◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ MIPS  PRESENTS ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆                     ◆◆◆◆
◆◆◆◆    ノージのSmall Town Talk      ◆◆◆◆
◆◆◆◆                     ◆◆◆◆
◆◆◆◆  佐野元春 and The Hobo King Band   ◆◆◆◆
◆◆◆◆   〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜   ◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
                       Vol.3 <1998.1.29>

======================================================================
★ Information from MIPS ★
○ 「THE BARN TOUR '98」で活躍する楽器に焦点を当てた企画「Instruments
   Tour」。バンドのこだわりを感じるページをのぞいてみよう!
   http://www.moto.co.jp/TheBARN/live4.html

○ インターネット上に展開された、佐野元春の音楽を応援する有志たちの「佐
   野元春Webサイト」を一挙紹介。
   http://www.moto.co.jp/OnTheNet/MotoSites.html

※ その他詳しくは Moto's Web Server  で!
======================================================================


======================================================================
★ ノージからのごあいさつ ★

 いやぁ〜、メール遅くなってすみませんです。
 ライブとかグルメとか忙しくて、あと本業の原稿の〆切もいっぱい抱えたまま
旅立ってしまったもので……。モバイル・ライフはどこにいても仕事ができる
点は便利だけど、どこにいても原稿の催促がせまってくるところが不便ですにゃ
あ(泣)。

 佐野元春&The Hobo King Bandの“旅”が、いよいよ浜松公演からスタートし
ました。すでに東京近郊5公演を終えているものの、やはり団体行動の醍醐味は
全国ツアー!? 早くも“オトナの修学旅行”って感じです。エッチな意味ぢゃあ
ないよっ。
 というわけで、このSTTもいよいよモバイル発信ですよ。インターネット馬券師
・KYONさんも、ホテルにチェックインしたとたん電脳投票の準備にとりかかって
いる模様。
 本日は、浜松&京都公演の模様などをお届けしましょう。

■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■本日はギター祭り!! (1月23日・浜松アクトシティ)
■これが佐野元春 and The Hobo King Bandだ'98!!(1月25日・京都会館)
■“楽屋ロック喫茶・Hobo King”最新プレイリスト(解説つき)
■今週のセンパイ
■メールください!
-----------------------------------------------------------------------

■本日はギター祭り!! (1月23日・浜松アクトシティ)-------------------

 「これだけ楽器のない楽屋も珍しい」
 といわれるHKBですが、それは佐野さんも言っているように“お楽しみは本番に
とっておく”という精神のあらわれ。

 しかし、この日はたまたまコロちゃんがガットギターをつま弾いていた。京都
・磔磔でのセッションで演る曲を選んだりしつつ、スパニッシュ奏法で弾きなが
ら「スペインからやってきました、ホセでーす」とか言ったりして遊んでいたの
だった。

 とはいえ。“遊ぶ”といっても、最高のライブは“うまく楽しく遊べた時”に
実現したりするバンドなわけだから。今になって思えば、この楽屋でのつま弾き
が、その後におこなわれたライブの“前兆”だった……?

 とにかく、わたしが思うに、浜松は“ギターDay”だった。
 初日からここまで毎回ライブを見てきて、いつも違う風景が見える。演奏され
る曲はほとんど同じなのに、いつもまったく別の場所に連れていかれるような気
分になる。で、その日によって、バンドの先頭を走るひとが変わっていくように
見える。

 とりわけベースがバリバリに響いてくる日もあれば、キーボード同士のかけあ
いがコンサートの流れの主流を作っていると感じる日もあるし、炸裂するドラム
スのビートがバンド全体のグルーヴを支配していることを体感する日もある。実
際はそれぞれ全員が、それぞれの瞬間に先頭を走ったり追い抜かれたり……と絶
えずデッドヒートを繰り返しているのだけれども。

 それでも、コンサートが終わった後に「今日のMVP」的な存在がぐーんと強烈な
印象を残すことがある。

 無敵の強さを誇るチームプレイを見せつつ、そのなかでは個性的な選手たちが
互いに本気で競いあっている。今のHKBは、そんなふうに見える。つまり、ひとつ
のバンドの中に団体競技と個人競技が同居しているような……。

