THE SUN TOUR '04〜'05 日付/会場:2005/02/20 NKHホール,04/12/24神奈川県民ホール,04/10/16渋谷公会堂 |
お名前:らくガキ 投稿日:Sun, Jul 24 2005 22:30:44 JST |
NOW & HERE #02 アルバム「THE SUN」がリリースされてから、1年が過ぎました。 その間ぼくは通勤の行き帰りや子供達の寝静まった真夜中、 遠くの空が白み始めた頃に眠れずに起き出してヘッドフォンで 聴いた朝、そんな風にくり返し繰り返しその記録された音源を聴 き、いくつかのライヴを目撃してみた。 文句の付けようのないアルバムと完成度の高い佐野元春 & The Hobo King BandのLiveパフォーマンスはこれまでとこれからを示唆する とても魅力的なサウンドと言葉や物語にみちあふれている。 そして、このサウンドはここにいるぼくらに有機的に直結している 気がした。 今日のこの世界にあふれる様々なサウンドは、ぼくらが音楽に気が 付いた頃に比べてさらに気軽にさらに気楽にファッションのひとつ として身につけられ、そして自分をごまかすアイテムとしても扱え る。ぼくらが音楽に求めていたのは心を躍らせ、背伸びをさせて何 処かへ見知らぬまだ見ぬ世界を垣間見せてくれるサウンドの中の魔 法。確かにいつかぼくが感じたことをもう一度このアルバムが見せ つけてくれた気がします。 '04、10月16日 東京は渋谷でのツアー前半でのライヴ。 いつもは開演前にステージ上の楽器を見ることが出来たけど 今回は幕が下りている。そうした演出でその奥で何が成されている のかは見当も付かないが、それもまた心を躍らせる。 2部構成との知らせがある。 開演までのインストゥルメンタルは"Jazz" 客電が落ち、サウンドのボリュームが徐々に上がって オーディエンスを煽る。 聞き覚えのあるドラムスのリフ。 幕の後ろからまばゆい街路を思わせるフラッシュライト。 彼らが再び路上に戻ってきたんだ。 佐野さんは真っ白なスーツにハンドマイク。 はじめはバンドに佐野さんのギターグルーヴが不足した感のある ハンドマイクで歌い続ける姿に少し戸惑いを感じながらも 佐野元春の真髄を貫く選曲は熱くしなやか! 「BackToTheStreet」「SoYoung」「Happyman」「Yeah!SoulBoy」 The Hobo King Bandのサウンドは瞬く間に音の洪水へと誘い込む。 前半のハイライトは佐野がスチール椅子に腰掛け アコーステックギターを手にしてはじめられた。 「ぼくは大人になった」から「また明日・・・」 「風の手のひらの上」。 この流れのハイライトは中盤の[神奈川県民ホール]では さらに磨きがかかり、そして最終日[NHKホール]にて 頂点を極める目のくらむサウンドを感じることができた。 第1部の後半は佐野元春 & The Hobo King Bandサウンド全開による 久しぶりに演奏される「99BLUES」、そして「Individualists」 会場は真っ赤に燃え上がるかのようだった。 2部構成の間のインターバルに、小粋な冊子をぼくは手にして 眺めていた。思えば Rock & Roll Nightツアー と Visitorsツアー との間には佐野元春との交流の場はラジオと [THIS]といった雑誌メディアにあった。 今回のツアーパンフレットには特別号として [THIS]が発刊された。 サブタイトルは"Steppin'Out!"それにまつわるコラムやバンドの メンバーが選ぶこのおすすめのアルバム、その他トークセッション 等に加え、まぶしい青い空もとでのTHE SUNのフォトセッションが 飾られていた。 ぼくはそれらを熱い興奮の続く中 ぼんやりと眺めていた。 第2部開演の合図。 印象的なアコースティックギターのストローク。 アルバム「THE SUN」トップを飾る 「月夜を往け」で幕を開けた第二部。 ステージセットは大がかりなアルバムジャケットそのものを 再現したあの「壁」が佐野元春 & The Hobo King Bandの背後に そしてぼくらの目の前にそそり立っている。 佐野さんは真っ赤なスーツ。 小さめのスツールに腰掛け、ハンドマイクで揺れながら唄う。 続くアルバムと同じ曲順、 「最後のワンピース」、 「恵みの雨」の佐野元春 & The Hobo King BandのFUNKYサウンド。 レコードでは感じ取れないニュアンスがライヴでは 壁に反響させるかのように ぼくらの前にありありと立ち上がらせる。 壁の前での佐野元春 & The Hobo King Bandは さながらキャバーンクラブのビートルズか ダニー・ハサウェイ「LIVE」のバックジャケットを思い浮かべる。 再びマーチンのアコースティックギターを手にして 「希望」と「地図のない旅」を演奏する。 どちらも今ここにいる自分の胸に迫る楽曲であり そのサウンドのひとつ一つが目の前にこぼれ落ちる瞬間の 痛みと幸せを同時に感じる。 月夜からはじまる第二部はやがて往く先を見失いそうな 真夜中へとたどり着く。 「観覧車の夜」 "MilkJAMツアー"では「フィッシュ」と呼ばれていた。 そのころからとても気になる楽曲でアルバムでは ラテンのアンサンブルで仕上げられていた。 