イントロダクション
ある夏の午後のことだ。
ブルーバードはアップにした髪をピンで止めながらプールサイドを
歩いてきた。
「こんな風にまた会えるとは思わなかったよ。」
彼は水面から上半身を出してブルーバードに軽く手を振った。
ブルーバードは何も言わず水面を足のつま先でつついて、笑った。
プールサイドに腰をかけた。
10秒間位沈黙があって、ブルーバードは話し始めた。
「あなたはまだ信じているのね......。」
最初彼はブルーバードの言った言葉の意味がわからなかったが、
やがてそれは、彼がつい最初発表した新作レコードについてのこ
とだと気づいた。
「君の言いたいのはつまり、僕の甘っちょろい退屈なセンチメンタリ
ズムのことだろ。」
「現代の恋人達には通用しないわ。あなたの作る歌って、まるで...。」
彼女はタオルの下に隠れてしまっているタバコをさがしているようだ
った。「まるであったまっちゃったストロベリー・ムースみたいで......、
少なくとも私達にとっては何も価値もないものだわ。」そう言い終わっ
た後、彼女は小さくため息をついた。
「考えすぎさ、ブルーバード。君も僕も二人も出発点は同じだった
はずだろ。」
彼は照りつける太陽の光を片手でさえぎりながらうつむいている
ブルーバードを見た。
夏の強い光線がどんどん二人の距離を離していくように思えた。
いつのまにか彼は、自分の新作レコードに納められているいくつか
の曲について、とるに足らない弁明を彼女にくどくどと話しはじめ
れいた。ブルーバードは次第に心が空っぽになっていくのを感じた。
自分に話してくれている彼の話の半分も聴きとれなくなっていた。
ただ、「年相応の笑顔で、かかずらわっている日常を笑いとばす
ことのできる勇気」という言葉だけは、彼女の心に結び目を作った。
彼の弁明はまだ続いていた。
一瞬、日が陰った。
ブルーバードは細くて美しい肢体をまっすぐに伸ばして軽くジャンプ
した。
空中に弧が描かれた。
プール全体に青い波紋が広がった。
シュガータイム
words & music 佐野元春
Dance! Dance! Dance!
素敵さ Baby
Dream Dream ファンタスティック
Dream tomorrow
そばにそっといるだけで
永遠の恋を感じてる
Baby I need your love
I need your love
いつでも いつも Mad love
Rock! Rock! Rock!
Rock me baby
Step Step 傷ついたって
Step tomorrow
淋し気に振り向かないで
そんなにまで もうしょげないで
Baby I need your love
I need your love
いつでも いつも Mad love
何かが間違ってるのさ
いつの頃からか
君の瞳に映る Tiny rainbow
消えかかりそうな
Do you remember あの時の二人
Do you remember あの日の輝き
Jump up baby,common
忘れないで
Dance! Dance! Dance!
素敵さ Baby
Dream Dream ファンタスティック
Dream tomorrow
Everybody ひとりだけじゃ
Everybody 闘えない
Baby I need your love
I need your love
いつでも いつも Mad love
何かが間違ってるのさ
いつの頃からか
君の瞳に映る Tiny rainbow
消えかかりそうな
Do you remember あの時の二人
Do you remember あの日の輝き
Jump up baby,common
忘れないで
Rock! Rock! Rock!
Rock me baby
Step Step 傷ついたって
Step tomorrow
Everybody 振り向かないで
Everybody もうしょげないで
Baby I need your love
I need your love
いつでも いつも Mad love
ハッピーマン
words & music 佐野元春
Young & Free
I'm just a Happy Man
アスピリン片手のジェットマシーン
そんなに乱れて Honey 何を企んでるのか
Tell me, Tell me
Swingin' my soul
I'm just a Magic Man
タフでクールで そしてヒューマン・タッチ
まともな暮らしが苦手だと 誰もに言われている
Shout Shout Shout,my friend
お前のトーチライトで 夜を照らそう
Shout Shout リズムはそのまま
吠えつかれたら 抱きあって
Dream together
Young & Free I'm just a Happy Man
カシミアのマフラーに イタリアン・シャツ
仕事も適当に みんなが待ってる店まで
Hurry up,Hurry up! Swingin' my soul
I'm just a Magic Man
街角にたたずむ ピンナップ・ボーイズ
ただのスクラップには
なりたくないんだ Baby Baby,
Shout Shout Shout,my friend
お前のトーチライトで 夜を照らそう
Shout Shout リズムはそのまま
吠えつかれたら 抱きあって
Dream together
冷たい夜さ Ai Ai Ai
「気にしないの」と Big Fat Mama
世界中のインチキに Ai Ai Ai
Swingin' my soul, soul, yeah!
