で! ======================================================================= ======================================================================= ★ノージからのごあいさつ★ こんにちは。今、わたしは神戸文化大ホールの楽屋におります。昨日、金沢か ら列車移動で神戸に到着しました。 さて。おととい8日の金沢市観光会館。 「復活しましたぁ!!」 と、ちっちゃいガッツポーズで楽屋入りした佐野さん。 横殴りの強風による吹雪という悪天候のなか、ツアー・チームより1日遅れで 金沢に到着。けれど、着いてすぐにコロKYONと“うどんツアー”に出かけるとい う元気な様子にホッ。 笑顔の佐野さんを見た瞬間、なんだかとってもうれしかったです。 まさに“そこにいてくれてありがとう”な気持ちでした。 2本のツアー延期で、他のメンバーやスタッフは“思わぬ休日”となってし まったわけですが。話を聞いてみると、その間バッタリと寝込んでしまった人も 多いみたい。でも、金沢では全員が元気をたっぷり取り戻して集合。 そして、その夜のライブのすごかったこと!! 終わった瞬間にノージもへたりこんでしまいましたがな。 「とろけるっすー」というコロちゃんの口ぐせを、この夜はノージもお借りし まくりましたよ。 ここ神戸に着いてからも、メンバーのみなさんは金沢でのライブ・テープを聞 きながら「みんなすごすぎて、困っちゃうくらい……」と興奮しっぱなし。 というわけで、佐野さんの元気な様子もお伝えしたいし、ここにきてネクス ト・ステップを踏み出しているThe Hobo King Bandの現状も一刻も早く教えてあ げたいので、あわてて京都でのライブ・レポートを書いて送ることにしました。 なわけで、楽屋話などなどはまた次の機会に……ということで。 では、これからライブを見てきます。 佐野さんは、今日も元気です! 今、わたしの5メートルほど先で、HKBと一緒に楽しそうにウォーカーブラ ザーズとかジュールス・シアーを聞いてニコニコ語りあいちゅうです。 (2月8日) ======================================================================= ■ CONTENTS ----------------------------------------------------------- ■ “復活”以上の変貌(2月8日・金沢市観光会館) ■ 楽屋ロック喫茶HKB・最新プレイリスト ■ メールください ----------------------------------------------------------------------- ■“復活”以上の変貌(2月8日・金沢市観光会館)----------------------- リハーサル前の楽屋の片隅。今年のインフルエンザの猛威について、小田原と 佐野が話しこんでいる。 「ま、ゆったりやりましょう!」 まだ病み上がりの佐野を気づかうように、小田原は笑顔で言いながら立ち上 がった。 「OK。そうだな、ゆったりいこう」 そう答えて、佐野はサウンドチェックのためにステージへと向かう小田原の背 中を見送った。 ステージに立った瞬間、彼は小田原の言葉を再び思い出していたのだろうか? 1曲めから、佐野がいつもより慎重に自らのペースをはかっているのが伝わっ てきた。 肉体が欲求しているペースよりも、少しだけ気持ちをスローダウンさせてい る。 でも、それはパワーを出し惜しみしているということじゃない。 むしろ、いつもとはまったく種類の違った大きなパワーを感じた。 今日の佐野元春は、むちゃくちゃカッコいい!! 自分でもびっくりするくらい新鮮な気持ちで、素直にそう感じた。 なんだか、初めて佐野元春のステージを見た人みたような気持ちに近いかも。 「うん。お客さんには、今日の佐野くんはものすごくカッコよく見えていたと 思うな」と、センパイ。 いつもの彼だったら、のっけからぐいぐいと加速させていく。いつもより調子 が悪い日には、あえて乱暴にテンションを急上昇させていくようなこともあった し……。 でも。この日の彼は、ほんの一瞬のあせりも見せなかった。 ゆっくりとゆっくりと。 じっくりとじっくりと。 テンションをあげるというよりも、心地よく巧みな低空飛行をジリジリと続け ていくことによってグルーヴを練り上げていくことに気持ちを集中していたよう に見える。 そして、バンドの面々は佐野の“今夜のやり方”をすぐに察した。 佐野がじっくりと丁寧に作りあげていくペースに、彼らもまた自らの肉体を合 わせていく。 その結果、The Hobo King Bandは今までに見せたことのないの新しいグルーヴ を披露することになった。 前半では、おそろしく忍耐強い低空飛行がジリジリと続いた。それは、単に高 度を下げているというよりは……もっとアクロバティックな、地面すれすれの場 所を巧みな技術で飛び続けるようなスリリングな演奏だった。 