しかし、このツアーのライヴではこの他の楽曲では ほぼアルバムのアレンジに忠実に鳴らされていたけれども この楽曲は違っていた。 特に前半と中盤で観た2つのライヴパフォーマンスでは これ以上ないほどの暗闇、もしくは光の届かない深海で のたうちまわるかのような深く暗く重いサウンドのように ぼくは感じた。 この世界に生きる僕たちが産んだ底知れぬいくつもの暗闇、 ストレス、居心地の悪さを回り続ける観覧車から眺めた夜を ここでは見せつけているかのようだった。 この「観覧車の夜」は最終日のNHKホールでは、 それまでぼくが観たパフォーマンスとはまた違った、 とても軽快でいて力強いサウンドに変わっていた。 この曲だけに関わらず山本拓夫さんが加わったことと 関係しているのかどうかわかりませんが、 いくつもの楽曲のニュアンスが最終日では違って聴こえた。 ひとつのツアーで楽曲が育つというのは こういうことかもしれない。 そして微笑ましいオーディエンスとの世代に ついての話に続いて演奏されたのは 21世紀が明けてから創り上げられてきた楽曲。 「君の魂、大事な魂」 当初は"Sail on"と呼ばれていた。 何かが始まる予感、気配がこの三連符の力強いサウンドに 裏打ちされるかのように転調をした瞬間のまばゆく 舞い上がる高揚感はこの曲ならではであり、 アルバムの中 そしてライヴの中でここしかないという 曲の並びで舞い上がる。 「明日を生きよう」では巧みなサキソフォンの鳴り渡る中 「もう大丈夫!」と唄いながら立ち上がり佐野さんはスゥイングし 始める。 メロディの際だつ大人びたサウンド。 バンドの新たなグルーヴがここにも顕れていた。 続く「DIG」〜「国のための準備」。 佐野元春 & The Hobo King Bandの「Rock & Roll」 「国のための準備」は渋谷では間でセットリストに数えられていな かったが中盤を過ぎたあたりから加えられるようになっていたよう です。 そのイントロでは体中の神経が瞬時にレッドゾーンに跳ね上がり 佐野元春 & The Hobo King Band音の真髄を観た気がした。 見事に曲のインターバルさえ計算に入れた雪崩のように ぼくらを飲み込んで行く。 轟音の響き渡った後、つかの間の静寂を挟み新たなグルーヴが アコースティックギターによって刻まれる。 "GOD,夢を見る力をもっと"、"GOD,ここにいる力をもっと"と 唄われる。 「太陽」。 穏やかなサウンドの中で言葉は切り刻まれ、 ぼくらの中で新たに生成されて行く。 言葉とビートの隙間をかいくぐりながら 鳴り響くストリングス・アレンジ。 いくつかの"祈り"と共に壁は左右に分かれそこには青空が広がる。 21世紀を迎え、様々なそこはかとなくにじり寄る 不可解さや居心地の悪さ。 勝ち組と呼ばれる人々が我が物顔で大手を振る。 負け組と言って冗談かのようににこやかに一蹴する者たち そしてされる者たち。 行き先を見失い、単純に今だけのその場に 安心感と安住の居場所を見いだそうともがいている。 その場しのぎの毎日。 黙って見過ごす言い訳ばかりの生活。 子供達はみんなクレイジー。 毎日の生活にあくせくして行くしかない自分。 子供達に伝えられることは何なのか....。 アルバム「THE SUN」のジャケットの一発を食らった写真。 内なる太陽がこぼれ落ちないようにボタンを留めようと しているのか? 内なる太陽をさらけ出そうとはずそうとしているのか? 一撃を食らったその顔が再びこちらに向き直ったとき、 その顔はぼくに似た顔かもしれない。 そして、アンコールでは今までライヴで演奏されたのを 聴いたことのない 「Bye Bye Handy Love」 再び佐野元春ならではの楽曲をThe Hobo King Bandで 蘇らせてくれた。 続くアンコールは剛速球の「アンジェリーナ」 「悲しきRadio〜メドレー」 これは99年Stones & Eggsツアーに始まりMILKJAMツアーにて 「NightLife」の一部が加えられた、途中でFUNKYサウンドに 切り替わるバージョン。 Mr.Heartbreakがはじめて紹介された。 クリスマス・イヴでの神奈川県民ホール。 特別な気持ちで聴く「クリスマス・タイム・イン・ブルー」 そして特別な夜をさらにヒートアップさせる「彼女はデリケート」 THE SUNツアー最終日、NHKホールで最後に演奏されたのは 「SOMEDAY」 これまでの長い道のり、そしてこれからの長い道のり、 いくつもの高かったり低かったりするハードルを越えて行くため に、この楽曲がいつもそばにあるとは限らないが、自分にとってか けがえのなかったサウンドであることをふと思い出すことがきっと あるだろうし、これからのあなたやぼくにとってまだまだ生き続け るサウンドだなとあらためて思う。 アルバム「THE SUN」 それは佐野元春がはじめたDaisy Musicの 扉を開いた偉大なるはじまり。 この新たなるはじまりにつづく次のアクションが楽しみです。 きっとまだまだ先は長く険しい。 ぼくはこの先どんな風に巷に流れる音楽と かかずらっていけるのか?それらにどんな思いを抱き、 そしてそれを誰かに返すことができるのだろうか? 衰えるものに怯えながらも、育つ何かがあることを信じて 複雑にこんがらがったこの世界を歩いていこうよ。 Thank You、佐野元春 & The Hobo King Band. |