「月と専制君主」クロスレビュー
“オフィス北野の最終兵器”、または“お笑い界のアクロス・ザ・ユニバース”の異名をもつコメディアン&ミュージシャンのマキタスポーツ。彼と元春の対談が雑誌『週刊SPA!』(2011年3月15日号)の「エッジな人々」に4ページにわたり掲載され、「お笑い」「モノマネ」という域を超えた表現者として、元春と充実した対談が繰り広げられた。
その後、自身のブログで「マキタ、佐野元春さんと対談!」というエントリーを掲載されたが、その内容がとても的確かつ独特な視点による「佐野元春論」となっている。さらに文中では『月と専制君主』は登場しないものの、この作品に対する論評として読んでも不思議と成立する内容となっているので、特別にここに一部を引用して掲載する。全文はブログ「マキタ学級日誌」で読むことができるので、ぜひこちらにもアクセスしてみてほしい。
マキタ学級日誌 | 20110310 マキタ、佐野元春さんと対談! マキタスポーツ ブログ「マキタ学級日誌」より一部抜粋
“それにしても佐野さんは凄いよ。だって、俺なんかと話にくるんだよ。どんだけ「おもしろがり」なんだよ。つまり貪欲で、自分に厳しいプロなんだよね。俺みたいな小物からも吸収しようとか、ファンを裏切ってやろうとか。もっといえば、媒体は音楽誌じゃやない一般誌なんだから、そこで新たな層と出会おうとする意思があるってことは「王者の好奇心」がバリバリにある、つまり「売れる気満々」なんだよ。格好いいよ本当。大将なんだよね、いろいろ背負った。
英雄は誰にも指図されない替わりに孤独を引き受けるわけだけど、基本は「王者の好奇心」の火を絶やさないことだと思う。だからトップでいられる。
「僕はどんなリーダーにも従わせない側にいたい、そのリーダー達が怖がるような存在でいたい」
この佐野さんの言葉、俺大好き。
「友達にはなりたいけど、僕は誰にも従わないし、誰も従わせたくない」って意思を貫くには相当なタフさと、勘の良さ、知性と芸を持ってないとダメだ。じゃないと、あっという間にはじかれちゃうだろう。だから雲上から”降りて来て”までも、自分の才覚でデータを取ろうとする。楽な方を取らないんだよね。腕はあるけど、楽な方へいくミュージシャンはいっぱいいるけど、佐野さんは世界に一人だけで、佐野さんの周りは「外部」だらけ、だから強いんだよね佐野元春って存在感は。日本に類する人がいない、独立した存在だよ。まさにインディヴィジュアリスト!その調子だぜ!って感じ。”