。帰りのタク
シーの中で、メンバーのひとりがため息まじりに言った。
佐野の苛立ちはメンバー全員の苛立ちであり、PAチームの葛藤は“佐野元
春&The Hobo King Band”というプロジェクト全体の葛藤だ。
しかし、ツアー後半に入ってから状況は少しずつ変化してきている。ファイ
ナルを迎えるまでに、これまでの試行錯誤がひとつの実を結びますように。祈
るような気持ち。
****************************
結局、ステージは30分以上も遅れてスタートした。
その遅れをわびる気持ちをこめて、なのだろうか。
ステージに立った佐野は、オープニングから崖っぷちギリギリまでテンショ
ンをあげている。
この日は、あの名古屋2日めの「僕は大人になった」から始まる曲順メニュ
ーが組まれた。1曲めは“お客さんも僕らもウォーミングアップのためにね”
( by 佐野)ということで「僕は大人に〜」が選ばれたわけだが、佐野の身体
は充分にあったまっているみたいだ。
しょっぱなからゴォーゴォーと火を吐くゴジラと化す佐野に、メンバーもぐ
いぐいと引きずられていくのが見える。
続いての2曲め「君を探している」で、佐橋&KYONのギターが炸裂する。佐
橋とKYONのギター・バトルの加速ぶりは、このツアーにおける重要なチェック・
ポイント。“腕きき”とか“名人”とかいう形容を超えて、この2人が一緒に
並ぶことによって特別な空気が生まれる。互いが触発しあって、それぞれが見
せる“いい味”が全開なんだなぁ。このバンドでしか聞けない、ものすごく粋
な味わいが……。
そして3曲めの「ヤング・フォーエバー」で“待ってました”の歓声があがる。
この曲が、すでにスタンダードになりつつあることをしみじみ痛感する瞬間だ。
****************************
何かひとつ、どうしてもうまくいかないことがあった時。そんな日の佐野は、
誰もが想像できないような、思いがけない類のエネルギーを炸裂させる。
この夜も、そんなことになるんじゃないかって気がしていた。開演時刻がど
んどん遅れていくなかで、不安を感じながらも期待していた。
この“The Barn”ツアーをインサイダーとして観察することで、発見したこ
とがある。
レコーディングやライブ・プロジェクトを、制作やビジネス面まで仕切る佐
野元春は“完璧なプロデューサー”という印象が強いけれど。少なくともツア
ー中の彼は、時にプロデューサーという視点を完全にフッ飛ばして、ロックン
ローラーとしての野性と本能だけで突っ走っていく。まわりのものは何も見え
なくなってしまう。
そして、そんな瞬間の佐野はモーレツにカッコいい。
誰がなんといおうと、こんなカッコいいロックンローラーはいない!! と思
わせる。
佐野が常に完璧をめがけていく過程で、無意識のうちに“完璧”へと到達す
る瞬間。
それを、いつも待っているような気がする。彼自身の思惑とは矛盾してしま
う“期待”なのかもしれないけれど。
新人・ベテランに関わらず、ビジネスマン然としたミュージシャンが増えて
いく昨今だけれど。ずっと昔からビジネス・サイドにも深く関わってきた佐野
の、結局は“ロックンロール”であるがゆえにビジネスマンになりきれない誠
実さが好きだ。それは、他のHKBのメンバーたちにも共通している。
音楽がなくちゃ生きてゆけない、音楽でしか生きてゆけない。器用そうでい
て、めっぽう不器用な男たちの集まりだからThe Hobo King Bandが好き。
東京の観客の、おそろしく熱狂的なノリに圧倒されてしまう。
開演が遅れてジラされたぶんもエネルギーになっているのか、とにかく全国
的に見てもいちばん歓声がデカい!!
会場が一丸となってのコールとか、曲中の“合いの手”(?)とか。ものす
ごい。女性ファンも多いはずなのだが、とことん男っぽいノリが客席を満たし
ている。
このノリ、この日の佐野とHKBはずいぶんと助けられたはずだ。ステージ
も客席も、押しの一手。どちらも一歩も退かない。
これじゃ、どんどんテンションあがっていくはずだわ。
****************************
「今日は、けっこうMCも満足」
と、終演後に佐野は言った。
確かに、この夜の彼はよくしゃべった。実によくしゃべった。
とはいえ“アルマジロ日和”の時のように、曲の合間に説明をするような固
いトークではなくて。前半『The Barn』コーナーは、MCは少な目でグッとク
ールにきめる。あのアルバムの流れを、おしゃべりでさえぎってしまわないよ
うに。そして後半で客席がリラックスしてくると、次々と“名言”連発でコミ
ュニケーションをはかる。
ちょうど「サムデイ」を演り始める前、この10数年間のファンたちの表情の
変化を話しながら“成長”について話している時なんか……。どうやら佐野は、
途中で何を言ってるんだか自分でもよくわかんなくなっちゃったようだった
(泣)。
佐野「なぜ僕がそんな話をしているのかって、思ってる? 僕がステージの上
でわけがわかんなくなってると、そう思ってるんだろ?」
客席「ドーッ(←爆笑)」
このライブを見たマスコミ関係者が「佐野さん、ホントに変わったよねぇ」
と言った。こーゆー時、前は客席で“ドーッ”とは笑えなかったものね。後で
思い出して、クスクスッと笑っていたのに。佐野元春の謎MCの愉しみを、遂
に“ご本人”とわかちあえる時代がやってくるなんて!! こんな幸せなことは
ありませんよねっ、マニアのみなさま。
そんな陽気なやりとりから始まる「サムデイ」。
そう、この曲はもう“禁じ手”でも“儀式”でも“切り札”でもなくなって
いる。佐野元春とThe Hobo King Bandにとっての“大切な曲”のひとつである
ことは変わりないけれどね。
アンコール。
「みんなが楽しいと僕も楽しいよ。何歳になったか忘れたけど、でも、でも、
でも……ま、いーか。不景気だろ? どこの街に行っても」
もう、ずぇーったいにワケわかんなくなっています。
でも、ひとつだけ確かなことは……佐野自身も“ワケのわかんなくなってい
る自分”を楽しんでいるみたいだってこと。
ザ・ハートランド時代は、彼はいつでも“長男”としての責任を負っていた。
自分だけワケがわかんなくなっちゃうことを楽しむ自由や余裕は、それほど
なかったんじゃないかと思う。でも今は、楽しい時は思いきりブチ切れても安
心。誰かが、そんな彼をちゃんと見守っているから。そのかわり、誰かがブチ
切れた時には見守ってあげなきゃいけないけど。
「何かガックリしていることがある人は、一緒に歌おう。生まれつきハイな人
はそのままでいいよ」
と言って、彼が歌い始めたのは「悲しきレディオ」メドレー。
ツアー前半ではミッチ・ライダー&ザ・デトロイト・ホイールズの“デトロ
イト・メドレー”の中に組み込まれていた“元春メドレー”を、「悲しきレデ
ィオ」を母体にしたメドレーへと組み替えたものだ。
****************************
今宵も、いい感じで燃え尽きた。
音響問題に関しては、たぶん佐野は満足しきってなかったと思う。けれど、
ライブが終わった後の彼はとてもうれしそうだった。だから、メンバーもうれ
しそうだった。
その夜のステージ上で、彼らが何をいちばん“大切”にしていたか。それは、
終演後の彼らの顔を見ればわかる。
----------------------------------------------------------------------
■2倍返しぃ!?(3月24日・渋谷公会堂)--------------------------------
余談ですが。前日のアンコール「悲しきレディオ」におけるメンバー紹介で
のこと。
佐野は、トミーを紹介する時にこんなふうに長い説明をくわえた。
「このツアー中に、彼は子供が生まれた。でも、彼が生んだわけじゃない(←
あたりまえだ)。名前も決まった、何だっけ……(←トミー、こそこそと耳う
ち)。うん……ここだけの秘密にしておこう」
本当だったら、その後に「ベース、井上富雄!!」と名前が紹介されて。で、
トミーがベンベベンとベース・ソロを弾くことになっているのだが。
次の瞬間、佐野さんは……
「ドラームス!! 小田原豊!!」
そのままドラム・ソロに突入。トミー、ソロ・パート忘れられちゃいました。
で、翌日の24日。楽屋で、みんなが昨日のライブについて話していて誰かが
「佐野さん、忘れてるんだもーん」と言ったら……。佐野元春、目が点になり
ました。
「え、なに? オレ、忘れてたの?」
覚えてませーん。みんな「さすがっ、佐野さんっ」と大笑い。
しかし、佐野さんの説明によると“ワケがわかんなくなっていた”のではな
く……
名前を聞いた→言おうと思った→しかし、待てよ。こういう公なところで子
供の名前をゆってよいものか?→んー、どーしよう→やっぱ言おうか→待てよ
→んー→ぐるぐるぐるぐる→うーんうーん→ドラームス、小田原豊!!
という図式だったそうだ。
この夜、同じくメンバー紹介でのトミーのベース・ソロはすごかった。
いきなりチョッパー奏法でブチ切れまくってたもん。
あとでメンバーに“あんた、せんきゅうひゃくななじゅうねんだいの人!?”
とゆわれておりました。トミー、前日のぶんもこめて2倍返しのソロでした。
それを盛り上げる佐野さんも、トミーのソロを指して異常に盛り上げており
ました。前日のザンゲ、か!?
****************************
この日、オープニング・ナンバーは「ヤング・フォーエバー」。
いきなり歓声の壁がそびえ立つような熱気に包まれた初日に比べると、もっ
とラフな雰囲気。ライブハウスのノリに近いというか、観客がそれぞれ自分の
ペースでライブに参加しようとしているような。でも、テンションは前日より
も高いように思える。
KYONが佐野に、「どこにでもいる娘」と「誰も気にしちゃいない」を続けて
演る曲順にしてみないかと提案した。
それは、前日にライブが終わった後で彼と佐橋が話していたことだった。
なるほど、いいかもしれない……と佐野。
ツアーが始まったときには「どれも動かせない、完璧な曲順」だと思ってい
たのに。だんだんと曲が姿を変えて成長をしていくなかで、新しい席順が生ま
れてくる。
「これからだんだん、ストーリーが生まれてくるはずだから」
ツアー初日を終えた時の、佐野の言葉を思い出した。
「どこにでもいる娘」は、このツアーでもっともスピリチュアルな輪郭を描く
曲だ。
ウッドストックでレコーディングされた時、この曲はソウルを与えられた。
そしてそれがツアーの中で少しずつ熟成していき、やがて新しい意味を持ち、
信じられないくらい高い場所まで上りつめていった。
コンサートにおける位置的には、前回“フルーツ・ツアー”での「サンチャ
イルドは僕の友達」に近いのかもしれない。どこかスペーシーでサイケデリッ
クで、けれど他のどんな曲よりも聞き手の内面に近い親密さを感じさせる。深
い内省と大いなる宇宙とが交錯していく、スピリチュアルな高揚感。
けれど「どこにでもいる娘」は、もっともっと特別な曲だ。『The Barn』も
今回のツアーも、すべては佐野とThe Hobo King Bandの面々が共に作りあげて
きた作品だけれども。この曲だけは、佐野だけのための歌であって欲しいと思
う。佐野だけの曲を、他のメンバーたちがそっと包み込むような……そんな歌
であって欲しいと思う。
曲順が変わることで聞き手の気分も変われば、演奏者の気分も変わる。静謐
な2曲にはさまれる形で演奏されてきた「マナサス」が、別の場所に置かれる
ことで見せた新しい表情。「どこにでもいる娘」と「誰も気にしちゃいない」
の次に演奏されることによって、「マナサス」は新鮮な勢いを得た。
「この曲の、ロックンロールな面が前よりもグッと出た気がする」
と、KYON。
続く大阪公演では、ジョン・サイモンがやって来る。
彼に、いつか自分たちのステージを見せたい。佐野もバンドも、ずっとそう
思っていた。ウッドストックで完成した『The Barn』アルバムが、さらに“成
長”を続けていることを彼はどんなふうに感じるだろう。
****************************
「もし知っていたら、一緒に叫ぼう。歌うんじゃない、叫ぶんだ。なぜなら外
は不景気だから。不景気な時は、好きな歌を大きな声で歌うに限るんだ。そう
だろ?」
アンコールで「ガラスのジェネレーション」を歌い始める前、佐野は言った。
この“叫ぼう”というのは、ツアーが始まってから初めて聞くフレーズだ。
「今日はこのフレーズが気に入ってるんだ。歌うんじゃなくて、叫ぶんだ!!」
なんか、すごくホントに気に入ってるみたい。
「一緒に歌おう」と言いかけたあとに「あ、“歌おう”じゃなくて“叫ぼう”
だ!!」とわざわざ訂正したりして。
彼が“叫ぼう”というフレーズを思いついたのは、どの瞬間だったのだろう。
でも、とにかく今夜のライブが彼に“叫ぼう”という言葉をひらめかせたこと
は間違いない。
歓声どころではなく“雄叫び”に近い声に包まれた客席にとって、それはも
う願ったりかなったりの提案。みんな、一緒に叫ぶ叫ぶ叫ぶ。
「インフルエンザで休んでしまったんだ。だから、今夜は2倍返しだ!!」
義理堅い!!
