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◆◆◆◆  佐野元春 and The Hobo King Band   ◆◆◆◆
◆◆◆◆   〜 THE BARN TOUR'98 Newsletter 〜   ◆◆◆◆
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                        Vol.6 <1998.3.7>

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★ Information from MIPS ★
○ 「THE BARN TOUR '98」で活躍する楽器に焦点を当てた企画「Instruments
   Tour」。バンドのこだわりを感じるページをのぞいてみよう!
   http://www.moto.co.jp/TheBARN/live4.html
○ インターネット上に展開された、佐野元春の音楽を応援する有志たちの「佐
   野元春Webサイト」を一挙紹介。
   http://www.moto.co.jp/OnTheNet/MotoSites.html
※ その他詳しくは Moto's Web Server  で!
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★ノージからのごあいさつ★

 げげっ、気がつけば1ケ月のご無沙汰でした。心配して「どーかしたんです
か!?」というメールをくださった方、そしてジッと黙ってノージ再始動の時を
待っていてくださった方、みなさん本当にごめんなさい。2月12日に前半戦が
終了した後、しばらくのツアーお休みを利用してSTTでやりたい企画モノはいろ
いろ思いついていたのですが。何せ、今年は“20日ぶんを10にちで稼ごう”キ
ャンペーンを張りつつツアー同行ちゅうのわたし。先に他の原稿を片づけてか
ら……と思っていたら、あっとゆーまに3月(泣)。

 ま、そうしてレポートに手をつけられないものの、後半からのSTTをどんなふ
うに書いていこうかなってことでもちょっと悩んでおりました。なんつーかね
、仕事じゃなくて書く原稿とゆーものがいちばん難しいと思いました。ただの
ファンレターにしたくはないし、かといってどこまで“私信”でいいのかがわ
からないし。でね、わたしはどんなふうに何を書けばいいのかなぁ、なんてこ
とを思ってて。そしたら、昨日MIPSからのメールでSTT登録者が何と1000人を超
えた!! ということを知りました。んー、びっくり。だってさ、つまり1000人
がオレのメールを待っててくれているのですよ。わたし、1000人からメールも
らったことなんかないよ。となるとさ、やっぱし1000人に向けて手紙を書くっ
てことはすごいことじゃん。不特定多数に向けて雑誌を書くような気持ちでな
くて、もっともっとパーソナルにわたしが感じていることを書いていけばいい
んだよね。うん、わかった。と、自己完結した今日この頃。何をゆってるか、
わからなかったらすんません。HKBのニイさんたちとも「バンドだけじゃなくて
、このツアーに関わった人みんながカッコいいことやりたいよね」って話をし
ましたよ。だから、今後もSTTにご期待くださいよ!! でも、手紙だからなかな
か書けないこともあるかもしれない。そしたらごめんね。
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■ CONTENTS -----------------------------------------------------------
■ 北海道厚生年金会館(3月4日)
■ 2月までのあらすじ
■ 再開!! 今週のセンパイ
■ メールください
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■2月までのあらすじ --------------------------------------------------

 というわけで、かなり時間が経過してしまいましたので。前半戦最後の2本、
神戸&広島公演での佐野元春&The Hobo King Bandの様子をザザザッとあらす
じのみご紹介いたしましょう。

 この2公演は、HKBの歴史の中でもっとも重要なマイルストーンとなるかもし
れない。

「あそこから、変わったよね。今までと違うバンドになったみたいにね」

 毎晩、ライブが終わった後はホテルの自室で遅くまで当日のライブ・テープ
を聞いている小田原が何度も言った。

 その前での金沢公演でも予兆はあった。病み上がりの佐野がいつもと少しだ
け違うベクトルでテンションをあげていったことで生まれた、不思議なクール
さとスリルに満ちた新鮮なステージング。そして、小田原豊のひらめきにあふ
れたドラミング。

 「ついに、このバンドのグルーヴを完全に掴んだと思った」

 金沢公演が終わった直後、興奮した口調で小田原が言った。バンドが70年代
テイストに傾倒しすぎてしまうことに対して、いちばん危機感を抱いていたの
は小田原だった。コンテンポラリーな感覚と70年代アメリカン・サウンドの両
端を結ぶグルーヴを確実に掴むために、彼はバンドが結成されてからずっとず
っと試行錯誤を続けていた。他者から見れば、すでに彼はそれをやり遂げてい
るように見えていたけれど。

