佐野元春のライヴ・パフォーマンスを撮らせたら、この男の右に出る者はいない。佐野元春の音楽、ザ・ホーボー・キング・バンドのサウンド、そして佐野のステージ・アクトを彼は熟知している。ひょっとしたら佐野のインスピレーションの閃きさえも予知しているのではないかと思わせるほど、彼のカメラ・ワークは的確に佐野の動きを捉える。しかし、映像ディレクター/カメラマンとしての林ワタルが真の意味で優れているのは、何よりも“人間”を見る眼を持っているからだ。彼の映像には人間・佐野元春が映っている。ミュージシャンとしての佐野元春、パフォーマーとしての佐野元春を超えて、林ワタルのカメラは人間・佐野元春へと迫る。 |
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