'97.8.23 -4-
文・写真:及川 毅


 16:00、開場。BRITZ前に溢れていた客が徐々に開場に吸い込まれて行く。今日の客層は女の子が多い。出演バンドのブッキングはそういう傾向にあったようだ。
 16:14、佐野氏現れる。今度はRealVideoのエンコーディング状況を確認してもらえる状況だ。トランス・コスモスの技術者が佐野氏に「音声重視にするため、画像のフレーム数を絞ってます」と説明。意を得たり、というように大きく頷く佐野氏。そしてサーバ上でエンコーディングされたデータを、一旦回線を通してから米田のThinkPadにてモニタリング。画面には現在のリハーサルの様子がライヴで映っている。それを目にするやいなや「ワーオ!!」佐野氏が小さく叫ぶ。そしてモニタ用ヘッドフォンで音声のチェックに入る。「スレッショルド下げて、オーディエンスノイズをもう少し上げて」具体的な指示が飛ぶ。いよいよ本格的に、ライブ中継準備が整った。
 16:29、「THIS! '97」のロゴを担当したデザイナー氏が訪れる。そして、MIPSのメンバー、今野もやってきた。これで本日のMIPSスタッフが全員集結。
 16:32、佐野氏が何やら呟きながら、現れる。「なんか、山とか谷とかないと。こんな順調じゃ、スリルねぇんだよなぁ」。確かに致命的なトラブルは今の所起こっていない。佐野氏の発言は、むしろ信頼の裏返しともとれる。
 16:34、突如雷鳴が轟く。かなり大きく、近い。皆、驚く。そして大粒の雨が降り出してきた。FUJI ROCK FESTIVALを見に行き台風に見舞われた男、今井が苦笑する(筆者も同様)。
 16:47、開演が近づく。MIPSスタッフの間から、目に見えて私語が減る。
 16:50、道向が室内の電灯を切る。LiveVideoデータの配信、この時点で開始される。オンライン上では今からが、ライブ中継のスタートである。
 16:58、トライセラトップスの面々、楽屋裏カメラ前で撮影タイミングに合わせていろいろとポーズ。ノリは完全にプリクラである。
 17:00、Booker T & The MG'sの「Green Onion」が開場に流れる。いよいよ、THIS! '97のスタートだ。森本がその旨をチャットボードに書き込む。この時点でチャット参加者は11人。福岡からの参加者も見える。
 17:02、佐野氏ステージに登場。会場が一気に沸く。今日はMCとしての登場だ。佐野氏が観客に言う。「今日のこのライブは、インターネットを通じてWorld Wideに流れます」。
 17:06、トップライナーの、SUPER BUTTER DOG登場。RealVideoサーバ上でも、少し荒いがステージの模様は伺う事ができる。チャット上では森本による曲目紹介がされる。
 中継の音質はどうだろう。「がめ」さんから「28800bpsだと、音楽にならない」ので、Netscapeを切って、なんとか聞けるようにしているとの報告がチャットに記入される。転送レートは19.0kbpsだそうだ。遠藤は、Web上のTHIS! '97特設ページの掲示板に、「バナーはサーバ側で止めました」と報告している。どうやら負担を最小限に抑えるための工夫らしい。
 「toyohiro.M」さんからは「音質が全然良い!!」との報告だ。以前、SUGIZOのネットワーク中継があり、それと比べて、とのこと。
 RealVideoの映像はアナログの段階でスイッチングされているのだが、エンコーディング時のコマ数が少ないため、頻繁なスイッチングは避けざるを得ない。鈴木が苦労している。
 サーバは特に問題もなく機能している。32kbps以上用のデータは平均45bps、フレームレートは秒間4フレーム。音声は16kbpsにて配信されている。

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