「もう、時間が何時だか、僕は知らない!!」
舞台の袖では、たぶんスタッフが腕時計をにらみながら泣きそうな顔をして
いることだろう。けれど、もはや佐野の辞書に“時間”という文字はないみた
いだ。
「悲しきレディオ」メドレー。
エンディングで、ギターを抱えた佐野は力いっぱいジャンプした。
それは、このツアー最高値を記録した……。わたしの記憶によれば。
****************************
最後の最後にきて、またもやバンドは新しい局面を迎えている。
たとえば小田原豊。23日には、彼は調子全開とはいかずにモンモンとしてい
た。けれど。そのぶん、24日は佐野に負けずに“2倍返し”の嵐だった。
HKBが向かっていく“グルーヴ”に対して、最後まで確信を持つことができ
なかったのが小田原豊だった。しかし他の5人の背中を見ながら、それぞれが
様々な形でバランスをとりながら試行錯誤するのを誰よりもハッキリと目撃し
てきたのも小田原だった。
その彼が、ツアー終盤になってからは、ぐんぐんと物凄いパワーで他の面々
を引っ張っていく。いわば“管制塔”の役として、メンバーたちを常に真剣な
表情で観察していた時期もあった。けれど、最近のアニキは表情がぐっとやわ
らかい。ずっとニコニコしている。ニコニコしながら、とびきり刺激的なビー
トを繰り出してくる。
終演後に、アニキに向かって黙ってVサインを送った。
そしたら、アニキは超満足気にニンマリして言った。
「キミも、やっとわかったねッ!! このバンドの“次の段階”で、オレがやる
べきことが何かってことが。オレもわかっちゃったよー(笑)」
佐橋、トミー、アキラ、KYON、小田原、そして佐野。ひとりひとりが、この
ツアーの中で自分がHKBでやるべき“新しい仕事”を見つけてきている。
ツアー終盤で、まだまだ“新しい発見”があることは驚くべきことかもしれ
ない。けれど、考えてみれば“次の段階”に向けての助走はすでに始まってい
る。フルーツ・ツアーの時も、そうだった。彼らは、ツアーの中で“次のこと”
を探しているんだから。
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■楽屋拝見フラッシュ!!------------------------------------------------
ツアー中盤にはなかなか会えなかったオフィシャル・カメラマンの岩岡吾郎
さんが、名古屋から一緒です。ご存じの方も多いと思いますが、岩岡さんはデ
ビューの頃からずーっと佐野さんのジャケットやライブ写真を撮り続けてきた
巨匠です。
昔話をしているうちに、佐野さんと岩岡さんは『ビジターズ』の頃のニュー
ヨーク撮影話を始めました。
佐「真冬のコニー・アイランドで撮った写真、気に入ってるんだ」
岩「あの時ね、あまりの寒さに指が凍っちゃって。シャッターも押せなかった
んだよ」
佐「なのに僕は走り回ってて、それを岩岡さんが追っかけてきて……」
岩「佐野さんについてくのは、ホントに大変(笑)」
当時の写真で、まだまだ未発表のアウトテイクがたくさんあるらしいのです
が……。いつか見せてもらいたいですね。
ちなみに岩岡巨匠はタンゴおやじとして知られております。なんたって、今
や“タンゴ協会”の理事っすよ。で、昨年とうとう吉祥寺で“ヘリオトロープ”
というタンゴ・カフェバーをオープンしました(武蔵野市吉祥寺南町2-29-8
電話0422-47-2108)。正午から夜中0時までやってます。HKBのメンバーも、
ツアーが終わったら遊びに行きたいなとゆってます。お近くにお住まいのかた
は、ぜひ!!
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23日、楽屋には小さなHKBが出没!!
センパイに似ている少年が!! と思ったら、今年から中学生になるセンパイ
のご長男でした。佐野さんのライブには小さい頃から何度も来ているだけに、
楽屋でも落ち着いて静かにお弁当を食べたりして、堂々たる貫禄です。
“センパイより大人っぽいね”とか話していたら、「センパイって誰ですか?」
と訊かれてしまいました。
「それはね、お父さんのことなんだよ〜」
と、アニキ。
その後、ご長男はすっかりHKBの中に溶け込んでしまい、しまいには「小
センパイ」と呼ばれておりました。
それなのにね、佐野さんたらね、この日もメンバー紹介で「天気のいい日曜
の午後、公園に行ってみてほしい。きっと彼がいるはずさ。パンをくわえてね」
とセンパイを紹介するんですよぉぉぉ。
佐野さんも、紹介しながら西本Jr.の顔が浮かび「んー、そんなことゆって
いいんだろうか。アキラにも父親の威厳が……ッ(笑)」と悩んだそうなんで
すが。結局ゆっちゃいました。
その後、終演後の親子の会話。
息子「おとうさん、公園でパン食べてるの?」
父親「や、あれはね、あれはね、むー……きさーん(←誰に向かってゆってる
のか?)」
****************************
この2日間、渋谷公会堂ではある極秘プロジェクトが進められておりました。
それは“田町探索隊デビュー・シングル、ジャケット写真撮影会”。
ちなみに田町探索隊とは、KYON・コロ・トミーの3人ですよ。念のため。
どこからデビューするかって、そりゃNohji's Rock'n Roll Shop内“Nanoo
レーベル”に決まってますがな。デビュー曲「田町で1H」は、実はレコーデ
ィングもしていない。先日のJIROKICHIセッションで1回だけ演奏した曲なん
ですけど、とりあえずジャケットだけ撮っちゃおうかなぁということになりま
した。
まず初日23日は、ミーティングっす。
ジャケットのコンセプトは“ムード歌謡とドゥーワップの中間”。
そして撮影は、日本ロック写真界を代表する大巨匠・岩岡吾郎!!
弁当を食いながら、ドサクサにまぎれて依頼してしまいました。
岩「で、ギャラは?」
ノ「たこやきで」
岩「ビールもつけてね」
ノ「オッケーです」
岩「わかった」
こんなことで交渉成立してよいのか!?
で、翌日。3人でビシッとジャケット着用(うち2人はステージ衣装を流用)
して撮影しました。本番10分前の廊下で。いい感じのが撮れました。お楽しみ
に。
****************************
もう何週間も前から、コロちゃんは24日のことを考えてソワソワしていまし
た。
なぜならば、なんとコロちゃんのご両親がライブを観にいらっしゃるのです
!! 今まで、ほとんどコンサートにいらしたことはないそうなのです。そんな
わけで、コロちゃんにとって大事件なのです。ソワソワソワ。
コロちゃん、父兄参観日です。
HKBは「なぁんか、やりたいねぇ」とニヤニヤ。
たとえば、開演前に30分ギターソロ弾きまくりの“コロチャン・マルムステ
ィーン・コーナー”を作るとか。メンバー紹介の時に、みんなで「コロちゃん
の秘密」をいっこずつ言うとか。ひどい(涙)。あとは、楽屋の隣にある和室
に「佐橋佳幸先生御楽屋」と毛筆で書いた紙を貼って、ライブが終わった後に
メンバー全員が「センセイ、今日はありがとうございました!!」とあいさつに
行くとゆーネタ。もちろんコロちゃんは、ギターを持って座布団10枚敷きの上
に座ってるの。うふふ。
などなど。
でも、ちゃんとみんなコロちゃんのご両親に礼儀正しくごあいさつしており
ましたよ。やっぱり常識ある大人ですね。ホッ。コロちゃんも、父兄参観が終
わってホッ。
****************************
渋谷公会堂のバックステージ廊下には、カーテンのすき間から客席がまるみ
えになるスポットがあるのです。なので、もちろん客席からもまるみえになる
のです。
で、開演10分前。
「あ、MIPSの米田さんだ!!」
などと、カーテンの隙間から顔を出して盛り上がっている男がひとり……。
そのひとの名は……もう、おわかりですね。
今夜の主役・佐野元春さんでございましたよ。とほほ。
学芸会で、舞台の袖から「あ、おかーさん来てる!!」と喜んでいる子供状態
です。
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■在庫一掃企画“みんなで歌おう”--------------------------------------
旅も終わったということで、ツアー中の資料などをあれこれ整理しておりま
したところ。すっかり忘れていた紙きれが1枚、出てまいりました。
あれは確か福岡サンパレスの楽屋。何かにとり憑かれたように、必死で仕上
げた入魂の1曲。たぶんメンバーも忘れちゃっていると思います。しかし、こ
のまま闇に葬ってしまうのは惜しい。惜しいので、なんとなく発表します。
みんなもメロディはよく知っていると思います。ま、いわゆる替え歌なので。
佐野元春も歌った(←つまり公認)、幻の未発表バージョン。
知っていたら、一緒に歌おう。いや“歌おう”じゃなくて、叫ぼう!!
〜HKB・佐野元春シリーズ第一弾〜
『3杯じゃ足りない』
作曲・佐野元春
作詞・HKB with ノージ
リード・ボーカル センパイ
のれんをくぐるたびに 不思議な気がする
この体中の血が とんこつに変わりそうだ
アキラとKYONの行く店は いつも正しい
だけど たった3杯じゃ足りない
せめて替え玉まで もっともっと
食べたい 食べたーい
1杯めは拙者と自分だけのために
2杯めも拙者と自分だけのために
ずっとすすり続けられるといいな
だけど たった3杯じゃ足りない
せめて替え玉まで もっともっと
食べたい 食べたーい
どんな時でも チャーシューさえあるだけで
拙者は大丈夫さ
大盛りを頼むたび 不思議な気がする
馬並みのドンブリじゃ 満たしきれない
アキラとKYONの行く店は いつも正しい
急ぎすぎちゃいけない
腰をすえて 夜明けまで
いつだって 大丈夫
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■メールください------------------------------------------------------
いつもメール、ありがとうございます。そして、なかなか個別にはお返事が
出せなくてすみません。いろんな人が、いろんなふうに“佐野元春”や“The
Hobo King Band”の音楽を受けとめているんだなぁと楽しく読ませていただい
ております。
ジャスト・セイ・ハローだけでもうれしいので、みなさんの声を聞かせてく
ださいませね。
ところで、『ものまね王座』でクワマンがやった“佐野元春”ってどーだっ
たの? ものまねされることは名誉なこととゆわれますが、どうなんでしょ。
“The Barn”ツアーでは、舞台監督の岩浅があたしのマネをしやがるので他の
スタッフもみんなマネしやがるようになってプンプンです。でも、確かによく
似ているのでたいそう悔しいです。ちなみに岩浅というのは、オープニングで
ステージ上でレコードをかけに出てくるひとです。
次回はいよいよ、涙と感動の大阪フェス3デイズの巻。
お楽しみに!!
バックナンバーが読めるページも、もうじき公開の予定。しばしお待ちを。
By 能地祐子
from Nohji's Rock'n Roll Shop
(http://www.DaDooRonRon.com)
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ MIPS PRESENTS ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ノージのSmall Town Talk ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 佐野元春 and The Hobo King Band ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜 ◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Vol.10 <1998.4.10>
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★ Information from MIPS ★
○ MWS チャットイベント「Chat with MOTO!」開催 - 4/29(祝) PM8:00 START
MWSでは久々に元春を交えたオンラインチャットイベントを開催します。
テーマは「THE BARN TOUR '98を終えて」....チャットに参加するには
事前登録が必要です。詳しくは以下のURLで!
http://www.moto.co.jp/Murmur/
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★ノージからのごあいさつ★
前回のメールで“大阪でファイナル!!”と書いたら、これから延期ぶんの東
京・神奈川公演に行く方々から「まだ終わってないのに〜」と文句ゆわれてし
まいました。しかしね、いちお気持ちのうえでは予定どおりで大阪がファイナ
ルだったのよ。
じゃ、これからの渋谷公会堂と神奈川県民のライブは何なのか?
