佐野元春はまったくもって厄介で、人騒がせで、しかしユーモアのセンス溢れるアーティストである。
例えばアルバム『SOMEDAY』に収録されている「ダウン・タウン・ボーイ」などは、アナログの7インチ・シングル盤とはアレンジが異なっているし、その他の楽曲でもアレンジが違っていたり、ヴァージョンが違っていたりすることがしばしばある。
「シュガータイム」もそう。オリジナル・ヴァージョン、つまりアルバム『SOMEDAY』に収録されているヴァージョンではサビのあとで“I Need You”と囁いているが、7インチのアナログ盤シングルと『NO DAMAGE』に収録されているヴァージョンでは“I Love You”と言っている。
もちろんこれが佐野元春の気まぐれからくるものなのか、ファンへのサーヴィスなのかはわからないが、ただ一つ明確に言えることは、彼が普通のアーティストにはないユーモアとウイットに富んでいるということである。