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Text : 吉原聖洋
1985年5月、小学館から発売された「エレクトリック・ガーデン」は、当時、新しいメディアとして注目されていたカセットブックの可能性を爆発的に拡大した作品だった。
デジタル・ビート主体のエレクトリック・サウンドをバックトラックにした佐野のポエトリー・リーディングを収めたカセットが、驚くほど刺激的だったことは言うまでもないが、吉田康一のアート・ディレクションによるブックでも佐野自身の詩とマーク・コスタビやマーク・バイヤーらの作品が積極的なコラボレーションを展開している。
後年のCD-ROMやインターネットの時代を予見していたかのように、大胆なメディア・ミックスを15年も前に実現しているマルチカルチュラル・アートの先駆的な作品。翌1986年5月にはよりコンパクトなパッケージに収められた「エレクトリック・ガーデン#2」が佐野自身のインディ・レーベル「エムズファクトリー・レーベル」より自費出版されている。
続編が待望される中、これまで何度となく実現の噂があった「#3」のリリースだが、デビュー20周年を迎えた2000年、どうやらその噂は本当のものとなりそうな気配だ。
2000年に入っていくつかのインタビューでその実現の可能性について語っている。佐野自身によればそれは、'80年代「エレクトリック・ガーデン」に時間の要素を加えたもの、つまり、インターネットをプラットフォームにした表現になるだろう、とのことだ。
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