 “フルーツ・ツアー”の時は、観るたびにバンド全体が“最強チーム”をめざ
してぐんぐんパワーアップしていく様子が楽しみだった。
 けれど今回は、“最強チーム”としてスタートした彼らが試合ごとに見せてく
れる鮮やかなフォーメーション・プレイにハラハラしたりドキドキしたりニマニ
マしたり……てな感じで、わたしは心の中で勝手に実況中継をしながらゲームの
行方を楽しんでいる。で、こそ“STT”こそが“心の実況中継”の再録だったりす
るわけですよ。

 今日のMVPは、誰がなんと言おうと佐橋佳幸だった。
 彼のプレイが多くの場面で“発火ポイント”になっていたこと、本人もステー
ジ上で実感していたみたいだ。
 切り込み隊長のコロちゃんが張り切れば、“ギター・チーム”全体がグングン
と加速していく。佐橋のフレーズに、絶妙のタイミングかつ正反対の“口調”で
応えるKYONのギター。荒々しかったり繊細だったりと、表情豊かなリズムを刻む
佐野のギター。

 井上・小田原コンビが強靱なビートをうねらせようとも、西本・KYONコンビが
重厚な連弾プレイで攻めようとも、この浜松でのステージの“舵”をとって
いたのは佐橋・KYON・佐野のギター・チームだった(ひとり、2チームに参加し
ているヒトがいるけどね)。

 The Hobo King Bandの“ギター・バンド”としての強さ、あらためて思い知ら
されちゃったなー。

 とりわけアコースティック・ギター3本が熾烈にからみあう「マナサス」のス
リルといったら!! 観るたびにどんどんストーリーがふくらんでいく不思議な曲
だ。演奏する側にとっても「演るたびにどんどんスゴくなっていく不思議な曲」
だそう。
-----------------------------------------------------------------------


■これが佐野元春 and The Hobo King Bandだ'98!!(1月25日・京都会館) --

 彼らがステージに登場した瞬間から、ただならぬテンションの高さが伝わって
きた。

 なんて書くと、いかにも紋切り型の表現に見えてイヤなんですけど。

 オープニングの瞬間から、「わ、きたきたきたーっ!!」と思った。前々日の浜
松公演でコロちゃんが自分のギター・プレイに関して、「やろうと思ったことが
ことごとくうまくハマッた」と語っていたけれど。この日はたぶん、メンバー全
員が同じようなことを感じていたんじゃないだろうか。

 とりあえず、今の段階でもっとも完璧に佐野元春&The Hobo King Bandらしい
“カタチ”を描いたライブだったなと思う。
 疾走感も、不揃いな凸凹感も、観客を楽しませる精神も、自分たちがめいっぱ
い楽しんでしまう余裕も……すべてひっくるめて、Very Hobo King。そして、Very
 佐野元春。

 これだけサウンド・スタイルが変化し、このバンドとしての真新しいアイデン
ティティをひっさげてのツアー。10数年間にわたってザ・ハートランドとのライ
ブ・パフォーマンスを見慣れてきたファン(←もちろん、わたしも含めてね)に
とっては違和感あってしかるべきなステージのはずなのに。
 実のところ、わたしがずーっと待ち続けてきたのは“今、ここにいる佐野元春”
なんだという気がしてならない。

 コンサート終盤、「アンジェリーナ」で会場のテンションが沸点に達する。

 この場面は、今の佐野元春を語るうえでとても象徴的なものに思える。The
Hobo King Bandが誇らしげに奏でるイントロダクション。それは、まぎれもなく
前半で演奏された新作『The Barn』のグルーヴの延長線上に存在している。そし
てなおかつ、この曲に佐野が生命を吹き込んだ瞬間のみずみずしい躍動までもが
1998年的なスピード感で体現されている。

 懐かしい“元春クラシックス”を聞くたびに、それらの曲を書いた頃の佐野元
春の姿を想像してしまう。それは目の前で歌っている佐野から伝わる情熱のせい
でもあり、その情熱をまっすぐに受け止めて完璧な形で表現することのできるHKB
のワザとパワーのせいでもある。

 「本当にカッコいいよね、今の「アンジェリーナ」。なんか、曲自体が“ルー
ツ返り”しているような……そんな感じもするよね」

 この曲を数え切れないほど演奏してきたセンパイさえも、そんなふうに言う。
 わたしだって、数えきれないほど「アンジェリーナ」を聞いてきたけれど。な
んか、この曲を書き終えた瞬間の佐野元春のあふれる思いがストレートに伝わっ
てくるような……そういう気持ちになったのは初めてのことだ。やっぱり、音楽
って不思議だね。ライブだけではなく、楽曲さえも“生き物”なんだなぁと思う。

