BEATCHILD
1987/08/22 グリーンピア南阿蘇
10代最後の夏、僕は友人と中古車(ビートル)に
乗り込み曇り空の下、下関から九州へと上陸した
土曜の午後の黄昏時に幕は明け、その翌日の夜明けまで
そこにいた者の全てが気紛れな山の天気に左右されながら
でもやはりその殆どは、どしゃぶりの雨の中で決行された
佐野元春、尾崎豊、ボウイ、ブルーハーツ、岡村康行
白井貴子、渡辺美里、他、”ビートの子供”の名の
もとに、大雨にうたれながら唄った参加アーチスト達
中でもそう、最も雨にうたれていた尾崎豊に至って
はステージ上の水溜まりに、唄いながら時折走り出し
手を広げヘッドスライディングするような始末だった
尾崎は全身を雨にさらし、遠い空を何度も見上げていた
8万人近くつめかけたファンの陣取る山の緩やかな斜面は
どろどろにぬかるみ、気づいた頃にはもう裸足だった僕は
コンバースの靴を片方、何処かに流され失くしてしまった
夜明け前、佐野元春を除く全てのアーチストの演奏は既に
終わっていた・・・、東の空一面を覆っていた巨大な雨雲が
左右にちりじりに別れ出すと、客席から誰からともなく
拍手が湧き起こり、その拍手の波は会場全体に広がって行く
そしてこの偉大な馬鹿騒ぎの幕を降ろす為に、彼は現れた
彼は”アンジェリーナ”を唄い終わるとこんな風に言った
『ここにいる皆は最高に素晴らしいよ、有難う・・・』
大歓声の中で彼は更に唄う『朝が来るまで君を探している』
『あの光の向うにつきぬけたい、闇の向うにつきぬけたい』
ステージの上にはいつものハートランドのメンバーの他に
(芥川賞を受賞する以前の)辻人成の姿も見えていた・・・
・・・
年々、僕の記憶は薄れている、それでも幾つかの場面は
鮮明に憶えている、そう、こうして時々フラッシュバック
のように映像が浮かんでは、また瞼の奥に消えて行く
この10代最後の夏の日を、僕は誇りとし胸にしまい、今も
生きる糧としています ”DANCE WITH WOLVES”柴口勲
(DANCE WITH WOLVES )
Tue, Feb 3 1998 00:06:38 JST