Young & Free I'm just a Happy Man
カシミアのマフラーに イタリアン・シャツ
仕事も適当に みんなが待ってる店まで
Hurry up,Hurry up!
冷たい夜さ Ai Ai Ai
「気にしないの」と Big Fat Mama
世界中のインチキに Ai Ai Ai
Swingin' my soul, soul, yeah!
Young & Free I'm just a Happy Man
Well,well,well,well,well,......
ただのスクラップには なりたくないんだ Baby,Baby
Shout Shout Shout,my friend
お前のトーチライトで 夜を照らそう
Shout Shout リズムはそのまま
吠えつかれたら 抱きあって
Dream together
ハニー・チェリー
疲れた心さえ
セクシーに Shakin' in the night
夜のメリーゴーランド
毎日が迷子のアクロバット
Marvin Gayeの 悲しげなソウルに
リズム合わせてゆけば
この街でまたひとつ誰かの
愛を失いそうさ
DOWN TOWN BOY
DOWN TOWN BOY
強がってばかりの Runaway
夜を抱きしめて
ここにもひとり あそこにもひとり
But it's alright
Yes he's a Down Town Boy
Maybe Baby ためらう素ぶりさえ
セクシーに Shakin' in the night
本当のものより きれいなウソに
夢をみつけてるあの娘
そんなに見つめないで
心わけあえられないなら
この街でまたひとつ誰かの
愛を失いそうさ
DOWN TOWN BOY
DOWN TOWN BOY
気どってばかりの Runaway
恋を抱きしめて
ここにもひとり あそこにもひとり
But it's alright
Yes he's a Down Town Boy
Boyfriend Girlfriend 大切な My friend
あの輝きは かえらない
いつまでも お前にキスしていたいのに
クレイジー・エンジン
ばらばらのロンリーを
すり抜けて Here comes the night
すべてをスタートラインにもどして
ギヤを入れ直してる君
オールナイト・ムービー
入り口の前では くわえタバコのブルーボーイ
たったひとつだけ残された
最後のチャンスに賭けている
DOWN TOWN BOY
DOWN TOWN BOY
センチメンタルな Runaway
明日からのことも
分からないまま 知りたくないまま
But it's alright
Yes he's a DOWN TOWN BOY
二人のバースディ
words & music 佐野元春
はじめて君が
言葉をくれた時
これから どんな事が
始まるのか わからなかった
流されそうな
街の生活に
試されては消えてゆく
夢といくつもの思い出
Be with me
Happy Birthday it's for You & Me
君にも踊れるさ
Happy Birthday it's for You & Me
Happy Birthday to you
Happy Birthday to you
Happy Birthday to you
夜が降りてきて
ひとりで淋しい時は
君への想いをこめて
歌にしてみるのさ
君のバイオリンは
これから先 二度と
聞けないような神秘的な
調べを奏でてくれた
Be with me
Happy Birthday it's for You & Me
君にも踊れるさ
Happy Birthday it's for You & Me
Happy Birthday to you
Happy Birthday to you
Happy Birthday to you
雨に濡れたフロントグラス
車のワイパー 見つめたままのミッドナイト
家路をたどるダークエンジェル
眠り続けてる からまわりのファイト
いつだって 誰もが誰かに
胸しめつけられて crying in the wind
Let's go to bed with you (tonight)
Babe Babe Babe
I believe in you
believe in you
I believe in you
風にゆれるレインコート
電話ボックス 見つめたままのミッドナイト
きれいな目をした街のブルーバード
ポケットで吠え続けてる 哀れなファイト
いつだって 誰もが誰かに
夢かきたてられて crying in the wind
Let's go to bed with you (tonight)
Babe Babe Babe
