ManijuTour 最終公演 日付/会場:2018/04/01 TokyoDomeCityHall |
お名前:らくガキ 投稿日:Fri, May 11 2018 22:06:44 JST |
Now & Here#19 一昨年の年末から父親は体調を崩し、何度か入退院を繰り返し ていたが,なんとか現状維持でいてくれていた。 今年に入ってからすぐに再び感染症で入院したが2週間ほどで 退院、ある程度回復できる事を想定していた。しかし、帰宅した 後、日に日に弱ってきているのが見て取れていた。 自宅介護の態勢を整えた。 ベッドからは起き上がれなくなり、反応は少なくなり、ドクターから は危険な状態であることを告げられた。そんな状態になってから は、仕事を終えて帰宅後は父親の寝床のそばで晩酌をするよう になった。ただいるだけなのも間がもたないので、仕事一途の父 親が働き盛りだった頃に流行っていたと思われる 昭和歌謡 を Spotifyでランダムに流してみた。聴こえていたのかどうかはわか らないけど、何か穏やかな表情をしていたような気がした。 そんな父親の危険な状態の最中、 ぼくは一枚のライブチケットを手にしていました。 佐野元春 & TheCoyoteBand マニジュ・ツアー最終公演 もしかしたら、このまま…......。とも思い、行くことを諦めかけては いた。 ところが父親の体調は良くはなっていないが、不思議に 持ち直していた。その日の午後、申し訳ないが介護士の方と母 親に介護を任せて会場へ向かいました 2018年4月1日 曇りがちな空、シャツ一枚だとかなり肌寒い。 会場は東京ドームシティホール。 はじめて訪れるところだ。 東京ドームのある敷地内の地下。 勤め先とは目と鼻の先で、話では聞いていたが地下にあんな立 派なホールがあるなんてぜんぜん知らなかった。 開場時間になり、降りてみると巨大なライブ空間が広がってい た。ステージから観客席が扇状に広がり、アリーナ1階2階3階と 重なっていて、ちょっと見では日本武道館でのライブ空間をぎゅ ーっと小さくまとめた感じに思えた。 開演時間を少し過ぎてステージにメンバーが揃い ぼくらをどこか へ誘い出す始まりのサウンドが響きわたる。 ツアー初日を目撃し、その後の噂話をいくらかかじっていたので 進行内容はある程度 承知していたが、この日 なんといっても初 日には都合によりステージに立てなかったコヨーテバンドのもう 一人のギタリスト 藤田顕が加わり、オリジナルのTheCoyoteBand サウンドが聴けることを心待ちにしていた。 ツアー初日に目撃したパフォーマンスでは選曲も相まってかなり のインパクトを受けた。 しかし、この最終日のパフォーマンスの威力にはこの上なく圧倒 されました。 深沼元昭のクールさと熱情を織り込んだギターサウンドに藤田顕 のギターが加わる事によって醸し出されるさらにイカしたアンサン ブルとぶ厚くてぶ熱いサウンド。観客を煽るアクション。小松シゲ ルと高桑圭のセンスと技術とパワーのリズムセクション。繊細な グルーヴを誰にも描けない指さばきで彩る渡辺シュンスケ。そし てスパムはさりげなくパーカッシブな毒を盛る。彼らが奏でる音像 はこの日、弾けて、ドライブ感にまみれて、スピンアウトしそうでい て危うくすり抜けるスリルとグルーヴはこの世界でここにしかない サウンドだった。 第1部では、TheCoyoteBandサウンド13年間の集大成。 初日には第2部の芯に選曲されていた2曲の楽曲が第1部の芯に 演奏された。 そしてマニジュ・ツアー本編である第2部。 曲順のバランスを整えて、ほぼ全曲演奏! 真夜中の扉に足をかけたようにブルージーな 「夜間飛行」 唄うように語る 「現実は見た目とは違う」や レコードの間奏では ささやくように語られていた 「純恋」での言葉たちは、 TheCyoteBandサウンドに絡み合いながら通常のスポークンワー ズよりもさらにドライブが掛かり目に見えない壁をググッと登りつ めていくようだった。 誰もが望んだこの世界 張り巡らされたアミにこんがらがっていながら、皮肉にも透明度 が増した世界。 戦後 はじめてメッキのはがれたいびつな裸体をさらす国家。 このガチな日常でえげつなくデタラメなコントを見せられても笑え ない。 ありとあらゆる事を計りに乗せて文明を食べ散らかした。 不都合な事は闇へ葬り、都合のいい事だけがはびこり、嘘がま かり通り、真実は書き換えられる。 狂気に冒されてしまう前にさようならを告げようか? めまいがしそうなほど憂鬱な世界に目を逸らさず、新しい人と人 の関わり方、そして人と物の関わり方を見つけ出せるのでしょう か!? その日から9日後の早朝、父親は静かに息を引き取り、 この世を去った。 葬儀を終え、再び元の日常へ戻る。 まだ実感がわかない。 人がひとり亡くなるだけでこの世界は決定的にバランスを欠くこと を経験上知っている。 まるでこの世界の所々で人型にぽっかりと穴が開いている様に 感じる。普段の人間関係も通常の判断力もどこかネジが外れて しまってる感じだ。 見知らぬ一日がまた通り過ぎていく。 そして物語はまだ続いていく。 もう二度と会えないあなたが残していったぼくは、 異常事態であるこの世界で忍び寄る優しげな闇を視界の片隅に 捕らえながら、いつものように振る舞い、目の前の仕事をこない ていく....。 どうもありがとう、佐野元春&TheCoyoteBand そして、ぼくのお父さんに 深謝......。 |