それは、新たなアンコール・ツアーなのよ。
初日が東京で、ファイナルが神奈川。
ちょっと短いツアーですけどね、たぶん佐野さんもバンドもそーゆー気持ち
だと思います。大阪が終わった翌日、東京駅での別れ際にみんな「あと2本、
思いっきり楽しもうね」と言いあってましたもん。新鮮な気持ちでの2本。ど
んなドラマが見られるのか!?
というわけで、今回は“ツアー・ファイナル”の涙あり涙ありの大阪編。
もう、何から書いていいのかわからないので、今回は裏も表も一緒くたの日
記ふうでまとめてみました。
長いよ。覚悟して読んでねっ。自分で書いてて、まいたなぁ……と思うくら
い長かったんですから。でも、いろいろあるんだからしかたない。
(4月10日)
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■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■Young Forever(3月27日・大阪フェスティバルホール)
■SO GOES THE SONG3月28日・大阪フェスティバルホール)
■Rock'n Roll Heart(3月29日・大阪フェスティバルホール)
■メールください
-----------------------------------------------------------------------
■YOUNG FOREVER(3月27日・大阪フェスティバルホール)------------------
朝10時すぎの東京駅発大阪行きのひかり号に乗る。メンバーとスタッフは、
すでに昨日大阪入りしている。そんなわけで、わたしは今朝は何時に着いても
よかったのだ。しかし、岩岡吾郎巨匠が一緒に行こうというので、早起きして10
時台に乗ったのだ。なのに、車内に巨匠の姿はない。さては寝坊しやがったな〜、
早起きしたあたしの立場はどーなる!? とカッカしながら駅弁を食らっている
と、同じ車両に一昨年デビューしたポップ・バンド“アップル&ペアーズ”の
岡田純(別名・レコもはソングライター)を発見!!
1年ぶりくらいの再会。次のレコーディングを佐橋さんにプロデュースして
もらえたらと思っているとか、佐野さんの初期シングルのような“3ミニッツ
・ポップス”をきわめたいとか……彼が次々とそんな話をするものだから、こ
うして大阪ライブに向かう新幹線で再会したことが偶然とは思えなくなってく
る。実は彼、佐野さんの大ファンなんである。そういえば、初めて会ったのも
フルーツの府中公演だったもんなぁ……。
岡田くんは名古屋駅で降りた。別れ際、彼は言った。
「オレたちも、いつかノージさんを大阪フェスに招待するからね。待っててね!!」
くーッ。若者よ、泣かせること言ってくれるじゃないのよ。
****************************
会場に着くと、まだメンバーは来ていなかった。楽屋には、ツアー・スタッ
フ中もっとも爽やかな好青年(←ノージ認定)の北澤だけ。うっしっし(←何
がだ?)。
昨日は、有志スタッフとメンバーが佐野さんにたこ焼きをおごってもらった
という。アニキ担当ローディーの吉本(通称・ナニワ)が大阪出身なので、とー
ってもおいしいところに案内してくれたそうだ。むーん、ちょっとくやしい。
誰もいない楽屋でふんぞり返って弁当など食っているうちに、メンバー到着。
コロちゃんは、発売されたばかりのカントリー・ロック満載ガイド『アメリ
カン・ルーツ・ロック』(萩原健太監修・ミュージックマガジン社刊)を持っ
ている。この本はメンバーの過半数が所有する“HKBの教科書”と呼ばれてお
り、要するに“HKB楽屋ロック喫茶”の“支店”みたいな本なんである。懐か
しいレコードがたくさん載っているが、この楽屋では全然懐かしくない“日常
的”なアイテムが多い。
次のセッションでは何をカバーしようかなぁ……なんて話をして、本を見な
がらグラム・パーソンズやジェームズ・テイラーを聞いたりしているうちに佐
野さん到着。
そして楽屋に入るなり、過去の曲順表を前に“本日の曲順”考えこみタイム
へと突入。
****************************
この日、関西国際空港には2人のゲストが到着した。
ジョン・サイモンとガース・ハドソン。
ツアー・ファイナルを飾る、超サプライズド・ゲスト!!
翌日にリハーサルをして、3日めの最終日のステージで共演することになっ
ている。こんなビッグなひみつゲスト、みんなびっくりするだろうなぁ。
****************************
今日の佐野は、はた目から見ていてもビリビリしているのがわかる。
緊張というよりも、頭の先からつま先まで気合いがビリビリと詰まっている
ような感じ。名古屋に続いての、彼にとっては異例の同会場3日連続公演。そ
して、延期公演を除けばツアー・ファイナル。そして、ジョン・サイモンとガー
ス・ハドソンの来日。さらには、最終日にはインターネットを通してのライブ
中継とビデオ収録もおこなわれる。
彼ほどのベテランであっても、この3日間はかつて経験したことのないビッ
グ・トライアルのはずだ。ビリビリしないほうがおかしい。
「これは、カンフル剤!!」
佐野は曲順をメモ用紙に書き終えると、それをHKBに向かってふりかざし
て見せた。
うわぁ。
飛びのくメンバー。
ここで再び、かつてない大波乱。前半と後半の流れが、それぞれグリグリに
シェイクされてしまっている。
「いい曲順は、裏からみても表からみても完璧なはず」
と、佐野がよくわからないことを言う。
コロちゃんが「つまりI Love Youを裏から見るとYou Love Meってことです
ね」と、これまたよくわからないことを答える。
でも、佐野は「そうなんだ」とニッコリ。
KYONがピアニカ、コロちゃんがギターを持ってきた。
5月にリリースされるジョン・サイモンのニューアルバムのために、彼の曲
に佐野が詞を書いた「SO GOES THE SONG」。最終日には、ジョン・サイモンを
迎えてステージ上で初披露されることになっている。明日に向けて、今日は3
人で“予習”というわけ。
****************************
「こんばんは、大阪」
という、佐野の言葉から始まった大阪1日め。
ウォーミング・アップの「僕は大人になった」からスタートだ。メンバー間
で火花が飛びかう、いきなり本気のソロ勝負に客席が沸く。
しかし、本気の勝負になるのはワケがある。この曲は、いつもライブ終盤や
アンコールで演奏されてきた。それで長年の習慣というかクセというか、この
曲になると彼らは思いっきり全力疾走してしまうのだそうだ。それが1曲めだ
ということがわかっていても、ついつい身体のほうが先に反応して全力を出し
きってしまう……らしい。
とはいえ、彼らの性格からすると、どんどん失速していくライブなんて許せ
るはずがない。ということで、この曲からスタートするライブは“地獄の勝負”
になるらしい。
わかっていながらも、こうして今夜も「僕は大人になった」から始めてしま
うのだから。ね。
前半の“The Barnコーナー”をしめくくったのは「ヤング・フォーエバー」。
このツアー、ほとんどのステージでオープニング・ナンバーとして演奏され
てきた曲だ。この曲のイントロは、いわばスタート地点における“ヨーイドン”
の合図だった。しかし、この日は“ヨーイドン”の曲が、ゴールの紙テープへ
と替わった。
泥と埃の匂いがする70年代ロックテイストの「7日じゃ足りない」。同じフ
レーズを口ずさむことで、HKBが体験したウッドストックの“魔法”を観客も
わかちあう「ロックンロール・ハート」。優しい気持ちに包みこまれる「どこ
にでもいる娘」。『The Barn』の見せてくれるさまざまな光景がロード・ムー
ビーのように次々とあらわれ、ドラマは最後の場面「ヤング・フォーエバー」
で最高潮に迎える。
いい曲順は、裏から見ても表から見ても……。
さっき佐野が言ったのは、こういう意味だったのかもしれない!!
****************************
「そうだ、ここは大阪なんだ!!」
突然、あらためて思い出したのは終盤近く。
「そこにいてくれてありがとう」で観客が♪ラーララーのコーラスに加わっ
た瞬間のことだった。
♪ラーララーのコーラスに合わせて、客席が左右に揺れていた。誰もがメロ
ディに合わせて、片手を上にかざして左右に振っていた。
前にこの光景を見たのは、96年12月の“フルーツ・パンチ”公演だった。
この曲の、同じくコーラス・パートになった瞬間。サンディ&メロディ・セ
クストン姉妹が見せる振りつけを、大阪の観客は誰からともなくあちこちで真
似し始めた。そんな現象が起こったのは、ツアー中で大阪公演だけだった。
そして今回もまた、ここ大阪フェスだけでの出来事だった。
なんか、不思議。でも、いいなぁ。これが、大阪のお客さんなんだ。言葉に
は出さずとも、それは大阪のファンと佐野とがずっと約束していた“あいさつ”
だったのかもしれない。
----------------------------------------------------------------------
■SO GOES THE SONG(3月28日・大阪フェスティバルホール)---------------
昨日も終演後にチラッと顔を見せたジョン・サイモンと、昨日は時差ボケで
バタンキューだったというガース・ハドソンがやってくる。ウッドストック・
レコーディングから半年以上経っているのに、全然久しぶりという感じがしな
いのは不思議。会ったとたんに時間がキューッと元に戻っていくよう。
しばし楽屋でなごみつつ、トミーに2人めの子供が生まれたことを報告した
り、レコーディングが終わったばかりのジョンの新作を聞きながら盛り上がっ
たり……。
そして、いよいよ翌日に向けてのリハーサル開始。
ステージには佐野、HKB、ジョン。
ステージ中央の椅子に佐野が座り、ジョンが上手側にセットされたウーリッ
ツァーに向かう。この曲をみんなで演奏するのは初めて。けれど“せーの!!”
の合図で始まるわけでもなく。誰かが何となく音を出し始め、他のメンバーが
少しずつ音を確かめながら加わっていく……というセッションふうの演奏を続
けながら、少しずつサウンドが決まっていく。
ピアノを弾きながらジョン・サイモンが「ユタ、そういう感じよりも……」
とだけ言ったところで、小田原が「ちょっと強すぎた?」とジョンのほうを伺
いながらビートを変える。
それを見て、ジョンはにっこりうなずいて演奏を続ける。
あるいはジョンが、トミーのほうを向いて「トミー、えーっと」と何か言い
かける。彼の意図を察したトミーが「こんな感じ?」と、ワンフレーズを弾い
てみせる。ジョンは「そう!!」とうなずきながらピアノで応える。
ジョンが、佐野のほうをすっと指さす。佐野が彼のほうを見ながら、ふたり
のハーモニー・パートを歌い始める。ゆるやかなメロディがきれいに調和して
いくのを確かめ、佐野もジョンも歌いながらうれしそうに顔を見合わせて笑顔
になる。
リラックス、リラックス。
ウッドストックで、ジョンが何度も繰り返していた言葉を思い出す。そして、
ジョンと顔を見合わせた時の佐野は、ツアー中でいちばんリラックスした表情
を見せた。わたしは、そんな気がした。
ジョン・サイモンは、ゲストというよりもプロデューサーとして“The
Barn”ツアーの終わりを見届けにきたのかもしれない。
ゆったりと穏やかに、リラックスした時間が流れていく。けれど、ジョンが
ふっと何かを言うたびに、時間のリズムやスピードや輪郭が少しずつ変化する。
そして、確実にひとつの音楽が作り上げられていく。この光景、なんだか懐か
しいような……。
あらっ、これってデ・ジャヴみたいな感覚!?
そう。その光景は、まさに昨年8月のベアズヴィル・スタジオ“The Barn”
のようだった。どれだけ言葉で説明しても語り尽くせない、あのレコーディン
グ中に流れていた空気や匂い。それが、このステージにジョン・サイモンが加
わることで鮮やかに再現された。
「そうそう、オレもステージでウッドストックの感覚がよみがえったよ」
と、後でトミーも言っていた。
続いて、ガース・ハドソンが加わっての「7日じゃ足りない」。
ローディーから渡されたKYONのアコーディオンを抱えるガース。アコーディ
オンが小さく見える。なにげなく試し弾きをしている姿さえバシッとカッコい
い!
