05 | Rock & Roll Night Tour
1982 -1983



 1982年9月26日、初めての全国ツアー「ウェルカム・トゥ・ザ・ハートランド・ツアー」からわずか2ヶ月間の短いインターバルをおいて、佐野元春とザ・ハートランドは再びオン・ザ・ロードに戻って来た。

 82年9月26日にスタートした「ロックンロール・ナイト・ツアー」では、前回のツアーで培われたバンドとしてのチームワークはさらに強靭さを増し、「がんばれ! ベアーズ」を合い言葉に結成されたザ・ハートランドは当時最強のロックンロール・バンドへと進化していた。一夜のコンサートが壮大な神話ででもあるかのように過激にストーリー・テリングする佐野元春のライヴ・パフォーマンスはこのツアーで完成されたと言ってもいい。

 すでにツアーの半ばにはニューヨーク行きを決めていたらしい佐野はステージの上で燃え尽きる覚悟でプレイしていたし、それに煽られるようにザ・ハートランドもフルスロットルで疾走していた。ステージの上ではあらゆる瞬間がピークであり、二度と取り戻すことのできない大切な時間を佐野とザ・ハートランドはオーディエンスと一緒に体験していた。

 このツアーでは前回のツアー以上にライヴを通して佐野とファンとの間で幾つもの約束が交わされた。その約束の数々がどうなったかって? それは彼の素晴らしいファンのみんなに訊いてくれ。そう。ビートは続いている。

(吉原聖洋)



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