 とにかく、京都でのライブは圧倒されっぱなし。
 テンションあがりっぱなしのHKBが、後半にはついに糸の切れたタコになってし
まった。

 うむ、これでこそ佐野元春&The Hobo King Band。
 会場のウッディな雰囲気も、今の彼らにぴったりとはまったのかな。わたしは
といえばレポーターとしての役割を忘れて、けれど音楽ファンとしては最高の開
放感を堪能することができた次第。

 で。正直なところ、ライブが終わった時点で燃え尽きてしまいました。で、何
も言えなくなってしまったのですよ。できれば、そのままベッドにもぐりこんで、
夢でもういっかい同じライブを観たい……と思ったくらい。そんなわけで、この
ライブに関してはうまく書けなくてごめんなさい。

 でも、彼らがここで全力を出しきって燃え尽きたと思ったら大間違い。
 いつも全力は出しきっているけれど、今の自分たちがどこまでスピードをあげ
られるか……彼ら自身がまだまだわかっていない。とりあえず、まだまだ燃え尽
きるわけにはいかないだろうってことは確か。
-----------------------------------------------------------------------

■“楽屋ロック喫茶・Hobo King”最新プレイリスト(解説つき)------------

☆『SWEET SEASON』SOY(ポリドール)
☆『SWEET16』佐野元春(m's factory/Epicソニー)
☆『ONE MAN DOG』ジェイムズ・テイラー(ソニー)
☆『KING OF ROCK'N ROLL』ボ・ガンボス(Epicソニー)
☆『WINGS GREATEST HITS』ポール・マッカートニー&ザ・ウイングス(東芝EMI)
☆『POPTOPIA'70's』Various(Rhino)
☆『Sugartime』EP
☆『SAFE AT HOME』Gram Parsons' International Submarine Band(SUNDOWN)
☆『DIG MY MOOD』ニック・ロウ(Demon/Sound Circus)

−解説−
 さあ、楽屋ロック喫茶もいよいよ本格的にネタが増えてまいりました。

 メンバーが旅のお供に持ってきたCDとか、あとは26日の京都・磔磔でのHKB
セッションの選曲用として聞いているものが多いです。今回の場合は。

 浜松の楽屋でトミーが、イアン・ゴムの「ホールド・オン」を歌いたいと言っ
たところ、その絶妙にして微妙な“はずし”のセンスが佐野さん含むメンバーに
大ウケ。浜松ではパブ・ロック話に花が咲き、どうせなら京都セッションは「パ
ブ・ロック・ナイト」にしようか……なんて話になったりして。

 そしたらKYONさんが「じゃ、オレは「クルエル・トゥ・ビー・カインド」を歌
おう」と言いだし、それを聞いていた佐野さんまでもが「あ、オレ、コーラスや
りたいよー!!」と、選曲ミーティングに乱入……。

 もりあがりましたー。もはや、ロック喫茶というよりも“うたごえ喫茶”みた
いになってしまいました。

 で。そんな話をしているうちに、みなさん次々と“急に聞きたくなった曲”が
出てきてしまいました。

 食べ物の話をしていて「あー、それ食べたくなっちゃった〜」と思う感覚と、
音楽の話をしていて「あー、それ聞きたくなっちゃった〜」と思う感覚って似て
ますね。

「じゃあ、買い出しに行ってきましょう」

 と、コロちゃん。
 浜松から京都へ移動する合間、大阪に1泊していたのですが。さっそくコロち
ゃんは、心斎橋タワーレコードへ。ノージもついていきました。

 そしたらなんと!!
 あろうことか、レジ横コーナーで“パブ・ロック”特集をやっているではあー
りませんか!! 「今どきパブ・ロックっつーのもねー」なんて笑っていたのに、
しかも「今どきイアン・ゴムとは!!」とゆってたらイアン・ゴムがダーッと並ん
でいるではありませんか。しかも、「クルエル〜」のセルフ・カヴァー入りイア
ン・ゴムの新作まであるではありませんかー。