ガースがザ・バンドで聞かせたサウンドへのオマージュをこめて、HKBが作
り上げたフレーズ。それを、ガース自身が弾く。KYONが、いつもは自分が弾い
ているメロディを奏でるガースの方をうれしそうに見ている。
佐野とHKBと、ジョンとガース。8人が同じステージに立っていることが、
ものすごく自然に感じられる。まるで、この全員で“The Hobo King Band”の
よう。
「ウッドストックのフィルムの中でKYONさんが言ってた“みんな大先輩だけど、
大きな意味で考えれば同じ音楽の歴史の中の仲間だ”って、こういうことだっ
たんだね」
リハーサルを見ながら、なべマネが言った。彼はウッドストック・レコーディ
ングに参加できなかったから、今日はじめてこういう光景を生で見たわけだ。
そうなの、そうなの。これをみんなに見せたかった。
百聞は一見にしかず。ビデオでもわからなかった、この感じ。明日の本番で
は会場のお客さんたちもみんな、なべマネと同じことを感じるだろう。
****************************
リハーサル後、ガースは「部屋で何か食べてくる」と言って帰ってしまった。
実際は時差ボケで眠かったらしいのだが、なんとなく動作ひとつひとつが“セ
ンパイテイスト”。なんと、ドーナツが大好物というところまでそっくり。ジョ
ンも「アキラとガースは似ている」と太鼓判。ということで、これからガース
をひそかに「大センパイ」と呼ぶことにする。
ジョンには、この日のステージを観てもらうことになる。ジョンの日本での
マネージメントに関わる長門芳郎さんが「特等席、ロイヤル・シートだって」
と言いながらチケットを渡すと、ジョンは「ちょっと部屋に戻って、タキシー
ドに着替えてこなくちゃ」とふざけて周りを笑わせる。
開演前。メンバーが着替えをしている間、楽屋の廊下でジョンさんと立ち話。
ジ「彼らは、とてもいいツアーを続けてきたんじゃないかって気がするよ」
ノ「そです。彼らはジョンさんがライブを観る日がやて来ることをずーと楽し
みにしてきたのだったであろうですか」
ジ「私もとても楽しみにしていたよ」
ノ「ステージは、毎回だんだんよくなっています。今いちばんよいでしょう」
ジ「いいことだね。きっと彼らは日々練習! 練習! 練習! なんだろう?」
ノ「そのとおりですのね。でも、ジョンさんは『The Barn』の曲聞いてびくり
するかもしれません」
ジ「アレンジが大きく変わっていたり?」
ノ「なーぜわかるですか!?」
プロデューサーは何でもお見通しだ。
そして、いよいよ開演。
KYONが「これは僕のお守り」と、衣装と一緒につるしてあるカードをジョン
に見せる。かつてドクター・ジョンに貰ったサイン。んー、クールなKYONも、
ガースとのセッションに気合い入りまくりの様子。
ステージに向かう面々を、ジョンと共にお見送りする。
「ジョンさんが見ていると思うと、なぁんか父兄参観みたいな気分だなぁ。あー、
緊張する」
と、佐野さん。
で、それを英語で説明しようとするも「父兄参観って英語で何て言うんだっ
け?わかんない? えーっと、じゃあ“ピアノの発表会”みたいだ」
そして、ジョンさんに「ピアノ・リサイタルーッ!!」と元気に言い残すと、
足早に姿を消した佐野元春さんであった。
「ピアノ・リサイタル??????」 ジョン・サイモンの頭上には、無数の
“?”が……。
間違いではないが、アメリカ人にはわからないニュアンスだと思うなぁ……。
****************************
昨日に続いて、今日の佐野も、会場入りした時からビリビリと緊張感を漂わ
せていた。全身から静電気が起こりそうなくらい、ビリビリしていた。けれど、
その緊張感はネガティブなものではなかった。表面張力ギリギリまで盛り上が
った、ものすごくいい感じの“爆発寸前”状態。
今日の1曲めも「僕は大人になった」。
佐野のテンションの高みへと、最初からバンドも勢いよく引っ張りあげられ
ている。KYONのマンドリがド派手に炸裂する。続く「君を探している」では、
佐橋がステージの反対側まで疾走してパワフルなソロを弾きまくる。
The Hobo King Bandがどんなに凄いバンドかということは、しつこいくらい
書き続けてきたけれど。やっぱり、その本当の凄みは彼らだけでは成立しない。
メンバー5人が、佐野元春を中心に回りだす。
その関係が成立してこそ、バンドも佐野も“完璧”になる。
「今夜は素晴らしいゲストを紹介したいんだ」
中盤の“The Barn”をしめくくるMCで佐野が言った。開演後に着席したジ
ョンに、まだ観客は気づいていない。“?”のざわめきが広がる。
「『The Barn』のプロデューサー!」
佐野がそこまで言った時、客席が歓声に包まれた。ジョン・サイモンの名前
が紹介され、客席中央に座ったジョンにスポットライトがあたった。
立ち上がって、にこやかに手をあげるジョン・サイモン。
昨日買ったという阪神タイガースの野球帽がチャーミング。大阪のファンに
対してのサービス精神、こういった細かい気配りをさりげなーくユーモラスに
やってのけるところにもジョンのプロデューサーとしての一面がうかがえる。
そして、そのジョンとのレコーディングの思い出がつまった「ロックンロー
ル・ハート」が演奏される。
♪Rockin' to my Rock'n Roll Heart〜
客席のコーラスも、この日はひときわ元気がよかったのでは?
なんだか、ものすごーくうれしくなった。
「このツアーをジョン・サイモンに見てもらいたいな」と佐野が言っていたの
は、自分たちの演奏を見てもらいたい……ということだけではなかった。おそ
らく、ウッドストックの小さなスタジオで一緒に作った曲たちをリスナーと共
有する瞬間を見てもらいたい……という気持ちもあったのだろう。
「Thank You,John」
歌い終わった後、佐野は言った。
そこには、いろんな意味の“Thank you”がこめられていた。
****************************
後半は「約束の橋」からスタートする、元春クラシックス。んー、でも、も
しかしたらツアーの始まりに使っていた“クラシックス”という言葉は、ツアー
の間に意味ナシになってきてしまったかも。
「約束の橋」も「ダウンタウン・ボーイ」も「悲しきレディオ」も、もはや
“クラシックス”じゃない。『The Barn』に連なる、佐野元春の書いた楽曲の
ひとつに過ぎない。ある部分では『The Barn』は過去を超え、またある部分で
は過去の楽曲が今なお他のどんな新曲をも超えられない強さを守り続けている。
このツアーが始まった頃、ニール・ヤングがパール・ジャムをバックに従え
たコンサートを観た時のことを思い出した。新しい面々と共に演奏される“ク
ラシックス”の数々と、当時の最新アルバム『ミラーボール』の楽曲があまり
にも自然に連なっていることに感動したことを思い出したのだった。
パール・ジャムにとって、過去の楽曲が“クラシックス”ではないように。HKB
にとっても、過去の楽曲は“思い出”じゃない。
そこが大事なんだなぁ。ツアーも終わりにさしかかって、あらためて実感。
****************************
「この街で初めて演奏したのは16年前。まだみんな生まれてない頃だ。……そ
んなことないだろうけど(←客席“ドッ(^O^)”)。僕が何を言おうとしてい
るかというと……“また佐野はステージの上で頭がおかしくなってるんじゃな
いか”と思ってるんだろ(←客席、再び“ドッ(^O^)”)。そーゆーことじゃ
ない。僕は成長についての話をしているんだ。これは、成長の歌だ」
あああー。佐野さん、またスベってますぅー(^O^)。
今日はいつもより多めにスベってますぅー。
でも、これはテンション上がりまくりの証拠。今日の佐野元春、いい感じで
コワれてます。開演前のナーバスさが、ステージ上でネガティブな影響として
残ることもある。けれど、この日も開演前はかなりナーバスな表情を見せてい
たものの、それがポジティブな緊張感へと転化したように思えた。
なんと、そんなおもろいMCの後で歌い始めたのが「サムデイ」!
しかし、その「サムデイ」の美しかったこと。思い出の歌でもなく、もしか
したら彼の言うように“成長の歌”でもなく。その場所に、ただポツンと存在
している美しい曲。
なぁぜか、涙が出た。
悲しいからなのか嬉しいからなのか、わからないけど。なぁんか、涙が出た。
「サムデイ」という曲が今は“儀式の歌”ではなく、ただひとつの歌として解
放されたこと。それがうれしかったのかな。自分でもよくわからない。
以前、みんなが最後の曲を演奏しようとスタンバイしているなか、佐野がひ
とりで走ってステージを去ってしまったことがあった。理由は「もう体力の限
界だったから」。
しかし、今日は逆だった。本編が終わった後、みんなが楽器を置いて歩き出
そうとしているのに……佐野はひとりギターを手放そうとしなかった。
彼がもう1曲歌いたがっていることに気づいたメンバーが、もういちど戻っ
てくる。
「もう1曲行こう!」と、佐野の合図で「ポップ・チルドレン」が始まった。
まさにボーナス・トラックだったなぁ。
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■ROCK'N ROLL HEART(3月29日・大阪フェスティバルホール)-------------
いよいよ、大阪ファイナル。
ビデオ収録やインターネット中継のスタッフも入り、ジョンとガースも別楽
屋にスタンバイ。バックステージも、グッと人数がふえて慌ただしい雰囲気が
漂っている。
ノージ、メンバーよりうーんと遅れて会場入り。なぜかというと、KYON妻マ
ユミちゃんと2人で“早めの打ち上げ”と称して朝6時まで盛り上がっていた
から(涙)。
リハーサルを終えた佐野が、汗びっしょりになって戻ってきた。
Tシャツ半脱ぎ状態になりながら楽屋に入ってきつつ、何を言い出すかと思
えば……。
「あたしゃねぇ、やりますよ。今日は」
いきなり“あたしゃ”ですよ。みなさん。びえー。
大変です、江戸っ子になってます。
で。彼が江戸っ子になる時ってぇのは「無敵」の証拠なんですよ。
どーする!? おまイさん。
****************************
うわぁぁぁ。
ずーっと、そんな。目をみはりっぱなし。
もう、なんと言ってよいものやら。
The Hobo King Band、遂に本日をもって見事ゴール地点に着地。
全員がひとつのゴール地点に向かって、スタートから一気に駆け抜けた“フ
ルーツ・ツアー”。それに比べると、今回のツアーは蛇行しまくり凸凹しまく
りの旅だった。
わたしは全国のツアーをレポートする、いわばカーナビの役割を果たさなけ
ればならなかったにも関わらず。彼らが今どこにいて、どこに向かおうとして
いるのか……まったく予測がつかない時期が何度もあった。
右へ向かうかと思うと、急に左へと曲がる。上昇していくかと思えば、ズド
ンと落ちる。
正直なところ、このツアーには“ゴール”はないのかもしれない……と思っ
たこともある。
決して悲観的な意味ではないけれど。次に向かうまでの、これはひとつの
“経過”を示すためのツアーなのかもしれないと思う時があった。
映画でいうと『ゴッド・ファーザー』も『スター・ウォーズ』も『バック・
トゥ・ザ・フューチャー』も、それぞれ2作めが結果的には“経過”の役割を
果たす作品になっていたように。この2度の全国ツアーも、数々の伏線
と課題を残しつつ“経過”になる可能性はあったと思う。
ところが、この大阪3日め。複雑に曲がりくねった道を抜けきった場所を抜
けきって、突然目の前に広々とした景色があらわれた。
これまでのこと、将来のこと。何も関係なく、ただひたすらに全員がベスト
を尽くす。お互いを気づかう余裕さえ見せずに、ひたすら自らの力をさらけだ