そして中盤から、彼は少しずつ高度をあげていった。本編がクライマックスに 達するころには、エネルギー全開。そこには誰もが期待する、爆発ギリギリまで テンションをあげていく佐野元春がいた。 けれども。いつもの夜とは違う。 どこかが違う。 そのテンションの高さは変わらないのに、彼らは明かにいつもとは違う場所へ と到達していた。 ケガの功名? 転んでもタダでは起きない? んー、なんて言ったらいいんだろう。 「逆境に強いのかな」と、終演後の佐野は満足そうな笑顔で答えた。 「よかったよね。今日は“オトナには、こういうこともできるんだぞ”ってラ イブだったよね」 と、トミーは言う。ちょっと誇らしげに。 最初の曲から、佐野が新しい方向性で進めて行こうとしているのを全員が気づ いていた。そして、そのペースに合わせていくことは彼ら自身にとっても心地よ い経験だったという。 クールでタフな、オトナの情熱。 そんな感じだった。 そして、たぶん佐野の意図する新しいグルーヴを成功させた“本日のMVP”は トミーだった。 彼と佐野とのやりとりが、このライヴの鍵を握る絶妙なペースを築いていた。 The Hobo King Bandが描く雄大の渦の中心点に、トミーがいる。彼の繰り出す 時間軸のなかで、他の5人がさまざまな場面を見せてくれたような感じ。 ゆったりとうねるように、けれど心地よく波に乗せたかと思うと突然ふり落と すような急旋回をやらかす……。なんたって元ルースターズってくらいの井上富 雄だ。めちゃくちゃに飛ばしまくる痛快感も知っている。しかし、足元からじわ じわとはいあがっていくようなクールな攻め型も知っている。そんな彼だからこ そ、佐野が意図するスピード感を本能で掴むことができたのだろう。肉体より も、ちょっとだけ気持ちをスローダウンさせる微妙な距離感が生むスリルをジリ ジリとキープすることができたのだろう。 この日の佐野の目論見は、トミーという司令塔があってこそ初めて成立したの だと思う。 佐野が何かを思いついたとき、無言のうちに適役である誰かが“司令塔”の役 を買ってでる。そんなことの繰り返しで、このバンドは本当の“バンド”になっ てきた。つくづく、おそろしいほど素晴らしい顔ぶれが揃ったバンドだなぁと思 う。 佐野のライヴ・パフォーマーとしての評価を決定的なものにしたのは、押して 押して押しまくる情熱的なロックンロール・ナンバーの数々だった。常に肉体を 限界まで酷使して、燃え尽きるまでシャウトする。そのスタイルに影響を受けた ミュージシャンは数知れず、佐野は日本のライブ・パフォーマンスにおけるもっ とも重要な“基準”になっとさえいわれる。 けれど。この夜の佐野は“押し”ていくのではなく、むしろ“引き”の力を見 せつけた。 ステージと客席との“綱引き”みたいな激しいせめぎあいではなく、彼のほう から挑むことなく観客を静かに、しかし確実に引き寄せてしまう強い力。 「メンバーがそれぞれ何をやっているのか。今日は、演りながらいっこいっこ 全部見えたからね。それがすごくよかったし、気持ちよかった」 と、センパイもうれしそうに言う。ステージ上はあまりにも多くのことが起こ り続けているので、互いの演奏による“会話”を最初から最後までじっくりと楽 しむ余裕はないという。けれど今回は、自分以外の誰かと誰かが話している“会 話”にも耳を傾けることができた。それが、結果的によりガッチリと固い絆の生 まれるきっかけになったようだ。 これまで灰になるまで燃え尽きるようなライヴを繰り広げた後で、佐野が「今 日はすっかりお客さんにノセられちゃったね」と言うのを何度か聞いたことがあ る。たしかに観客のほうがウワテで、佐野のテンションを引っ張りあげていくラ イブもあるのだと思う。 でも、この夜のステージは完全に佐野のほうがウワテだった。観客よりも、 TheHobo King Bandよりも、佐野のほうがぐんとウワテだった。 「いいライブだったよねぇ」 その夜、いったい何人が同じことを言っただろう。メンバーもスタッフも含め て、誰もが自分の役割を無事に終えたこと以上の充実を感じていた。ふだんは送 り手側としての仕事を果たすことで精一杯の彼らが、心のどこか片隅で“受け 手”である観客の感じた幸せな充実感を共有することができた。そんなライブ だったのかもしれない。 「あー、見てぇよ〜。The Hobo King Bandのライブ!!」 という発言も、たびたび耳にしたのだが……。 こんなにもThe Hobo King Bandのライブを見たがっているThe Hobo King Bandを見たのも、初めてだった…………。 「何がどうしちゃったんだろ、ひとりひとりがみんな違ってる。第2段階に 行っちゃったね…」と、あらためてライブの録音テープを聞いた後でセンパイが 言った。 「もしかして、我々はまたすごいところに来てしまいましたかね……」と、う れしそうにコロちゃん。 さて。このあと、果たして何がどうなっていくのか!? お楽しみが、また増えましたね。 ----------------------------------------------------------------------- ■ 楽屋ロック喫茶HKB・最新プレイリスト -------------------------------- ☆佐々木功『G.I.ブルース』(コロムビア/Pヴァイン) ☆ジャクソン・ブラウン『The Best Of Jackson Browne』(Elektra) ☆トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ『Greatest Hits』(MCA) ☆ビリー・ジョー・シェーバー『Old Five Dimers Like Me』(Sony/KOCH) ☆スティーヴィー・ワンダー『Alfie』(モータウン) ☆ニール・ヤング『After The Gold Rush』(Reprise) もしかしたら、楽屋ロック喫茶の選曲がその夜のライブに与える影響はけっこ う大きいかもしれません。 「本日は、かなりよい選曲だったのでは?」 と、マスターのコロちゃんもご満悦。 センパイが学生時代に下村誠さんから教えてもらったというフェイヴァリッ ト、知る人ぞ知るビリー・ジョー・シェーバーのCD再発盤も登場。いなたいカ ントリー・ロック系シンガーソングライターでありつつ、メロディラインがほの かにポップなのが、いかにもセンパイ好みって感じです。 そして、コロちゃんが自信まんまんで持ってきたのがジャクソン・ブラウンの 新曲つきベスト。ジャケットを見せられたとたん、センパイは「む、死ぬ〜 (泣)」と昇天。 しばし全員でとろけた後に、コロちゃんがさりげなくかけたのはニール・ヤン グの『After The Gold Rush』。今月末のHobo King Sessionのために、この中か らコロちゃんが1曲カヴァーしようかな……ということで持ってきたそうなんで すが。 「え!? これ、CDになってるの初めて見た!! 見せて見せてー」 と飛んできたのが佐野さん。 ジャケットに手にとって「こんなにちいさくなっちゃってー(笑)」と、しば し裏表をひっくり返してしげしげと眺めていました。 みんなが大好きなアルバムとゆーことで「オレがカバーするならコレ!」とか 「ねぇねぇ、これどうやって弾くの?」とか盛り上がり、しばしニール・ヤング 談義に。あげく、最後には田町探索隊による“うたごえ喫茶”まで始まってしま いました。 ちなみに佐野さんが「これ聞いていい?」と、とっても聞きたがっていたのは 「Till The Morning Comes」と「When You Dance I Can Really Love」でした。 コロちゃんが何をカヴァーしたいと思ってるかはナイショ。当ててねっ。 そうそう。佐々木功っていうのはね、その中に入っている「どっかでリズムが 狂ってる」というものすごーい曲があって、それをセンパイのテーマソングにし よう……と何度も何度も聞いては笑っていたのでした。 ----------------------------------------------------------------------- ■メールください ------------------------------------------------------ というわけで、お送りしましたSTT Vol.5。いかがでしたか? 前号の“ダイナマイトMC集”はやっぱり大好評。 佐野さんも「もうろうとした頭で読んだら、面白かったよ」と言ってください ましたが。「怒ってないよ」と言う目がちょびっと怒っているように見えたのは 気のせい? ええ、きっと気のせいね。 また、機会を見て第2弾をやりましょう。お楽しみに。 では、次号をお楽しみに!! By 能地祐子 from Nohji's Rock'n Roll Shop (http://www.DaDooRonRon.com) ======================================================================= ■ ニュースレターのバックナンバー入手先 <<ただいま準備中!>> ■ ニュースレターの配信を中止したい方は stt-info@moto.co.jp まで氏名、メールアドレスをお知らせください ----------------------------------------------------------------------- Copyright(C) 1998 Yuko Nohji. All Rights Reserved. Copyright(C) 1998 Moto & Associates. All Rights Reserved. このメールの内容を許可なく他に転載することはできません。 =======================================================================