 小田原自身は、ほんの0.00何ミリかの誤差も許さない、理想的な場所にある
“やりかた”を探し続けていた。

 その彼が、時代やジャンルを超えた“カッコいい音”――このバンドにいち
ばん魅力的なグルーヴを、自分の肉体でしっかりと確認したと言う。

 金沢に続く、神戸公演。そして、広島公演。ステージ上での小田原は実に幸
せそうな表情だった。ひとりのうれしいバイブレーションは、バンド全体に伝
染していく。

 完璧な5つの車輪が揃い、偶然ではない確かなスピードで廻り始める。

「今日は小田原Dayだったね」

 と、トミー。それぞれのステージで、必ず誰かが“大ブレイク”をする。ツ
アー前半、HKBはずっとそんなことを繰り返してきた。それまでも力を存分に発
揮してきたはずのミュージシャンたちが、自分でも想像できないような新しい
力を見せる。

 12日の広島公演は、そんなツアー前半の総決算とでもいうべきステージだっ
た。アルバム『The Barn』の世界はより立体的な膨らみを見せ、バンドは“フ
ルーツ”の時ともウッドストック・レコーディングの時とも違った音を奏で始
めている。

 完璧。

 「今日はなんか、落ち着きながら興奮したって感じ」

 終演後、そう言って佐野が笑った。そのヘンな表現に、周りのメンバーもつ
られて笑った。彼の言いたい感じは、なんとなくわかる。何の摩擦もなく、ひ
たすら滑らかに上っていくような心地よいグルーヴ。そのなかで、彼は安心と
興奮の両方を感じていたのかもしれない。


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■ 北海道厚生年金会館(3月4日)--------------------------------------

 いよいよ後半戦の始まり。

 開演前の楽屋では、KYONと佐橋が宿題をする子供のようにテーブルに向かい
合って譜面を書いたり音符を口ずさんでいる。

 「ガラスのジェネレーション」

 これまでHKBではいちども演奏されたことのない元春クラシックスのひとつ。
「ツアー中に、なんか新しい曲やりたいよね」と話していたことが、いよいよ
実現するらしい。新曲を演る時のHKBは、本当にうれしそう。

 さて、久々のライブ。前回の広島で「落ち着きながら興奮した」という佐野
の言葉を、あらためて思い出した。

 いつもより多くアンコールに応えてステージを降りた佐野は、「なんだか、
今日は調子がよかったみたいだ」と言った。

 たとえば“フルーツ・ツアー”の頃には試行錯誤を繰り返しながらじわじわ
と昇りつめた高みへ、今の彼らは最初から何のためらいもなく滑らかに急上昇
していくことができる。

 佐野元春のロックンロールというものを、正面からずばりと見せつけられて
いるような。最近、いつもそんな感じがしている。

 “フルーツ・ツアー”は、ある意味で観客に対して不親切な部分の多いライ
ブが続いていたと思う。毎晩新しいものを作っては壊し、見つけてきては組み
立てていく……。

 あまりにも濃密でスリリングで、それゆえツアー最終日までこのバンドが“
続いていく”のかどうか確信を持つことができなかった。それくらい、ある意
味では危うい旅だった。

 あの頃の佐野元春は、その危うさと日々戦っていたのだ……と、今になって
思う。新しいバンド、長年の相棒だったザ・ハートランド以外の連中との新し
い旅。揺るぎない満足感を手にいれようと、佐野はガムシャラに突進していた。

 あの危機感と、それを乗り越えるために佐野とバンドの間に生まれた揺るぎ
ない信頼感。たぶん、日本の音楽シーンでこんなドラマティックな経験をくぐ
り抜けてきたアーティストは少ないだろうと思う。

 今の佐野が見せる満足げな表情。それは、彼が自らの手で勝ちとったものだ。

 でも、ちょっとだけ思う。彼にとって、もう“危機感”は必要ないのだろう
か。

 危機感と満足感の微妙なバランス。聞き手とは残酷なもので、そこにロック
ンロールを感じてしまう。

 無敵モードで日ごとにテンションをあげていく佐野のポジティブなエネルギ
ーは文句なしに心地よい。たとえば「どこにでもいる娘」で佐野が聞かせるピ
アノの響き!! ステージ上、佐野をはさんで鍵盤を弾いているKYONと西本が、
しばしばハッとした顔をして佐野のほうを向いているのに気づいた人はいる?