す。しかし、それなのにバンドは無意識のうちに複雑に絡まりあい、がっちり
と結びつくことで強靱なグルーヴを生み出していく。
無我夢中になりながらも、お互いの演奏をカラダで受け止める。そんな“本
能”が、このバンドにはいつの間にか備わってきたようだ。
そのステージごとに“MVP”がいると、以前に書いた。けれど、この日は全
員がMVPだった。大袈裟に言ってしまえば、この6人が出会った本当の理由が
わかった気がした。もしかしたら、観ている側だけではなく演奏している6人
も“本当の理由”をカラダで確かめながらステージに立っていたのかもしれな
い。
このツアー中、いつも新しいことが起こり続けてきた。でも、この日は“新
しいこと”は何もなかった。いつもどおりのことばかり。
とはいえ。彼らは“いつもどおりのこと”を、力いっぱいやり尽くすことに
よって“ものすごいこと”に変えてみせた。日常を、新しい光景として見せて
くれた。今まで見えなかった部分に光が当たって、はっきりとディテールまで
が見えて驚かされた。
****************************
「大阪の人たちに、ぜひ紹介したい人がいる」
中盤、佐野の紹介でジョン・サイモンがステージに登場した。歓迎と敬愛の
気持ちのこめられた、長い長い拍手が続くなか、昨日と同じ野球帽をかぶった
ジョンはカメラをとりだした。
客席に向かって、「OK、にぃーッ」と言ってシャッターを押す。
あたたかい笑いがわきおこり、客席がフワーッとリラックスしていくのがわ
かる。
ジョンは緊張した空間を居心地よく変える天才だ。それはつまり、プロデュー
サーとしての彼の天性の資質でもある。初めて訪れた大阪フェスティバル・ホー
ルでも、たちまち多くの観客をなごませてしまうユーモア。ちょっとした仕草で、
彼は魔法をかける。
「ぼくを日本に呼んでくれて、おおきに」
ウッドストックでもジョンは、日本語を覚えては書いこんだメモを持ち歩い
ていたことを思い出した。最後には、センパイに向かって「キサーン」(←セ
ンパイの口ぐせ)とまで言っていたもの……。
「モト、あなたは心づかいの美しい人です。そしてモトさんは、大切な友達で
す。これ以上は日本語はできません」
そして、ジョンのピアノとボーカルをフィーチャーした新曲「So Goes The
Song」が始まった。5月にリリースされるジョンの新作『HOME』に収録
される、佐野が作詞を手がけたナンバー。ブルーアイド・ソウルふうのおだや
かな調べと、ほのかなオリエンタル・フレーバーが心地よい。
KYONのピアニカと佐橋のアコースティック・ギターを中心に、HKBもジョン
のほうを見ながら気持ちよさげに演奏に加わる。曲に合わせてパラパラと聞こ
えてくる客席の手拍子を、佐野は唇に人差し指をあててそっと制する。
ツアー・パンフレットにある、わたしの書いた“ウッドストック日記”を読
んでくれた人は知っていると思うけれど。
レコーディングが終わった夜、“The Barn”スタジオでジョンをまじえたジ
ャム・セッションを楽しんだ。この日の演奏を聞きながら、あの夜の空気や匂
いや気持ちを思い出していた。ジョンが加わることで、HKBはリラックスしな
がらも、いちばんポジティブな方法で思いがけない力を発揮する。
さらに。
「大阪のみんなを喜ばせたいことが、もうひとつある!」
ジョンは昨日も紹介されたが、ガースが来日していることは誰も知らない。
佐野がガースの名前を告げた瞬間、客席からはすさまじい驚きの声があがった。
いかつい体型と優しい笑顔、アコーディオンを抱えたガースが登場。
曲はもちろん「7日じゃ足りない」。
KYONが興味深げにガースのプレイを見ている、その隣にあるキーボードの前
にはジョン。ジョンもタンバリンを叩きながら楽しげに、セッションを見守っ
ている。
続いては、ガースがひとりでピアノの即興演奏を聞かせる。
ひとつの壮大な物語を聞いているように、表情豊かなプレイに息をのむ。観
客だけでなく、ステージ上の面々もすっかりお客さんの顔になってガースのほ
うを向いて聞き入っている。実際には5分半ほどの演奏だったというが、とて
もとても長い時間だったように感じられた。
このピアノ・プレイに続いて始まったのは、「ロックンロール・ハート」。
ジョンとガースが加わっての8人がステージ上に立つ光景は、まさに「ロッ
クンロール・ハート」の歌詞そのもの。たまたま縁あって集まったミュージシ
ャンたちが、まるでずーっと昔からの仲間だったかのように演奏を楽しんでい
る。
歴史に残るミュージシャンたちと、ごく自然に肩を並べている佐野とHKB
が誇らしく思えた。そして昨日なべマネが言っていたように、彼らが“同じ音
楽の世界の仲間”であることを理屈抜きに納得させてくれた。
いつまでも鳴りやまない拍手のなか、ジョンとガースはステージを去った。
「あの2人がいなくなったら、急に淋しくなっちゃったね」
隣で見ていたマユミちゃんが耳元でささやく。
確かに、そのとおり。6人だけのステージがアタリマエのはずなのに、ジョ
ンとガースがいなくなったら妙に淋しくなってしまった。
ふとマユミちゃんのほうを見ると、涙でグズグズになっていた。もちろん、
わたしもグズグズであった。次の曲「約束の橋」が威勢よく始まっても、2人
ともティッシュで涙とか鼻水をふいてズルズルであった。
終演後、佐野が「今日は、ジョンとガースが魔法をくれたね」と言った。
「僕は魔法なんて信じない」
アルバム・インタビューでは、そんなふうに言い切っていたけれど。単なる
ラッキー・チャンスの魔法は信じなくても、ずっと音楽を信じ続けてきた人間
のなかからわきおこる魔法なら信じられる。わたしはそうだし。佐野もきっと、
そうなんだと思う。
ジョンとガースがいなくなった後も、彼らの魔法は威力を残し続けた。
なんで? なんでみんな、そんなにすごいの?
もう、やだー。たすけてー。
「今日は佐橋がキレましたー」だの「今日は佐野がコワれましたー」だの、ツ
アー中ずっと好き勝手に客観的な分析をしてきたわたしを許してください。
今日は、ノージがこわれましたぁ。
****************************
アンコールでは、再びジョンとガースが登場。
なんと「僕は大人になった」セッションに、彼らがジョインした。
ふだん6人で演奏している時でも、すさまじい“おしゃべり”が炸裂する曲
なのに。ここにガースのアコーディオンやジョンのピアノが加わったら、もう
大変。
「ジョンやガースは、この曲をあまりよく知らない。だから、これは僕たちの
演奏を彼らに“見せる”。そんな気持ちでやろう」
前日のリハーサル、佐野は確かそんなことをメンバーに告げていた。
しかし、しかし。
目の前で白熱のセッションが繰り広げられているのを見たら、ミュージシャ
ンなら黙って見ているほうが辛い……というのは、HKBもよく知っているはず。
8人総がかりで繰り広げられた、壮絶なスピーク・アウト!!
ジョンとガース、HKBに入ってくんないかなぁ。
一瞬、真剣に考えてしまったわたくしでした。
****************************
もじもじ。
終演後、いろんなゲストに囲まれてなごやかな談笑が続いている楽屋。
わたしは、なんだか照れくさくて入りづらい気分になっていた。
なんかね、お祭りに行ったら、近所のお兄さんが御輿をかついでて、それが
ふだんは見たことないよーなカッコよさだったので、次の日会ったらモジモジ
しちゃった。そーゆー気持ちです。わかる? わかんない? むつかしいたと
えでしたかね?
佐野に「やりましたねっ(^^)v」と言うと、「やったな」とニッコリ。
誰と目が合っても、ニンマリするばかり。
ライブが終わった後に、なぁんにも言葉なんか出てこない状態がいちばん
“天国”だってこと。わたしが、これまで経験した3つのツアーで学んだこと。
****************************
その夜、ゲストもまじえてお好み焼き屋で打ち上げがおこなわれた。『ワン
・フォー・ザ・ロード』の山本智志センパイ、そしてウッドストックでのスー
パー・コーディネーター安武真佐子センパイ(←彼女は、ホントにコロちゃん
の高校のセンパイ)も東京から駆けつけて、“The Barnプロジェクト”の登場
人物が一同に揃ってファイナルをお祝いする……といううれしいパーティになっ
た。
疲れているけれど、佐野もうれしそうだ。
「フルーツ・ツアーのファイナルは、体力勝負の“トライアスロン”をやり抜
いた充実感があったけど。今回はもうちょっと違う感じ。もっと音楽的な意味
で、いちばん充実したステージができたっていう達成感があるよな」
上へ上へと昇っていくというよりも、“The Barn”ツアーというのはアルバ
ム・レコーディングで手にいれたものを、深く深く掘り下げていく作業のほう
がメインだったのかもしれない。
そして今夜、彼らはいちばん深い場所まで到達した。
そして、そこにスタート地点にいたジョン・サイモンやガース・ハドソンが
待っていた。コジツケかも知れないけど、素敵なストーリーじゃない?
ツアー初日に佐野が言っていた、「これから、いろんなストーリーが見えて
くるはず」と。
それがどんなストーリーなのか、まったく想像がつかなかったけれど。最後
の最後になって、初日からここまでの物語の全貌がやっと見えた。
ものすごい物語を読んでいたんだなぁ……と、最後のページでやっと気づい
たような。
「水泳でね、全員一斉にスタート地点からクロールで泳き始める……。それぞ
れのコースをまっすぐに、全力でね。そういう映像が見えた。今日、初めて見
えました」
打ち上げも終わりに近づいた頃、ほどよく酩酊ぎみのKYONが言った。
隣で佐野がうなずいていた。何も言わずに、何度もゆっくりとうなずいてい
た。
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■メールください---------------------------------------------------------
とは言え、まだまだ終わりじゃないのよ。
2本限りのスペシャル・ツアー!? 渋谷公会堂と神奈川県民ホールが待って
いる!!
そして。たいへん長らくお待たせしました。STTバックナンバーのページが、
遂に完成。もちろんオレが作ったんじゃないよ、MIPSさんが作ったんだよ。と
りあえず、STT継続中は登録会員限定ページということにしたいのでヨロシク
ね。
[STTバックナンバー・ページ]
http://www.moto.co.jp/TheBARN/nohji/BackNumbers/
これまでも、いろんな人にコピーしてSTTを自主配布してくださった方々は
多いようなのですが。たくさんの人に読んでもらえることはうれしいものの、
いちお無料メールとはいえ“著作物”だからね。本当はあんまり、我々ノージ
や佐野さんサイドとしては賛成できないことなのです。メールの最後にも、佐
野さんの事務所とノージの(c)マークがついてるでしょ。よく言われているネッ
ト上の著作権について、ちょびっと考慮してもらえるとうれしいです。なにと
ぞ。
というわけで、あとひと息。STTも、あとひと息。
By 能地祐子
from Nohji's Rock'n Roll Shop
(http://www.DaDooRonRon.com)
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■ ニュースレターのバックナンバー入手先
<<ただいま準備中!>>
■ ニュースレターの配信を中止したい方は
stt-info@moto.co.jp
まで氏名、メールアドレスをお知らせください
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Copyright(C) 1998 Yuko Nohji. All Rights Reserved.