I believe in you
believe in you
I believe in you
サムデイ
words & music 佐野元春
街の唄が聴こえてきて
真夜中に恋を抱きしめた あの頃
踊り続けていた
夜のフラッシュライト浴びながら
時の流れも感じないまま
窓辺にもたれ
夢のひとつひとつを
消してゆくのは つらいけど
若すぎて何だか分からなかったことが
リアルに感じてしまうこの頃さ
Happiness & Rest
約束してくれた君
だからもう一度あきらめないで
まごころがつかめるその時まで
SOMEDAY
この胸に SOMEDAY
ちかうよ SOMEDAY
信じる心いつまでも SOMEDAY
「手おくれ」と言われても
口笛で答えていた あの頃
誰にも従わず
傷の手当もせず ただ
時の流れに身をゆだねて
いつかは誰でも
愛の謎が解けて
ひとりきりじゃいられなくなる
オー・ダーリン こんな気持ちに揺れてしまうのは
君のせいかもしれないんだぜ
Happiness & Rest
約束してくれた君
だからもう一度あきらめないで
まごころがつかめるその時まで
SOMEDAY
この胸に SOMEDAY
ちかうよ SOMEDAY
信じる心いつまでも SOMEDAY
いつかは誰でも
愛の謎が解けて
ひとりきりじゃいられなくなる
ステキなことはステキだと無邪気に
笑える心がスキさ
Happiness & Rest
約束してくれた君
だからもう一度あきらめないで
まごころがつかめるその時まで
SOMEDAY
この胸に SOMEDAY
ちかうよ SOMEDAY
信じる心いつまでも SOMEDAY
Everyday Everynight
その気持ちは いつまでも
忘れない 忘れられないさ
街灯り 流れてゆく
without your love
Neonlight Foggynight
振り向いたりしなければ
It's alright 心のままに
街灯り にじんでゆく
without your love
Maybe I'm a loser
Baby I'm just a dreamer
かまわないで 好きにさせて
Yes,I'm in blue
Maybe I'm a loser
Baby I'm just a dreamer
かまわないで 好きにさせて
Don't worry
行くあてが どこかに
ある訳じゃないけれど
ここにいる訳にもゆかない
街灯り 数えてゆく
without your love
Everyday Everynight
この気持ちは いつまでも
変わらない 変わるはずないさ
街灯り 抱きしめてゆく
without your love
Maybe I'm a loser
Baby I'm just a dreamer
かまわないで 好きにさせて
Yes,I'm in blue
Maybe I'm a loser
Baby I'm just a dreamer
かまわないで 好きにさせて
Don't worry
真夜中に清めて
words & music 佐野元春
愛は時をかけて
君を変えてゆく
生まれたての夢にまどろみ
暗闇の中を 手さぐりで
さまよい続ける
惑星のように
手をさしのべたら すぐに
こわれてしまうのは 淋しい
Lonely pretty boys
Lonely pretty girls
ため息をつく世界に
戯れたら
その傷だらけの翼 閉じて
愛の行方 見失わぬように
Midnight tripper
Midnight tripper
Tonight,Everybody
Midnight tripper
愛は時をかけて
君を変えてゆく
誰かの声が またひとつ
街のJazzに かき消されて
星の降りしきる
8月のバルコニー
君の型が見えない
君の姿がつかめない
Lonely pretty boys
Lonely pretty girls
ため息をつく世界に
戯れたら
その傷だらけの翼 閉じて
愛の行方 見失わぬように
Midnight tripper
Midnight tripper
Tonight,Everybody
Midnight tripper
Vanity Vanity Vanity Vanity
Vanity Vanity Vanity Vanity
オフィスの窓にもたれて
ブラインドを少しずらして
水曜日の夕暮れを
静かに吸いこむのさ
部屋の中ではルームエアコン
悲しげな音をたてて
遠くのどこかで 車のクラクション
Blue twilight
The Vanity Factory
1月の夜が静かに降りてくる
The Vanity Factory
間の抜けた街のジャズに合わせて
リズムをとるのは もうやめさ
No! No! No!
