ハートランドからの手紙#174 |
掲載時:2005年1月7日 掲載場所:MWSクルーに宛てたメール 掲載タイトル:MWS10周年、おめでとう |
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謹賀新年 2005年、本年もよろしくお願いします。 一見スマートに水上を滑る白鳥たちも実は水面下では滑稽なまで懸命に足ヒレを動かしている。 MWSが10年という耐久力をもって年月を経たことの意味を、今僕たちは知ろうとしている。インフォメーション・エイジの黎明期に立ち会った僕らは何と幸運だったろう。 MWS発足当時からあったスローガンの中で、僕がもっとも好きな一文はこれだ。「MWSは、日々革新するテクノロジーに対応して、インターネットの良い可能性に向けて有意義な実験の場でありたい。」 この精神が今のMWSを育んだ。 1995年、MWSはどこよりも早く、「コミュニティをベースにしたアーティストのネットワーク」というコンセプトを提示した。口で言うのはたやすいが実践を通じてやり抜いていくためには相当な根性がいったにちがいない。 MWSが開設10年目を迎えた今年、僕は「耐久力」という言葉を使ってみたい気がする。 僕らの生活の表層で流れていく刹那の風景の中にあるふるまい、ではなく、僕らの精神の奥底に広がる普遍の荒野に解き放たれた希望の力。僕はそれを「耐久力」と呼んでみたい。 僕の好きなバディホリーの唄に「Not fade away」という曲がある。ザ・ローリング・ストーンズのカバーもまあまあいいが、ぼくは断然オリジナル、バディホリーのレコードの方がカッコイイと思っている。 開設10年目を迎えたMWSに、僕からこの曲を捧げたい。 「Not found」ではなく「Not fade away」。「Not fade away」とは、真の耐久力を保つために、ネットの荒野を往きながら携えたい精神の一つ。ロックンロールのエッセンス。この曲がそれを教えてくれるはずだ。 そしてMWSを支えてくれるコミュニティのみなさん。MWSは僕の音楽を聴いてくれる有志のみなさんによって建てられた建てものなんだと思う。改めてどうもありがとう。 今を楽しもう。 MWS10周年、おめでとう! 佐野元春 |
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