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このメールの内容を許可なく他に転載することはできません。
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ MIPS PRESENTS ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ノージのSmall Town Talk ◆◆◆◆
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 佐野元春 and The Hobo King Band ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜 ◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Vol.11 <1998.4.28>
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★ノージからのごあいさつ★
忘れた頃にやってきた、STT最終号でございます。
4月14日、“The Barn Tour'98”は神奈川県民ホールで無事終了。翌日から、
半年ぶりくらいに“ツアー中心じゃない生活”が始まりました。ウッドストッ
ク・レコーディング、アルマジロ日和、そして今回のツアー……考えてみたら、
去年の夏からずーっとわたしの生活の中心は“The Barnプロジェクト”であり
ましたのよ。そんなわけで、ツアーが終わってからはぼ〜っとしておりました。
なかなかSTTに取りかかれなかったのは、ツアー中のツケがたまってめちゃく
ちゃ忙しかったとゆーこともあるんですけど。ぼ〜っとしていて、何を書いた
らいいのかまとまらなかったとゆーのも3割くらいあります。
そういえば、フルーツ・ツアーの時はそうだったなぁ。ツアーが終わったと
たん、ピュッとコンセントを抜かれたみたいになっておりましたもの。この感
覚、不思議ですね。淋しいけど、気持ちいい。STTにおつきあいくださったみ
なさんにも、この気持ちをちょっとでも味わってもらえたなら……あたしゃ、
うれしいです。
ではでは、怒涛の(結果としての)アンコール・ツアー“東京&神奈川編”
をお届けいたします。はりきってどーぞッ!!>自分(^.^)
とても長いので、あなたのメーラーをぶっ壊しちゃうかも。
ごめんなちゃいね。
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■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■とどめの一撃(4月11日・渋谷公会堂)
■余談・大滝さんとHKB
■そして最後に!!(4月14日・神奈川県民ホール)
■打ち上げがわりの、ごあいさつ
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■とどめの一撃(4月11日・渋谷公会堂)--------------------------------
午後3時、リハーサル前の楽屋。
佐野がギターを抱え「スターダスト・キッズ」を口ずさみながら弾いている。
「はい、これもオッケーでぇ〜す」と、傍らに座っていた佐橋が譜面ファイル
のページをめくる。つまり彼らは佐野の“弾き語り可能曲”をチェックしてい
るのだが、“わんこそば状態”でどんどん候補曲が増えていく。回りで聞いて
いるメンバーは、時どき一緒にコーラスパートを口ずさんだりしながら「佐野
さん、なんでもできちゃうじゃん」と感動しきり。
ト「もう、今日は佐野さん全部ひとりでやってくださいよ」
佐「ステージに出てって“追加公演は、メンバーのスケジュールが押さえられ
なかった。ごめん、今日はオレだけなんだ”って言う? みんな、怒るだろう
なぁ(笑)」
およそ10日ぶりのライブ。なんだか、すごく久しぶりのライブのような……
新鮮な気分。大阪でのファイナル公演が、すでに遠くの出来事と感じられる。
いわばアンコール・ツアーともいえるラスト2本。佐野は、The Hobo King
Bandと共に“自分たちが楽しむために”曲順を熟考ちゅう。リハーサルでしか
演奏しなかった曲、前のツアーでのレパートリー……メンバーの間からも、次
々と候補案が出る。「うーん、困ったなぁ」と、みんなうれしそうな顔。結局、
佐野の「ま、神奈川での楽しみを残しておいてもいいから」という提案によっ
て新たなレパートリーは「欲望」だけということになる。
ツアー中盤、メンバーの間から「いちどは佐野さんに、ひとりで出て行って
弾き語りをやってもらおう」というアイディアが出ていた。佐野も、大阪あた
りから「Hobo Kingがひとりで演れっていうからさぁ」と、弾き語りについて
ずーっと考えていたようだ。
現在の佐野の音楽は“佐野元春&The Hobo King Band”という単位で成立し
ている。“&”という文字でつながれた互角の力がぶつかりあうことによって、
佐野のミュージシャン・マインドが最大限に引き出されていることは間違いな
い。
けれど何よりも大切なことは、このプロジェクトが“佐野元春”というひと
つの才能を中心に回っているということ。The Hobo King Bandにしても、全員
がさまざまな形で佐野に魅き寄せられていることで、バンドとして成立してい
る。佐野がいなかったら、こんなバラバラな面々がひとつにまとまるはずがな
い。
だからこそ今、あらためて“佐野元春”というジャンルを確認する機会が必
要だ。バンドのためにも、リスナーのためにも、佐野本人のためにも……。
だから、メンバーたちの“リクエスト”は、とても正しい。
****************************
およそ3週間ぶりの、渋谷公会堂。
今夜はいつもの夜とはちょっと違う。
客席には、開演前からただならぬ熱気がたちこめている。そりゃそうだ。こ
こにいる観客は、本当なら2月のはじめに同じ会場での公演を体験していたは
ずなのだから。
各地、多くのファンが“待ちに待った”という思いでツアーのステージを体
験したはずだけれど。全国の“待ちに待った大賞”は、東京と神奈川公演を待
ちこがれたファンにさしあげたい。
佐野からも、待たせたお詫びに?素晴らしいプレゼントが……。
オープニング、ギターを抱えた佐野がステージに姿をあらわす。
ひとりきり。
スポットを浴びて、彼はギターをかき鳴らす。ローディーの晃彦が「佐野さ
んのギター、最高でしょ。世界一の音がするんだから」と、まるで自分のこと
のように誇らしげに教えてくれた名器。ひとりで演奏することによって、その
繊細な音色の素晴らしさはより鮮明に伝わってくる。
「スターダスト・キッズ」。
客席から驚きと戸惑いの声があがり、それがやがて歓喜の声へと変わる。こ
の曲を、こんなふうに聞くことができるとは思わなかった。数えきれないほど
あがった候補曲の中から、この曲を選びとった佐野元春に“乾杯”。
そして、続いても弾き語りで「ジュジュ」。
これはどんなに時間が経っても、何度聞いても“作りたて”の匂いのする不
思議な曲だ。東京の自室か、あるいはロンドンのフラットで、ひとりギターを
弾きながら作曲する佐野の姿が浮かんでくる。何度聞いても、同じように……
なんでだろう?
エンディング、佐野は気持ちのおもむくままにどんどん速いテンポでリズム
を刻んでいく。The Hobo King Bandから離れてひとり歌う佐野は、どこか心細
げにも見える。けれど、いちばん自由に自分自身を解放させているようにも見
える。
3曲めの「欲望」を歌う佐野の背後、暗闇の中でThe Hobo King Bandのメン
バーが所定の位置につくのが見える。“君が欲しい”のフレーズを合図にステ
ージが明るくなり、バンドが演奏に加わる。
この瞬間の美しさ、この先もずっとずっと忘れないだろう。
佐野元春という核を中心にして回る、The Hobo King Bandという宇宙。
その図式が、このドラマティックな演出によってはっきりと見えた。
静かに、静かに燃えている。
のっけから超ハイテンションで疾走した大阪ファイナルとは、まったく正反
対の熱気が伝わってくる。慎重に、けれど無邪気に。それぞれが、自分の中で
ツアーの“店じまい売り尽くしセール”を繰り広げている。
観客に彼らのスゴさを存分に見せつけた大阪、メンバーが自分自身の中での
“ツアー総決算”をしているように見える東京。
なんと言ってよいのやら。冒頭の弾き語りを含めて、すべての曲がつながっ
て太い幹になっているような。すべてがひとかたまりになって、こちらへと投
げつけられてきたような……。これまでの経験を総括した結果、至高の領域へ
と上りつめたステージだった。
****************************
「朝起きたら、すごくいいお天気でうれしかった。でも、なかには雨が好きな
人もいる」
「ロックンロール・ハート」に入る前のMC、そう言ってから佐野はしばらく
黙りこんだ。メンバーもスタッフも含めて、その場にいた全員が彼の言葉の真
意をはかりかねて、次の言葉を待った。さて、この話のオチは……。
「ま、一概には言えないってことだね」
ええーっ!? あまりのオチなし話に舞台袖ではスタッフが一斉にコケ、ステ
ージ上ではメンバーがオンマイクであることも忘れて吹き出したという。
だんだんと贅肉をそぎ落として、そのシェイプに磨きがかかってきた演奏と
はうらはらに。佐野のMCは、ツアーが進むにつれカオスの森の奥へと迷い込
んできた。もう、すごすぎ。よくわかんないです。
でも、こういう時の佐野元春が絶好調だってことは確かなのでオッケーです。
****************************
大阪ではジョン・サイモンの“父兄参観”があった。さらに、東京ではもう
ひとつの“父兄参観”が待っていた。
遠く福生のFussa45スタジオから、大滝詠一がやって来たのだった。
「大滝さんにThe Hobo King Bandを紹介したいなぁ」
ツアー序盤の頃、ふと佐野が漏らした。以前から、彼はよく大滝との思い出
を話してくれた。『ナイアガラ・トライアングルVol.2』における大滝との出
会いがなかったら、アルバム『サムデイ』は生まれなかっただろうと彼はいつ
も言う。そんなわけで、佐野にとって大滝詠一は大切な恩師。彼が、新しいパ
ートナーであるThe Hobo King Bandを紹介したいと思う気持ちはよくわかる。
「大滝さんを囲んで、お座敷で、おでん食べながらってのはどうだ?」
と、佐野は言った。その頃、季節はまだ冬だった。でも、なぜ、あえて“お
でん”? とにかく、大滝さんとの会合はそういうイメージなのだそーだ。
で。大滝詠一のほうもまた、いつも遠くから佐野の動向を気にかけていた。
Nohji's Rock'n Roll Shop上のレポートも、いつもチェックしてくれていた。
最近は滅多に会うこともないというので、これはいい機会かもしれない。
そんなわけで、大滝サイドに連絡をとってみると「コンサートに出向きます
ヨ(^_^)」とのこと。で、2月の渋谷公会堂にお招きすることになったのだが
……これが、まさかの延期に。結局、ツアー中ずっと“おでんプロジェクト”
と呼ばれていた“父兄参観”は、ラスト直前になってやっと実現したのだった。
でも、この日でよかったなぁと思う。おでんはシーズン・オフになっちゃっ
たけどね。拙著『フルーツ・ダイアリー』の帯に一句いただいているワタシと
しても、大滝詠一は親も同然。滅多にコンサートなど見ない彼に、どーせなら
い〜ちばんカッコいいThe Hobo King Bandの姿を見てもらいたいたかったもの。
そして、再び渋谷公会堂……。
「今日来てくれたみんなに紹介したい人がいる。大滝詠一さん!」
ステージ終盤、佐野は2階席最前列の中央に座っていた大滝を紹介した。ス
ポットライトが当たり、立ち上がって手をふる大滝。鳴りやまない拍手に、彼
は困ったような顔をして“彼らの番だよ”と言わんばかりに舞台のほうを指さ
した。
そして、その大滝詠一を前にして歌われた「サムデイ」。このツアーでは何
度も歌われているけれど、この日の「サムデイ」には特別な意味がこめられて
いた。