The Vanity Factory
Vanity Vanity Vanity Vanity
Vanity Vanity Vanity Vanity
手頃なバーを探して
不確かな恋に崩れて
ラムネ色の月影を
グラスに注いだ夜
夢にしゃべりかけてくるバーテンダー
受話器を 俺の前に置けば
ピアノのソロからすべりだした
"When Sunny gets Blue"
The Vanity Factory
1月の夜が静かに降りてくる
The Vanity Factory
この街の一角でさえ
抱きしめてやることもできず
No! No! No!
The Vanity Factory
Vanity Vanity Vanity Vanity
Vanity Vanity Vanity Vanity ...
たどりつくといつも そこには
川が横たわっている
それは いつか幼い頃どこかで
見たことのある川なのさ
夕べ 彼女は傷ついた小鳥のように
ここへ訪れた
そして 同じ夜明けを迎えたのさ
まるで昔のように
すりきれた思い出の古いレコード
雨に煙るメリーゴーラウンド
いたずらで描かれた誰かのイニシャル
車の中のロミオとジュリエット
たったひとつの夢が
今 この街の影に横たわる
でも今夜は思いっきりルーズに みじめに
汚れた世界の窓の外で
全てのギヴ&テイクのゲームに
さよならするのさ
Rock & Roll Night Rock & Roll Night
今夜こそ
Rock & Roll Night たどりつきたい
友達のひとりは 遠くサンフランシスコで
仕事をみつけた
友達のひとりは 手紙もなく今
行方も わからない
友達のひとりは 幸せなウェディング
一児の父親さ
そして 同じ幻をみつめていた
まるで子供のように
すれちがいの ありふれたコメディ
古ぼけた映画のポスター
オイルにまみれたモーターバイク
瓦礫の中のGolden ring
たったひとつの夢が
今 この街の影に横たわる
でも今夜は思いっきりルーズに みじめに
汚れた世界の窓の外で
全てのギヴ&テイクのゲームに
さよならしておくれ
Rock & Roll Night Rock & Roll Night
今夜こそ
Rock & Roll Night たどりつきたい
Rock & Roll Night Rock & Roll Night
今夜こそ
Rock & Roll Night たどりつきたい
街のブルーバード 今夜はひとりで
車を走らせてゆく
切なくて甘い思い出だけを
バックシートに眠らせたまま
ボロボロさ 誰かのレザージャケット
悲しげなタイヤの跡
優し気に眠る池の白鳥達
Good Night Sleep tight......
たったひとつの夢が
今 この街の影に横たわる
ずっとさきから街路樹に車を止めて
そして 静まりかえった闇の中に息をひそめてると
世界中で たったひとりだけ取り残された気がして
楽しかった思い出が 心を通り過ぎてゆく
街では清らかに唄う無邪気でSexyな天使達
ネオンの下で きっと夜が明けるまで
悪ふざけしてるのさ
フッと気づけば みんなこの街にのみこまれたプリテンダー
どんな答えをみつけるのか
どんな答えが待ってるのか
Rock & Roll Night Rock & Roll Night
今夜こそ
Rock & Roll Night たどりつきたい
Rock & Roll Night Rock & Roll Night
今夜こそ
Rock & Roll Night たどりつきたい
Hello Sun Child
Little Sun Child
目を覚ますまで夢の中
ひとりぼっちのSun Child
こんなに素敵な一日の光を
誰かの為に捧げるなんて
こんなに暖かい一日の光を
誰かに奪われてしまうなんて
Shu be do be dan
Shu be do be dan
Shu be do be dan dan
Hello Sun Child
Little Sun Child
目を覚ますまで 君のそばに
ひとりぼっちのSun Child
誰にも何も言わせない
功妙な約束事に
点滴されるまでもなく
プラグをショートさせる
無名のおまえたち
虹色のオーデコロンよ
夜明けごと熟れてゆく
おまえの果肉
混乱の中身は
装いなんだ
結局
感情的にメイクアップした
愛すべき ならず者たち
刺激してくれるものすべてが
お前の神だ キスを続けろ
ように を
ように でないところ
へ 行くしかないじゃ
ないか
東洋人風にふるまう
おまえの―ism
は装いも新た
おれを
街のペットにするつもりだな?