 これはもう、パブ・ロックに“呼ばれた”としか言いようがありませんな。

 他にもカントリー・ロックの元祖、グラム・パーソンズがドーンと飾ってあっ
たり。なだか、「つまり、オレに買えってゆってるってことかぁ!?」みたいなも
のだらけ。

 で、結局は「なんだか、楽屋の“備品”買い出しみたいになっちゃったねー」
とゆーラインナップをごっそり買いまくったのでした。

 なので、翌日の京都会館の楽屋は充実してましたよ。CDが。
 佐野さんも興味しんしんのニック・ロウの新作は、シブいなたかったです。そ
して、イアン・ゴムの「クルエル〜」は、“ゴムゥ〜って感じ(泣笑)”(by
HKB)でした。
-----------------------------------------------------------------------

■今週のセンパイ-------------------------------------------------------

☆今週の金言
「ハーモニカホルダーにお弁当をつけたい」(at 浜松の楽屋)

 ステージで、センパイのキーボード上にお弁当をセットしておいて本番中も
ずーっと食べてるセンパイ……というのはどうだろう? というHKBの提案に対
する、センパイの回答。

                     ****************************


 ツアー始まって以来、人気めきめき急上昇中の西本明センパイ。
 しかし。どんなに人気が急上昇しても、いぜんとして遅刻王の座は誰にも譲り
ません。
 ホテルのロビーで、集合時間を10分過ぎたのでセンパイの部屋に電話すると…
…、

 「センパイ、何してるんすか!?」
 「ん? 今からシャワー浴びよっかなーと」

 なべマネやローディー正也によると、ハートランド時代から10年以上にわたっ
てずーっとそんな感じだそうです。

 なぜって、それがセンパイだから。

 生活習慣が変わらないということは几帳面といえますが……。ハートランド時
代、あまりに遅いセンパイを心配してホテルのマスターキーを使って部屋に突入
したところバスタブでグースカ寝ていた……という伝説もあります。朝ですよ、
朝。

 でも、それがセンパイなのだとゆーことが、ノージもだんだんわかってきまし
た。センパイは、ひとつの宇宙なのです。だから、地球のルールとは無関係の慣
習で動いているのです。そんなわけで、つまり“ミッチー星のミッチー王子”み
たいなものではないだろうかということになり、センパイのいない時にスタッフ
やメンバーで彼の新しい呼称を考えてあげました。

 殿下。

 確かに、優雅で物事に動じないセンパイのふるまいにはノーブルでロイヤルな
雰囲気が漂っております。でも、センパイが本当にロイヤル・ファミリーだった
らテープカットとか大事な式典にも遅刻するんだろうなぁ。
 ちなみに、センパイは“殿下”と呼ばれていることを知りません。
 はたして、この新たな呼称は浸透するでしょうか!?
-----------------------------------------------------------------------

■メールください!!-----------------------------------------------------


 旅先で、メールもらうのってうれしいです。浜松公演の日に「ようこそ浜松へ!」
というメールが届いていたり、これから行く場所のグルメ情報などを教えてもら
ったりすると、このSTTが本当に“インターネット文通”状態になってるんだなぁ
と楽しくなっちゃいます。

 しかし。いかんせん、返事を書く時間がないのだ。ごめんなさい。でも、もち
ろん全部ちゃんと読んで。感謝してます。

 さて。わたくしは現在、福岡におります。HKBのみなさんよりひと足先にひとり
で九州上陸させていただきました。
「先にぬけがけラーメンだけはするなよ」と、なべマネからキツく言われており
ますが……行ってやるう。
 つーわけで、次回は福岡公演の模様をお届けします。でも、もしかしたら、そ
の前に“号外”が届くかもしれません。

 そうなのよ、アレの話を書かなくちゃ。アレの話を。

 では、次号をお楽しみに!

By ノージユーコ from Nohji's Rock'n Roll Shop

=======================================================================
■ ニュースレターのバックナンバー入手先
   <<ただいま準備中!>>
■ ニュースレターの配信を中止したい方は
   stt-info@moto.co.jp
   まで氏名、メールアドレスをお知らせください

-----------------------------------------------------------------------
Copyright(C) 1998 Yuko Nohji. All Rights Reserved.
Copyright(C) 1998 Moto & Associates. All Rights Reserved.
このメールの内容を許可なく他に転載することはできません。
======================================================================