大滝との出会いがなかったら、この曲は生まれなかった。そして今夜、彼の
前で歌うことができることをうれしく思う。そう前置きをしてから、佐野は歌
い始めた。
あれから、決して長くはない歳月が過ぎた。けれど、こうして再び新しい力
を得て「サムデイ」を歌い続けていること。それを、佐野は大滝詠一の目前で
誇らしげに告げた。
この曲を歌い終わった時、大滝は再び立ち上がってステージに向かって拍手
を送った。客席からも佐野に、The Hobo King Bandに、そして大滝詠一に送る
惜しみない拍手がいつまでも続いていた。
大滝詠一が佐野のライブを観たのはちょうどハートランド解散が発表される
前日、初めての武道館ライブ以来のことだという。
「楽しかったよ。前の武道館では、観ていて辛くなる局面もあったけれど。今
日は、最初から最後まで楽しかった。うん、いいものを見せてもらったな」
終演後、最初に聞いた大滝の感想。なにげない口ぶりだったけれど、社交辞
令を嫌う彼の温かい言葉はとてもうれしかった。『サムデイ』が生まれる前か
ら佐野元春を知る大滝詠一の、今の佐野に対する心からの賛辞だと感じた。
「佐野君も楽しそうだったしね。要するにロックンロールはさ、どっかにユー
モアがあるかないか。そこが分かれ道なんだ。最後には、ユーモアのあるやつ
が生き残る。それは天性のもの、なんだろうけどね」
そう言った後、彼は「だけどね……」と続けた。
「I LOVE YOUの反対は、YOU LOVE MEじゃないだろ。“アイ・ブラ・ユー”だ
ろ(^_^)」
(↑知らない人は、トニー谷を聞いてみてください)
****************************
この夜の佐野とHKBは、“タフで、クールで、ヒューマンタッチ”。
特に“タフ”の部分を強調したい。
3時間を超えるステージ。アンコールに次ぐアンコール。
フルーツ・ツアーのファイナルでの“ロックンロール・トライアスロン”と、
大阪での音楽的なテンションの高みをきわめたステージ。その両方を、混ぜ合
わせたよう。
終演後、佐野は「オレはもーぉ、疲れたッ!!」と笑いながら言ってテーブル
に突っ伏した。すべてを燃やし尽くして、魂が抜け落ちてしまったような表情
をしている。ステージに立っていた、ほんの20分ほど前の精悍な顔つきとは別
人のよう。
そう、これまでのわたしの“観察日記”をひもといてみても……ものすごい
ステージを終えた後の佐野は確実に“魂が抜け落ちた顔”になる。
わたしもいろんなミュージシャンの、終演後の顔を見てるけど。こんなふう
に顔がガラッと変わっちゃう人は、あんまり見たことがない。まさに身を削っ
て、鶴が羽を抜いて機織りしているように、ライブ・パフォーマンスをやり続
けている。だからこそ、彼はこんなにも長い年月を身ひとつでサバイヴしてき
たのだと……このツアーに同行するようになって、ずーっと同じことを思い知
らされ続けている。
****************************
ちょっと個人的な余談を。
ライブが始まってすぐ、わたしの隣の席にひとりの男性がやってきた。
何を隠そう、それはザ・ハートランド2代目ギタリストの横内タケさんであ
った。“ビジターズ・ツアー”でのワイルドなプレイは、佐野さんのライブ・
ヒストリーにおいても重要な役割を果たしたと思います。“LAND HO!”での久
々の勇姿も忘れがたいっすね。わたくしは心の中で“きゃー、タケだわー。タ
ケー!!”とおおいに盛り上がっていたのでした。タケさんは、ちょっとおじさ
んになっていたけれどカッコよかったです。で、ずっと真剣な表情でステージ
を見守っていました。終盤では、ステージ袖に行って見ていらしたそうですよ。
タケさんはトミーとも親しいのだそーですよ。終演後も楽屋でずーっと話し込
んでました。
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■余談・大滝さんとHKB----------------------------------------------
さぁ、ここでちょっとコーヒーブレイク(←死語)。
渋谷公会堂で“生大滝”を見たみなさん、非常にラッキーでしたね。だって、
去年の「幸せな結末」リリースの時だって“近影”はほとんど公表されなかっ
たし。数年前の“山下達郎シングス・シュガーベイブ”ライブの時にも、今回
と同じように、山下さんが客席にいる大滝さんを紹介してスポットライトを当
てる……という計画があったのですが、みごと失敗。そんなわけで、生の大滝
さんが公の場で紹介されるというのは“ツチノコ発見!!”にも近い……若い方
々には“ポケット・ピカチュウGET!”にも近いレアな出来事だったといえまし
ょう。
ノ「それにしても、2階席からにこやかに手をふる大滝さんの姿。威厳があっ
てノーブルでございましたねぇ……」
大「だろっ(^_^)」
ノ「これから、あだ名は“陛下”」
大「気に入った!!」
なんて話をしながら、大滝陛下ご一行とわたくしは会場を後にしたのですが
(←運転手は陛下じきじき)。楽屋口には、佐野さんとHKBを待つファンの
みなさんが!! ちょうど“天覧試合の手の振り方”で盛り上がっていた大滝さ
ん、おもむろに車の窓を開けてファンのみなさんに手を振ります。が。
じぇんじぇん気づかれません(泣)。
それでいったんはスルスルッと窓をしめたものの、「気づかれない時はサー
ビスだ!!」と再び窓を開けてチャレンジ!! 今度はちょびっと気づかれました。
「ほら、あれ、あれ!!」
と、ファンのお嬢さん、呼びかけるも名前失念、か? 陛下、ちょっとショ
ックを受けて窓を締めてしまいました(哀)。
負けず嫌いなところは、とても佐野さんと共通していますね。
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さて。爆裂ライブの後は“爆裂おでんショウ”です。
翌日別のライブがあるという小田原さんをのぞいて、HKBwith大滝詠一が
都内某おでん(もある)店に集合。スペシャル・ゲストに、ライブを観に来て
くださっていた花田裕之さんも参加!! きゃー、花田さんカッコいい〜。
はっぴいえんどのラスト・アルバムに参加したヴァン・ダイク・パークスの
話から、日本の演芸史の話まで。もう、話は広がること広がること。大滝さん
のレコーディングはまずスタジオの電源をはかることから始めるとか、世界中
の電池をチェックしたとか……ミュージシャンにしかホントの面白さはわから
ないであろうナイアガラ・レコーディング秘話でも大もりあがり。ダイナマイ
ト・トーク・セッションは深夜まで続きました。
ライブですっかりエネルギーを使い果たした佐野さんも、大滝さんの向かい
側に座ってうれしそうにニコニコしています。
昭和歌謡史に話が及ぶと、KYONが鋭い質問を投げかけます。ロック、歌謡、
演芸、落語、スポーツ……大滝さんの話は、実に幅広いジャンルを網羅してい
るわけですが。それにとことんついてゆけるのは、我らがドクター・KYONしか
いません。
大滝さんも「KYON君はすごい」と感心しきり。
「KYONは絶対、大滝さんと話が合うと思っていたんだ」
と、佐野さん。
そんなわけで、HKBと大滝さんは帰り際には近い再会を約束したのでした。
もしかしたら、みんなで福生の大滝邸へと遊びに行くかも知れないって。
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■そして最後に!!(4月14日・神奈川県民ホール)------------------------
「ツアー終盤にきて、やけにドラマティックに展開してきてやしないか? す
べてが筋書き立てられているような……」
最終日の前の、佐野の言葉。
確かに。幸運な偶然と言うには、あまりに見事なストーリー仕立ての展開が
続いている。見えない力に操られているように、すべての要素が複雑に組合わ
さってひとつのカタチを作りつつあるように見える。
前にも書いたかも知れないけれど、ツアー半ばでは“ストーリー”の行方が
まったく見えなくなっていた。佐野がどこへ行こうとしているのか、そしてバ
ンドの面々がこれからも佐野とバンドを続けていくのかどうか……すべてが保
留の状態になっていた。快走を続けてきたプロジェクトに、いったんPAUSEボ
タンが押されたような気がしていた。
けれど、あの時期にも大切な意味が隠されていた。
それは“失速”ではなく、確かに“PAUSE”ボタンだった。今になって思う。
そして、ここにきてすべての“PAUSE”が解除された。
「一回、ダンッと急激に高度が上がるのを体験しちゃったら、それから先は前
みたいには上がっていかないからね。なんか、物足りなく感じたり……。でも、
本当はそっからどうするかがいちばん難しいんだよね」
前にセンパイが言っていたことを思い出す。本当にそうだった。このバンド
が辿ってきた航路は、まさにその通りだった。
大阪、そして東京での公演はツアー・ファイナルの“前編・後編”とでも言
うべきステージとなった。公演延期で待ちどおしい思いをしたファンには申し
わけないが、大阪の後に渋谷公会堂での公演が残っていたことは素晴らしい幸
運だった。
インフルエンザで生まれて初めて公演をスキップしたことを、佐野はずっと
悔やんでいた。けれど、おかげでこんなにドラマティックなツアー・ファイナ
ルが実現した。今となっては、インフルエンザにも感謝……かな。
大阪での最終日とは別のベクトルでの最高潮を見せた渋谷公演も、佐野元春
&The Hobo King Bandにとって“必要”な夜だった。
もしかしたら、その2公演は彼らの“未来”にとって重要な役割を果たす夜
だったのかもしれない……とさえ思う。
さらに、その渋谷公演を大滝詠一と共にわかちあえたこともうれしい“幸運”
だった。
さらに、佐野から聞いた話。
大阪でのファイナル公演の模様をビデオ収録することは、ずっと前から決ま
っていた。その時点ではジョン・サイモンとガース・ハドソンの参加は予定さ
れていなかったし、映像スタッフはフットワークの問題も考えて東京でのビデ
オ収録を主張した。ところが、佐野は直感的に大阪での収録を強硬に主張した
という。結果、歴史的セッションが映像として記録されることになったわけだ。
****************************
そして、これが本当に本当のツアー最終日。
「スターダスト・キッズ」「ジュジュ」「欲望」と続く弾き語りで始まるとこ
ろは、渋谷公会堂と同じ。しかし、その後の曲順はまたバラバラのめちゃくち
ゃにひっかき回されている。で、よくよく見ると……なんと、その渋谷公会堂
での曲順をほぼまるごと逆にひっくり返したものになっている!!
ま、これは予想できなかったわたしがバカだったんである。ここ神奈川県民
ホールは、IHKツアーのファイナルを迎えた地。そう、その日、The Hobo King
Bandにとって最初の“大事件”である“曲順ひっくり返し事件”が起こった場
所だったのだから。
リハーサル前、ほぼ全体の曲順をメモに書きつけた佐野がメンバーを呼ぶ。
「こんな感じなんだけど……?」
のぞきこんだメンバーたちは「なるほど」「そう来ましたかぁ〜」とうなず
きながら、しばし考え込む。そして「じゃ、ここにあの曲を入れませんか?」
とか「や、それよりもさぁ」と、あれこれ新しい提案をする。それを聞いた佐
野は「そうか、なるほど」と、鉛筆を手に曲順を消したり書き加えたり……。
あれ? なんだか新しい光景だ。
たとえばフルーツ・ツアー。佐野は、いつも開演前にメンバーとは離れた場
所でひとり曲順を考えていた。彼が演奏する曲を決め、バンドはそれを受け止
めるだけだった。こんなふうに、佐野が曲順に関してもメンバーと顔を寄せ合
って相談するようになったのは、ごく最近のこと。しかも、意を決してマイン
ドを変えるとかいう大袈裟な変化ではなく。ごく自然に、いつの間にかそうな
っている。
この3ケ月間、いろんな場所に変化の兆しが転がっていた。
後になって、それが予兆であったことに気づくこともたくさんあった。果た
してわたしは、そんな些細な……けれど大切なサインをどれだけレポートして
これたのだろう? ま、まだまだ、その答えはわかんないね(^_^)。
それにしても“The Barn Tour”は、どんなふうに終わりを迎えるのだろう?