 名手であるKYONと西本が、この時の佐野のプレイはまさに“ひとつの宇宙”
だと言って言葉を失う。

 こんなプレイに接すれば、誰もが満ち足りた思いに包まれてしまう。けれど
、しつこいようだけれど……聞き手とは残酷なもの。あの“危機感”と“満足
感”の自転車操業だったフルーツ・ツアーから生まれた奇跡を、もういちど見
たい。

 ツアー後半戦の“Xデイ”。

 それは、わたしが思うには“佐野元春デイ”になるだろう。

 The Hobo King Bandの大黒柱として、メンバーたちの指標として、そして全
国のファンに変わらぬ興奮を届けて回るツアー・ミュージシャンとして、佐野
元春は最高のパフォーマンスを見せてくれている。これだけ“佐野元春歴”が
長くて、しかもここ1年半くらいずーっと行動を共にしているわたしが、毎晩
「ああ、あの時(←高校生の時)佐野さんの音楽に出会えてよかった。あの時
まちがえて××さんや○○さんのファンにならなかった自分は正しい!!」てな
ことをしみじみと思ってしまうほど。聞き手として、目の前にいる佐野元春を
誇りに思う。

 とはいえ、“新しい佐野元春!!”を見せまくるような、今までの佐野元春を
ブチ壊すような場面にも出会ってみたいと思う。

 『The Barn』アルバムは、このツアーによって完全なカタチになろうとして
いる。そして、いつも何かが連続している佐野のこと、この次にやることの“
予兆”がきっと今回のツアーには隠れているはずなのだ。彼自身が気づいてい
るか、どうかはわからないけれど……。

 準備は整った。HKBの面々は、すでに用意ドン!の姿勢で待っている。佐野が
いかなる方向に走り出そうとも、ぴったりと彼に寄り添っていく自信を漂わせ
ている。

 次なる“予兆”をハッキリと目撃すること。

 それがツアー後半の、わたしの目的だ。

 アンコールで演奏された「ガラスのジェネレーション」。

 なんてステキな曲なんだろうと、今さらながらゾクゾクッとした。

 永遠の名曲を、今の佐野元春のやりかたで聞かせる。それによって、98年の
佐野元春がいかにエネルギッシュに時代と向かいあっているかが発見できる!!
 前に、このツアーで演奏される「アンジェリーナ」がいかに新鮮かというこ
とを書いた。最新アルバムの曲のテンションの高さで演奏されるデビュー曲が
、すべての佐野作品を至高の場所へと引っ張りあげていくのを感じることがで
きるから。

 で、もしかしたら「ガラスのジェネレーション」にも同じようなことが言え
るかもしれないと思った。「アンジェリーナ」以上に、X-デイに向けての突破
口さえ開いてくれる曲になるかもしれない。そんな予感。


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■ 再開!! 今週のセンパイ ---------------------------------------------

 最近、ついに携帯電話も手に入れてゴキゲンなセンパイです。でもね、HKBの
メンバーからのイタズラ電話はオ・コ・ト・ワ・リだって。

 さて、今わたしは仙台にいるのですが。ここ仙台は、ひとつの伝説発祥の地
なのです。

 なんの伝説かっつーと。

 センパイ、公園でパンを食う伝説。

 です。

 そう、あの“ある日曜の午後……”から始まる佐野さんのアキラ話。センパ
イは「もぉ、佐野くん、毎回どんどん話が大きくなっていくんだから〜」と泣
いていますが……。あれって、実は前のツアーでの仙台公演での話が元になっ
ているのですよ。だからね、仙台のどこかの公園を探してみると、ホントにホ
ントにセンパイがパンを食べているかもしれません。あ、正確にはパンじゃな
くてミスドなんですけどね。

 ところで、先月末に東京でThe Hobo King Sessionがおこなわれて、我らが“
田町探索隊”がデビュー曲「田町で1H」を披露したのですが。その田町探索
隊を紹介する役割となったのが、もちろん残りの2人――センパイ&小田原コ
ンビでした。

 この2人にも何か“バンド内ユニット”名をつけなければ……ということで
、ついた名前が“ザ・レイターズ”。その由来は、この2人が遅刻常習犯だか
らです。

 つーわけで、今回も札幌行きの飛行機に見事乗り遅れたのはザ・レイターズ。
その夜、田町探索隊はジンギスカンをつつきながら「奴らにデビュー曲を作っ
てやろう」と勝手にミーティングを始めたのでした。

 「レイターズ・失われたポーク」という曲に決まりました。勝手に。どーゆ
ー曲かは、またいずれ。ご期待ください。


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■メールください ------------------------------------------------------

 さあ、これから仙台2デイズです。後半戦は、ばしばしとメールする予定。

 えと、最近になって登録してくれた人も多くて「バックナンバー希望」とい
う方が多いです。そろそろ、これまでのぶんをまとめてどこかに載せないとね
……と、MIPSさんと相談ちゅうです。しばしお待ちください。

 みなさまからのご感想などをいただけると、うれしいです。面白かったよっ
というヒトコトでもいいから、おせーてください。

 ではでは。次号をお楽しみに!!

By 能地祐子
    from Nohji's Rock'n Roll Shop
   (http://www.DaDooRonRon.com)


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