1980年代、佐野元春の影響を受けたミュージシャンを探すのはそれほど難しいことではなかった。物真似かと呆れ返るほどそっくりだったクローンはもちろん、歌詞や曲調から衣裳やポーズまで、さまざまな面で多くの後輩たちが彼の影響を受けていた。けれども、それから20年を経た今、佐野元春フォロワーを見つけるのは意外に難しい。直接的にはインスパイアされていないにもかかわらず、第一世代のフォロワーたちを通して間接的に影響を受けてい第二世代のフォロワーたちが増えたからだ。佐々木収は第一世代である。しかも小学生の頃から佐野の音楽を聴いている筋金入りの強者だ。しかし、彼は佐野のフォロワーにはならなかった。彼は佐野元春の音楽を自分なりに消化し、佐々木収の音楽を作っていった。MOON CHILD時代にはその独創性で僕らを驚かせた佐々木だが、渡邊崇尉と結成したSCRIPTではより成熟したサウンドを聴かせてくれる。20年前、佐野元春から何かを受け取った少年がいま自分自身の音楽をプレイしている。うれしい発見がここにはある。 |
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