実際にステージが始まるまでは、まったく想像がつかなかった。
大阪と東京と続いた“ファイナル”の前後編。それが、もしかしたら“前・
中・後編”になるのだろうか……??? そんなことも思っていたけれど。
物語で言うならば、大団円を迎えた後の“エピローグ”。
ツアー全体をひとつのコンサートにたとえるならば、クライマックスを迎え
た本編の後に続くアンコール。
そんなライブだった。
体力の限り、出し惜しみなしにすべてを見せる。けれど、楽しんだりリラッ
クスしたりすることを忘れずにね。
ゴールに向かって真摯に突進してきた彼らが、ようやく最終目的地に足を踏
み入れて。そこで初めて見せる、ホッとした素顔……そんなふうに感じる瞬間
もあった。張り切りすぎてちょっと足を踏み外してしまうヤンチャな面も含め
て、もっとも自然体なThe Hobo King Bandの欲望を全開にした姿がそこにあっ
た。
****************************
アンコール、佐野はピアノの前に座ると何も言わずに「ガラスのジェネレー
ション」を弾き始めた。続いて、これもまた何の説明もせずに「約束の橋」。
カッコよかった。
いつも彼は、その曲が生まれた頃の話をしてから歌い始めていたけれど。本
当は、何の説明もいらない。昔から彼の曲を聞いてきた人は懐かしさで胸がい
っぱいになるだろうし、最近ファンになった人たちは新鮮な気持ちで“新しい
曲”を受け止めるだろう。
昨年12月、ツアー・リハーサル初日のこと。佐野は突然「ビジターズ」を演
り始めた。スタッフは驚いたが、佐橋は「新曲? いい曲だなぁ」とうれしそ
うに言った。あれと同じことだ。
いわゆる“元春クラシックス”は、ツアーを重ねるごとに味わいの深さを増
していった。過去の曲であろうと、新曲であろうと、いい曲はいい。そして長
い年月にわたって愛されてきた曲には、それだけの理由がある。
いつも、誰よりも先に新しい試みに取り組んできた。
いつだってそれが、佐野元春を語るキーワードだった。
けれど、聞き手も佐野自身も、いつしかそのキーワードの表層的な意味に束
縛され過ぎていたのかも知れない。
“新しい試み”というのは、スタイルでもなければ楽曲そのものでもない。
常に進み続けている、その強靱なメンタリティがありさえすればいい。
このツアーを通して、佐野に教えてもらった気がしている。
「ロックンロール・ハート」も、「ヤング・フォーエバー」も、歳月と共にだ
んだんと佐野や聞き手の身体に馴染んでいくことだろう。
50歳の佐野がしゃがれた声で歌う「ロックンロール・ハート」を想像してみ
る。きっと、最高にイカしているだろう……。
このツアーで、佐野はとびきり新しいことをたくさん見せてくれた。
彼はきっと「ガラスのジェネレーション」も「ロックンロール・ハート」も、
ずっと歌い続けていくだろう。それを惰性のオールディーズにすることなく、
歌い続けていくこと。いつまでも歌を錆びつかせないこと。それは、これだけ
たくさんの名曲を生みだしてきた佐野元春がロックンロール・アーティストと
して背負った“使命”あるいは“宿題”だ。
****************************
フルーツ・ツアーでは、佐野を含めた“The Hobo King Band”の歩みを経験
した。今回のツアーでも、もちろんバンドの変化というものも目の当たりにし
たけれど。
佐野元春。
彼自身の変化、あるいは変化への“欲求”をずっと追いかけていた。気がつ
くといつも、自然と佐野元春のやろうとしていることや考えていることに目を
奪われていた。
話は再び、彼の“新しい試み”について。
「ツアーが始まった時と、今の佐野さん。ぜんっぜん違うよ」
The Hobo King Bandは言う。
ツアー全体は浮いたり沈んだりを繰り返してきた。けれど、いちばん大切な
“変化”はずっと静かに深く潜行を続けている。
佐野は、とても意識的に自らのボーカル・スタイルを変えつつある。
今の自分の肉体に合った歌い方を、彼はずっと模索しているように見える。
ツアーの始まりと終わりを比較してみると、佐野の歌は大きな変貌を遂げて
いる。
アメリカのオールディーズ・ショウで、老いたロックンロール・スターがキ
ーを下げて往年のシャウトを絞り出しているのを見ると悲しくなる。それは自
らのコピーに過ぎず、どんなに歌い続けても“歌”そのものを成熟させていく
ことはできない。
どんな名歌手の肉体も、年齢と共に衰えていく。けれど、たとえば歴史に残
るソウル・シンガーたちや、何歳になっても“現役”であり続けるシンガーた
ちの歌を思い出してみる。彼らは、年齢を重ねるごとに変化していく“声”に
よって“歌”を熟させていく。
そして佐野もまた、ずっと歌い続けていくために必要な“次の場所”へと足
を踏み入れた。佐野本人と、そんな話をしたことはない。でも、わたしはそん
なふうに感じている。
今回のツアーで、PAチームと佐野のリレーションシップは決してスムーズ
には進まなかった。以前に解決したはずの問題が、ある日また振り出しに戻っ
たり……。
それもまた、歌の変化が重要なキーポイントになっていたのだろうと思う。
会場ごとに環境が変わるうえに、佐野の歌も日々変わってきた。だから、音響
的にもベスト・ポジションを定めることは難しかったのかもしれない。
演奏する曲がどうこうとか、アレンジやサウンド・スタイルがどうこうとか。
そんな表層的な事実では、本当の変化は図れない。最先端の音楽をとり入れて、
それでも淋しいほどに古めかしく映る連中だって数え切れないほどいるわけだ
し。
今、佐野元春は本当の変化という難題に対して、真摯に向き合っている。
ボーカル・スタイル、そしてバンドのありかた、音楽性……何が変わってい
くのかは、わからないけれど。何をどんなふうに変えることも、今の佐野にな
らできる。
佐野の、その強さに惹かれる。彼ほどのアーティストであれば避けて通るこ
ともできる乱気流に、好奇心にかられて突っ込んでいくような向こうみずさに
惹かれる。
そして、そんなふうに佐野が向こうみずになれるのはThe Hobo King Bandが
いるからだ。
「今の僕らなら、何だってできる」と、佐野は言う。彼らThe Hobo King Band
との旅のなかで、佐野はさまざまな決意をした。間違いなく。
で。この事実を旅の終わりにキッパリと断言できることは、レポーターであ
るわたしの誇りでもある。
****************************
「これからもたくさん曲を書いて、歌っていく」
今回のツアーで、佐野はよく最後にそう言った。それは、とてもアタリマエ
のアイサツのようにも響くけれど。これからの佐野元春のありかたを、何より
もきっぱりと宣言する言葉でもある。
たくさんの収穫があった。
そして同時に、このツアーではたくさんの“宿題”が残った。
佐野もThe Hobo King Bandも全力を尽くして、燃え尽きた。
最終日、彼らは自分たちが見せることのできる手札はすべてさらけ出した。
けれど、すべてが終わったということは。新しい種を蒔く準備が完了したと
いうこと、でもある。
終わりは始まり。
最後は、人のフンドシで相撲をとって終わるというのもアタシらしくてよい
であろう。
ツアー終盤、佐野からもらったメールを無断引用してしまう(^_^;)。
なぜなら、いろんな意味で“The Barn”ツアーをしめくくるいちばん素敵な
言葉がこれだと思ったから。
ツアーにおける彼自身とバンドの変化について触れた後で、彼はこう書いて
いた。
「僕たちは大人になった」
でもね、その後に“ツアーが終わればまた子供”とつけ加えられていたこと
はナイショ……って、全然ナイショじゃないか(^_^)。
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■打ち上げがわりの、ごあいさつ----------------------------------------
なんか、個人的なこじつけかもしれないけど。
4月14日、ツアー最終日。
この日、わたしのホームページ“Nohji's Rock'n Roll Shop”は満2周年を
迎えた。と同時に、しばらく休業することになった。それはまぁ、わたしなり
の考えがあって決めたことなのだけれど。どーしよーかなー、休みたいなー、
もったいないなー……と、しばらく前からグルグル悩んでいたのだった。でも、
結果的にツアー最終日が2周年記念日と重なることに気づいた時……これは、
なんかひとつの区切りの時を意味しているのかもしれないな、と思った。佐野
さんのインフルエンザと同じように、後で“意味”に気づくことがあるはずだ。
そういえば、佐野さんから初めてメールをもらってネット・コミュニケーショ
ンが始まったちょうど1年後に『フルーツ・ダイアリー@web』が出版されたり、
『フルーツ』発売日のちょうど1年後にNohji's Rock'n Roll Shop内フルーツ
・プロジェクトが完了したり。あまり迷信には惑わされないわたしも、佐野さ
んに関しては不思議な偶然がたくさん続いて“これは何かあるのかも!?”と思
うことがしばしば。
この“STT”のアイディアを思いついたのは、去年のクリスマス!! ひとり
淋しく仕事をしていたところ、メールレターによるライブ・レポートという企
画が突然にひらめいた。その5分後にはMIPSの遠藤さんに、さらに5分後には
佐野さんにメールを送りつけていた。これは最初からNohji's Rock'n Roll
Shopではなく、MWS内イベントとしてでなければ成立しないということはわか
っていた。そしてMIPSの面々ならば、こんな思いつきにも面白がって力を貸し
てくれるだろうということも信じてたし。たとえ人数は少なくとも、佐野元春
&The Hobo King Bandと一緒に旅をする気分をメールを通してわかちあってく
れる人たちがいるはずだということも疑わなかった。はっきりゆって、最初か
ら「これはイケるッ!!」とワクワクしておったのですよ。
でも、まさか1000人以上の人たちが読んでくれるとは思わなかった。
本当にどうもありがとう。
あーだこーだのワガママを、全部かなえてくれたMIPSのみなさんにも感謝で
す。
いつか一緒にひとつのプロジェクトをやってみたいという希望が、こんなに
早くかなうなんて。かわいいロゴを作ってくれたのは遠藤さんでした。でも、
会場で会った読者の人には「あのイラストとずいぶん違いますね」とゆわれた
ぁ〜(涙)。
それから、わたしからの一方的なダラダラメールを受け取ってもらえただけ
でもうれしいのに。お返事のメールもたくさんもらいました。ツアー中、夜中
にホテルの部屋でノートパソコンを開いてメールを読む瞬間がどんなに幸せだ
ったか。感謝です_(._.)_。
たとえば、これを最初からお仕事の企画としてスポンサーを探して始めるこ
とも可能だったと思うけど。それはヤだったの。『フルーツ・ダイアリー』か
ら始まった“自分が好きだからやってるのよ”という意地を、ここでも貫きた
かった。
こんなふうに、ひとつのことについてずーっと書き続けられること。そんな
もの、見つかるはずがないと思っていた。
ミュージシャンとジャーナリストの関係というのは、基本的には一期一会だ
と思ってる。だから、これまでもわたしはツアーにずーっと同行する仕事など
は断り続けてきた。
でもね。ポール・ウィリアムズがボブ・ディランについて今もえんえんと書
き続けているように。故レスター・バングズが、死ぬまでルー・リードについ
て書き続けたように。ずっと書き続けていかなくちゃいけないアーティストに
出会ってしまう幸運が、ひとりに一度は訪れるんじゃないかなぁと思った。
佐野元春&The Hobo King Bandがどんどん新しい未来に向かっていくにつれ、
わたしはどんどん淋しくなっていた。それはもう、フルーツ・ツアーの頃から
そうだったんだけど。わたしは、どこかで彼らの背中を見送る時が来るんだろ
うな……と思っていたから。楽しいけど、淋しい。そんな気持ちだった。
でも。佐野さんは今、もう後へは引き返せない場所まで到達してしまった。
バンドのメンバーひとりひとりも、それぞれが後戻りできないという決意をも
って活動を続けている。だから、わたしもいつの間にか引き返すわけにはいか
なくなっている。
彼らがどこまで上りつめようと、あるいはドン底まで落っこちていこうと。
わたしも書き続けていかなくちゃいけないんだろうなと思った。それが、どん
なカタチで続いていくかはわからない。明日からまた、せこせことインターネ
ット連載を始めるかもしれないし。10年の沈黙を守った後にいきなり超大作を
書きあげるのかもしれないし。んー、わからないけど。とにかく、ものすごい
ところに足を踏み入れちゃったという自覚はあるので。きっと、わたしは書き
続けていかなくてはいけないのでしょう。
そして、さらに大変なことに。そうやってわたしが後戻りできない場所まで
来てしまった過程を、実はリアルタイムでみなさんに一部始終目撃されてしま
っているわけですな。もう逃げも隠れもできまへん。
まずは、最後までおつきあいしてくださったみなさんにどうもありがとう。
そして特別会員(^_^;)、メンバー&ツアー・スタッフのE-mailアドレス所有
者のみなさん。はげましとアドバイスをありがとう。このレポートは決してわ
たしひとりの作品ではなく、ライブ後の課外活動の中で収拾した情報が大きな
原動力となっておりました。小田原アニキがどんなにパチンコが弱いかについ
て糾弾しろというローディー・チームのリクエストに、お答えできなかった意
気地なしをお許しください(;_;)。
それから最後に、佐野さんに10000000000000万年分の感謝を!! 10代の頃か
らずっと、いつかその音楽に対する“ご恩返し”ができたらと思っていました
けれど。ここにきて、返さなくちゃいけないご恩が増えすぎてしまいました。
きっと一生かかっても返しきれないような気がします。でも、ちょっとずつお
返ししますね。あー、今のわたしは岸部シローの心境です。まじで。
Small Town Talkは終わりますが、これからもMWSではいろいろと楽しい企画
が続いていくことでしょう。それにね、Nohji's Rock'n Roll Shopはお休みで
すが、その姉妹ページである“Nanoo Records Homepage”は今年バリバリと発
展させていく予定です。田町探索隊のデビュー曲とかね、あとは新人ユニット
=ザ・レイターズ(元のグループ名は“センパイ&アニキ”)とゆーのもいま
すし。佐野さんがファクトリー内に素晴らしいスタジオを作られたそうなので、
なんとか佐野さんをダマしてタダでレコーディングさせてもらおうとタクラミ
ちゅうです。こっちもご期待くださいね。
ではでは!!
よかったら、Small Town Talkの感想などなど聞かせてくださいね。最後に
オレをメールの海で溺れさせてくれっ \(^o^)/。うそ。
By 能地祐子 nohji@DaDooRonRon.com
from Nohji's Rock'n Roll Shop
(http://www.DaDooRonRon.com)
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