その夜は非常な勢いでさめていった―時間の槍が今まで頑固に
口を割らなかった綱渡り芸人の首をつるしあげると今度はあんぐり
口を開けたトラがオリの中で寝そべっている......「うわさの誰々」は
君だと信じ込ませるのは君の「育ての親」、夕食に誘い例えばおく
れてきたのか走り去っていったのかこの店のボーイは警戒心が強
いだとか......スープがさめる前にてっとり早く実は答えなどないことを
言いたがっている
次の所見を至急テレックスで送れ 必ずだぞ
あの審査員の頭をなぐるつもりはなかった
ガラス窓をこなごなにするつもりはなかった
ドアノブばかり見ていたら気が狂いそうになった
奴等が床に投げだしたバラの花束を
踏み越えてゆくことはできなかった
せっかくの料理にけちをつけるつもりはなかった
友達でないそぶりをするつもりはなかった
TKO J-84007 Disconnected
まるでどこかの詩人がやるように北回りの船に乗り座礁に乗りあげ
近眼の目で星を探す―不吉な感じにゆがむ水平線をどうにかまと
もに見えるようにキャンパスにでっちあげた画家は今街で評判になっ
ている......飾り窓の向こう、君からは見えにくいが同じテーブルで賭
けをしているのは正直なペテン師だ、安心しな、開放しな、命令はさ
れるな。とんだところでワインをこぼしてしまった、君のクツの中、石こ
ろがつまっていると教えてくれたウェートレスに良い年が訪れますよう
に、あのかわいいくるぶしがもう一度みられますように、ソーダ水を運
ぶ時つまづいたりしませんように、終電に間にあいますように、そして
彼女のそばにいつもいてあげられることをどう言ったらいいか頭を抱
えている僕の立場もまた同じだ。
純真な部屋の
3番目のドア
を
開けると
小さな処刑台の
ような 洗面台
があって
導かれるまま
に
すわらされると
「シャンプーの時間です」
と 彼は
かなり強い指使いで
「他にかゆいところは?」
と 一度ならず
二度までも
メイド・イン・ジャパン
エキゾティックに
ため息をつく
川のほとりの
モダンな 工場
クリーニングされた
1日8時間労働
ユキオは磁気
をチェックする
離婚
を
考えている
彼女の夢の色は
世界中の
どんな
画家にも
描けない
彼女の
夢のプラネット・ウェーブ
は
世界中の
どんな
天文学者にも
測れない
彼女の
夢のメロディー
は 世界中の
どんな
ミュージシャンにも
奏でられない
久しぶりだった
彼女が夢に
満足したのは
僕はいいシャツを持っていない
僕はいいパンツを持っていない
僕はいいブーツを持っていない
僕は誰れかが忠告してくれるとおり
落ち着きのない 飢えた 気分的な男だ
ジャムした 真夜中に 街路で
ジャムした 真夜中に 街路で
ジュンは気狂いドラマーのガールフレンド
で 「かくれ家を持つのは何てステキなこと」と言った
古くなったレコード
魂のおもむくまま演じたバレリーナの恋人
役
毎週土曜日に送られてくる福音の贈りもの
も 彼等にとっては
失くしがたい宝物 のようなもの
オルゴールのひき出しは
今もいっぱいだろうか
むしろ「取るだけ取って決して与えない」人達のことを
語るべきだ
財産を守ればいいだろう
なわ張りを守ればいいだろう
明日を守ればいいだろう
それはレストランで食事をすることより
簡単なことだ
夜がさびしいメトロノームのように
街をうろつきまわる時
僕はきまって
彼女のブロンタレイのレモン・ソープみたいな言葉使いを
想いだしてしまう
それはとてもいい香りだ 草の芽だ
満月を待ちながら
僕のタイプライターの傍で
ひっそりとたたずむ
聖なるデザインだ
彼女がコインランドリーのことを話してくれて うれしかった
彼女がオニオン・スープのことを話してくれて うれしかった
だから許可もなく
冷蔵庫に ほうり込まないでくれ
さがしたり 見つめたり あたためたり
しないでくれ
おそらく 君のコトバは
君自身と向かいあう時
いちばん悲しい形となって 床に
こぼれ落ちてしまうものだから
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