04 | 自作48ページ手作りポケット・ブック
1982 -1983


 レコード、といえばCDではなくアナログ12インチ──ブラック・ビニール盤で育ってきた佐野にとって、アルバム・アートワークに寄せる想いは人一倍強い。佐野が10代の頃楽しんだアルバムといえば、70年代のアナログ・レコード。この時代のパッケージにはファンが喜ぶような楽しい仕掛けが施されたものも少なくなかった。

 アルバム『SOMEDAY』には、ファンにとってうれしい「おまけ」がついていた。「自作48ページ手作りポケット・ブック」がそれだ。


 佐野の写真や、詩、収録曲の歌詞など、紙に印刷された図版を説明にしたがって組み立てていくと、たちまち自分だけの「佐野元春アート・ブック」のできあがり。この思わぬプレゼントにファンは大喜びした。しかし、なかには製本に失敗してアルバムをもう一枚買うはめになった者もいる。

 後にCDとして再発されたアルバム「サムデイ」にはこの「自作48ページ手作りポケット・ブック」はついていない。サイズ的にCDには収納できないからだ。

 佐野のデビュー当時からのファンにとってこの「自作48ページ手作りポケット・ブック」は、無邪気な思い出のつまったスーベニアといってもいいだろう。

(高野ヒロシ)



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